2016年2月17日水曜日

女医明妃传 2016|上海唐人の今後とドラマの時代背景、あるいは霍建华ではなく黄轩について



2016年2月13日(土)から放送が始まった、霍建华刘诗诗が主演しているテレビドラマが

女医 明妃传 2016

です。本日(2月17日)、百度のテレビドラマ人気ランキングは、この 《女医明妃传》 がトップです。放映終了までは、トップを走るのでしょう。

このドラマにいたるまでの刘诗诗の軌跡については、こっちの記事に書いておきました。

女医 明妃传|目指すは刘亦菲! 刘诗诗における不断の整形、その全真相 !!

人気ランキング2位にいるのが、《青丘狐传说》 2016 で、こちらは今年の春节元旦(2月8日)から放映が始まりました。

《青丘狐传说》 と 《女医明妃传》 は、どちらも上海唐人の制作です。《青丘狐传说》 あるいは、これまでの上海唐人ドラマなどについては、こっちの記事を見てください。

青丘狐传说 2016|上海唐人を凋落させた刘诗诗、あるいは胡歌の復活


《云之凡》
これからの上海唐人についてちょっと書いておくと、今年(2016年)放映されるかもしれないのが

云之凡 2016?

です。これは 《仙剑奇侠传五》 に当たります。つまり、原作がゲーム 《仙剑奇侠传五》 ということです。上海唐人は、原作ゲームと同タイトルのドラマ 《仙剑一》、《仙剑三》 という二つの傑作ドラマを作っています。しかし、《仙剑三》 以後、これを超えるドラマを作れていません。

《云之凡》 も、《仙剑三》 に及ぶことはないように思います。胡歌霍建华刘亦菲安以轩杨幂唐嫣も、もちろん出ていないからです。ただし、古力娜扎は出ています。古力娜扎は 《青丘狐传说》 にも出ていて、たぶんトリのエピソードで登場するように思います。

《仙剑三》
“テレビドラマの原作にゲームを使うことは禁止” なわけです。なんで 《云之凡》 が 《仙剑奇侠传五》 を原作にできるのかというと、禁止になったのはネットゲームなわけで、《仙剑奇侠传五》 はネットゲームではなく、シングルプレイなゲームだからです。

日本でも放映された杨幂の 《古剑奇谭》 も、原作はネットゲームではありませんでしたが、その後はネットゲームにもなったようです。ゲーム 《仙剑奇侠传五》 も、ドラマ 《云之凡》 放映後にはネットゲームになるのでしょう。

怪侠一枝梅
もう1つの話題作があります。《女医明妃传》 と同様、霍建华と刘诗诗が主演する

怪侠一枝梅2

です。もちろん Part1があるわけで、それが 《怪侠一枝梅》 2011 です。このドラマで、刘诗诗ははじめて本格的に主演したように思います。2011年の1月に放映開始されたこのドラマと、そして2011年9月に放映された 《步步惊心》 で、刘诗诗は一部ファンにとって一気に赤くなります。ただし当時、本当に赤くなっていたは杨幂です。

また、本当に作られるのかどうかはわかりませんが、ラインアップされてはいるのが

梦回大清 2018?

です。《梦回大清》 というのは2004年から2007年までネットで連載された穿越(タイムトリップ)小説の鼻祖(元祖)です。《》、《步步惊心》 などのヒットで、穿越ものドラマも禁止になってしまったわけですが、このご禁制をどう打開するのでしょうか?

花千骨 2015》 2015 は、《花千骨》 2015 のメンバーたちが現代(2015年)穿越してきてしまう物語でした。このドラマは穿越ドラマ禁止というご禁制を、テレビ放映はせずに、ネットのみでの公開という策で乗り切っていました。


《女医明妃传》 は、タイトルどおり女医の物語で、実在した女性をモデルにしているそうです。もちろん、恋愛がらみのとんでもない部分はフィクションでしょう。ドラマは、こんなナレーションで始まります。

黄轩
大明中期,程朱理学兴盛,礼教可严,女子地位地下,贵族女子不得抛头露面,…… 而女子从医则更是容易被世人议论为“三姑六婆”,名声不雅。
(明朝の中期、朱子学が興隆し、礼儀と道徳が大変重んじられ、女性の地位は低く、貴族の子女は人前に火をさらしてはいけないとされていた。……女性が医者になろうものなら、“三姑六婆” と呼ばれてしまう始末だった)

霍建华
三姑六婆” とは、インチキ商売をやっている女のことで、“三姑”とは、 “尼姑(尼さん)”、“道姑(女道士)”、“卦姑(女占い師)”だそうです。“

“六婆” とは、“牙婆(口利き)”、“媒婆(仲人)”、“师婆(女巫)”、“虔婆(やり手婆)”、“药婆(偽薬売り)”、“稳婆(産婆)” だそうです。

ヒロイン允贤(刘诗诗)の家は代々医業を営んでいたのですが、皇后だか側室の誰かだかの流産事件が起き、責任を問われて拷問された家長は自殺してしまいます。允贤の一家は都を逃れ、姓を谭から杭に変えます。やがて、允贤のパパは杭将军として、家族といっしょに都に戻ってきます。

“杭家” では、医学を学ぶことは禁止されているのですが、允贤はおばあちゃんから、こっそり医学を学んでいます。ところが、徐侍郎家の太夫人70歳のお祝いの席で、太夫人が倒れてしまい、允贤は自分の太夫人を救けてしまいます。この事件はパパにも知られてしまい、パパは改めて医術を学ぶことを禁ずるために、医術の本をすべて燃やしてしまいます。


そういう発端からどんなロマンスが始まっていくのかというと、允贤は徐家で太夫人を救助する前に、もう一人救っています。允贤と侍女が徐家の裏庭を散歩していると薬草を発見するのですが、男が刀をつきつけてその薬草をよこせと脅します。

しかし、允贤は男の手を見て、彼が毒にあたっていることを知るのですが、そのとき男は倒れてしまいます。允贤は庭で庭で薬草を見つくろって、一時的な解毒を施してあげます。この男は、追手に殺されそうになったのですが、命からがら逃げて来たのでした。

允贤は徐太夫人に薬の処方までするのですが、実は処方には間違いがありました。しかし、徐家ではきちんとした医者が太夫人に正しい薬を処方していたため、大事にはいたりませんでした。それはそれでラッキーだったということで、允贤は侍女とお参りに行きます。

すると、お寺に女が駆け込んできて、主人の奥さんが重い病気にかかっているので救けてくれと叫びます。允贤は救けに行きたいのですが、女の主人の家は馬車でなければ行けません。そこに馬車を提供してあげようという、どこぞのお坊ちゃまが現れます。

このお坊ちゃまが誰かというと、明朝六代皇帝朱祁镇(英宗)で、演じているのは霍建华です。で、追手に殺されそうになって、徐家の裏庭で倒れてしまったのが誰かというと、明朝七代皇帝朱祁钰(景皇帝または代宗)です。こんな出会いをきっかけに、允贤は二人の皇帝から愛されてしまう……というような物語です。


七代皇帝朱祁钰を演じているのは黄轩で、この人は今どんどん赤くなっている真っ最中です。もちろん 《甄嬛传》 ほどの爆発的なヒットにはならなかったものの、それなりには人気にも話題にもなった、《甄嬛传》 同様に孙俪がヒロインを演じた宮廷ドラマ 《芈月传》 では、黄轩は孙俪の初恋の相手を演じていました。

《推拿》
黄轩は、映画では 《推拿》 2014、《黄金时代》 2014 などでも名前を売りました。特に 《推拿》 の小马(黄轩)はは良かったと思います。もしかしたら今年(2016年)放映されるかもしれないドラマ 《亲爱的翻译官》 では、娘の出産以来はじめてテレビドラマに戻ってきた杨幂のお相手役という大抜擢です。


映画やドラマで歴史がネタになる場合、たいていは王朝末期の混乱とか新王朝の樹立とかが舞台になります。元末の混乱に乗じて明王朝を打ち立てる主役が朱元璋なわけですが、朱元璋はもともとはチンピラというか盗賊です。

中国王朝とは“盗賊”たちが樹立してきたという観点から書かれた中国王朝変遷史「中国の大盗賊・完全版」(高島俊男著・講談社現代新書)という本は、大陸の映画やドラマを見るにあたっての必須とも言える愉快な参考書だと思います。

ところが 《女医明妃传》 は大した出来事のない(などということは、歴史にとってもちろん、そんなことはないわけですが)明朝中期が舞台になっています。いったい、なんでそうなっているのでしょうか。


明朝はモンゴル王朝元を掃討したとはいえ、大陸の王朝においては、常に北方民族の侵入が大きな軍事的課題のひとつであり、明朝においても北方民族対策は、大きな政治的課題のひとつなのでした。

明の六代皇帝英宗も七代皇帝代宗も、歴史的にはどちらかといえば愚帝的な評価なのでしょうが、この時代にひとつの事件が起こります。

六代皇帝英宗の時代、明はモンゴル系の瓦剌部(オイラト族)ともめて、英宗は瓦剌部の捕虜になってしまいます。

あわてた明王朝は、英宗(朱祁镇)の弟、朱祁钰(景皇帝)を皇帝に立てます。ところが、瓦剌部は本気で明朝を攻略する気など毛頭なく(というか、そんなパワーはないので)、瓦剌部の族長也先(エセン)は、英宗の良きお友達になってしまいます。

ドラマ 《女医明妃传》 ではこのあたりで、允贤はすでに有名な女医になっているのかもしれませんが、允贤は瓦剌部の也先とも交流するようです。

《芈月传》 では、芈月は北方民族の义渠王とお付き合いすることになりました。

そんなこんなで明朝と瓦剌部は、朝貢貿易における瓦剌部の優遇策で合意し、英宗を明に返還してしまいます。で、困ってしまうのが、英宗と景皇帝と允贤の三人です。で、どうなるかがドラマのクライマックスなのでしょう。

実際の歴史においての英宗と景皇帝の運命については、ここでは書かないでおきます。


劉詩詩《女醫明妃傳》主題曲MV《大雨將至》


《女醫明妃傳》曝終極片花


霍建华 刘诗诗和他们的朋友们 《女医·明妃传》开播特别节目

2016年2月11日木曜日

青丘狐传说 2016|上海唐人を凋落させた刘诗诗、あるいは胡歌の復活



今年(2016年)の春节は、久しぶりに上海唐人(上海唐人电影制作有限公司)のドラマが話題を独占しそうです。今年の2月8日から放送が始まった聊斋志异(聊斎志異)ものドラマが、

青丘狐传说 2016

です。今(2016年2月11日)、百度のテレビドラマ人気ランキングでは、この 《青丘狐传说》 がトップです。そして、土曜日の13日から人気トップになることが確定しているのが、やはり上海唐人制作で、霍建华刘诗诗が主演するこのドラマです。

女医·明妃传 2016

上海唐人は 《步步惊心》 2011 が大ヒットした以降、すなわち  《轩辕剑之天之痕》 2012(胡歌,刘诗诗,唐嫣+新メンバーの古力娜扎蒋劲夫)で大失敗した後、パワーのあるドラマが皆無でした。

上海唐人と言えば、今でも代表作は 《仙剑奇侠传》 2005 と 《仙剑奇侠传三》 2010 だと思います。《仙剑奇侠传》 2005 は胡歌、刘亦菲安以轩、《仙剑奇侠传三》 2010 は胡歌,杨幂,霍建华,唐嫣という豪華メンバーでした。


轩辕剑》 2011
なんで、《轩辕剑》 が失敗したのかというと、理由は2つあります。

1つは、上海唐人が刘诗诗に幻想を抱きすぎたことです。顔がブスなのはともかく、姉御はだふうのワンパターン演技が臭すぎて、これだけでドラマはパワーを失ってしまいます。

ただし、やはり上海唐人の 《风中奇缘(風中の縁)》 2014 では、だいぶ臭みが抜けていたように思います。あるいは日本映画 《真夜中の五分前(深夜前的五分钟)》 は、シナリオがバツなのはともかく、刘诗诗のブス隠しだけに腐心した駄作でした。

上海唐人が凋落したもう1つの理由が、胡歌のイメチェン作戦です。《仙剑》 シリーズでの胡歌は、ちょっと情けないけど、なんだかんだ危機を乗り切ってしまう軽いタイプの2枚目でした。したがって、演技だって日常の自分自身で良かったわけです。


《琅琊榜》 2015
つまり、上海唐人の凋落と胡歌の凋落は 《轩辕剑》 の失敗と同時に始まったわけです。しかし、胡歌は昨年(2015年)、2つのテレビドラマで(上海唐人とはなんの関係もなく)復活しました。

伪装者 2015(8月31日放映開始)
琅琊榜 2015(9月19日放映開始)

昨年(2015年)の後半、百度などを覗くと 胡歌の “不靠脸,靠实力(顔に頼らず実力で勝負)” という広告をしょっちゅう目にしました。胡歌のイメチェン作戦とは、そういう意味だったわけです。

すなわち 《轩辕剑》 とは、“胡歌のイメチェン作戦+刘诗诗を大女優に!” という2つの目的があったわけですが、どちらもなんの成果もなく惨敗したということになります。

胡歌は実力派の役者として復活しましたが、上海唐人の復活作戦は成功するのでしょうか? そんなことは、ぼくには関係ありません。


聊斋志异ものドラマは、もちろん原作は 《聊斋志异》 なわけですが、だいたいは40集くらいで、一話5~7集、全部で六話くらいで構成されます。

たぶん、最初に聊斋志异ドラマを思いついたのは、香港TVBあたりでしょうか。

大陸のドラマ制作会社も、ネタに困ると聊斋志异ドラマを作るのでしょう。現在(2016年2月)大したドラマがないとはいえ、《青丘狐传说》 が人気になるのは、中国人の聊斋志异ドラマ好きを良く表しています。

香港映画 《倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)》 は最後は悲劇ですが、原作の 《聊斋志异》 のこのエピソードは、なかなかのハッピーエンドです。

聊斋志异ドラマもけっこう軽いので、気楽に見られるので人気になるのでしょう。

上海唐人だって、《新聊斋志异》 2005、《聊斋奇女子》 2008 という聊斋志异ドラマを作っています。とりわけ、《新聊斋志异》 では、今では考えられない豪華メンバーでした。

胡歌と杨幂の 《小倩》
《小翠》 というエピソードには李冰冰、《陆判》 には黄晓明が出ています。

そして、《倩女幽魂》 の原作と同じ題材である 《小倩》 で、書生と亡霊を演じているのは胡歌と杨幂です。杨幂も出ている黄晓明と刘亦菲の 《神雕侠侣》 2006 と同時期なので、杨幂のあごはまだ細くありません。

そんなわけで聊斋志异ドラマとは、出ている側にとっては大スターへの登竜門であり、見る側からすれば将来の大スターをいち早く発見する場でもあるわけです。


《青丘狐传说》 はナレーションとイラストで、女娲は灵狐を四大神兽のひとつに格上げしてあげて、その後、西周の戦いにおいて、殷の纣王を堕落させるために灵狐を地上に派遣したことから語り始めます。つまり、灵狐が妲己だったというわけです。

ドラマとは直接に関係のない女娲を持ち出す必然性はないのですが、西周と殷の戦いを描く 《封神演义(封神榜)》 は、中国人ならば誰でも知っています。女娲を持ち出すだけで、ドラマの必然性が生まれます。

范冰冰の 《封神榜》 2006
《封神榜》 は、何度もドラマになっています。日本でも、范冰冰が妲己を演じた 《封神榜》 のDVDは今でもレンタルできるように思います。ただし、Part2には范冰冰は出ていなくて、日本で入手できるのかどうかは知りません。

封神榜之凤鸣岐山》 2006
封神榜之武王伐纣》 2009

女娲あるいは 《封神榜》 で活躍するヒーローたちは、大陸のテレビドラマを見る際の基礎知識でもあります。《仙剑》 シリーズでも、女娲は重要な役割を担っていました(刘亦菲のヘビ女は必見です)。


ところが、妲己(灵狐)は纣王とラブラブになってしまい、妲己は纣王をあやつって西周に敵対します。これに怒った女娲は、狐の妖族をすべて青丘に追放してしまいます。狐の妖族一族の仕事は、青丘で500年に一度、果実をつける魅树という樹木の保守管理です。

青丘という場所は、苏州工业园区にある地域なのですが、何かと九尾狐と縁のある場所のようです。

そんなわけで、《青丘狐传说》 では、青丘に住んでいる狐の妖たちの6つの物語が描かれます。もちろん、胡歌も刘诗诗も出ていません。メインとなるエピソードであろう 《恒娘》 の主役は、古力娜扎と蒋劲夫です。

最後に、このドラマで描かれる6つのエピソードを、簡単に紹介しておきます。

《阿绣》
《阿绣》
狐の妖である花月と人間世界の女子である阿绣の物語で、この二人と刘子固という男をめぐって、あれこれの事件が起きていくようです。

《封三娘》
狐の妖である三娘は、悪名高い孟家の人々を懲らしめようと孟家に乗り込みます。ところが、孟家の悪名とは実は……
そんな物語のようです。

《婴宁》
狐の妖である婴宁は、天真爛漫な女の子です。そんな彼女が、服家と王家のごたごたに巻き込まれていくようです。

《胡四相公》
狐の妖である胡四、強力な法力を持っています。ところが酒好きなため、富家のお坊ちゃま张生と遊んでばかりいます。ところが……何かが起きるのでしょう。

《恒娘》
《长亭》
石太璞は妖怪ハンターで、狐の妖を駆除しています。ところが、この石太璞と狐族の長老の娘の縁談が……みたいな話のようです。

《恒娘》
九尾狐が化けている恒娘(古力娜扎)は、お隣りに住む夫婦の仲をどうのこうの……というお話です。

この 《恒娘》 についてというか、古力娜扎については、こっちの記事にまとめておきました。

青丘狐传说之恒娘|古力娜扎にトップ女優へのロードマップはあるのか?

《青丘狐传说》MV:郁可唯婉转献声《问明月》


《青丘狐传说》4分钟片花 娜扎 蒋劲夫


《青丘狐传说》曝终极预告片|聊斋志异

2016年1月28日木曜日

捉妖记(モンスター・ハント) 2015|大陸国産映画の興行記録を大きく塗り替えた3Dファンタジー




昨年(2015年)大陸で最もヒットして、なおかつ国産映画の興行収入記録を大きく塗り替えたのが、この映画です。

洋画も含めると、トップが 《速度与激情7(ワイルド・スピード7》) の443億円、この映画が第2位で435億円稼いだそうです。第3位が、数字的にはかなり離されるのですが 《港囧》 の294億円です。

ただし、中国映画の興行成績については、あれこれ不正も指摘されているようで、数字がどこまで本当なのか、そんなことは知りません。

ぼくは、この映画のタイトルが 《抓妖记》 だとばかり思っていました。QQの知り合いに “抓妖记を見たか?” と聞いたら、“もちろん見たけど、タイトルは 《捉妖记》 だ” と
言われてしまいました。

捉妖记 2015

かつて人と妖はいっしょの世界に住んでいました。しかし、人は妖を追い出してしまい、妖たちは人の知らない世界でこっそりと暮らしています。しかし、妖の世界ではクーデターが起こり、新妖王が誕生してしまいます。

旧妖王は殺されてしまったのでしょうが、妊娠している旧妖后は、二人のお供と逃亡の旅を続けています。この三人はついには人の世界まで逃げてきて、田舎の若者と若い女の捉妖天师(妖怪ハンター)に出会います……。

そんな物語なのですが、なんで大ヒットしたのかというと、大陸で初めてまともな3D映画作りに成功したのがこの映画だからです。

今さら、大陸映画がどれだけ悲惨な3D映画を作ってきたのかを振り返ってみても、意味はないでしょう。

ただし、アメリカでの上映は大失敗で、新聞や雑誌に袋叩きにあったそうです。“3Dのレベルが低すぎ” というのが、大方の批判内容のようです。それはそうなのですが、それよりも “欧米人にはこの物語が理解できない” というのが、本当の事情のように思います。

物語は単純なファンタジーなのですが、妖怪ものや武侠もののドラマや映画を見慣れた中国人には、あまりにも親しみやすい物語です。ヨーロッパやアメリカは、永遠に中国映画--というかアジア文化を誤解していくのでしょう。

もうすぐ(現在2016年1月28日)、《卧虎藏龙(グリーン・ディスティニー)》 の続編というか2016年版の 《卧虎藏龙》 である 《卧虎藏龙:青冥宝剑》 が公開されます。欧米人はあの退屈な映画の、いったいどこが気に入ったのでしょうか? もちろん、ぼくは中国文化を理解している--などと言っているわけではありません。


この映画では、どんな連中が登場するのか、ざっと見ていきましょう。

霍小岚白百何
駆け出しの二钱天师が霍小岚(白百何)です。なんで二钱天师なのかというと、天师は身に付けている古銭の数でランクが決まるからです。人間界にときには妖が出てきてしまうので、天师たちは妖をつかまえて金を稼いでいます。

若者が旧妖后のお供の二人(二匹)と出会って、自分の家に招くのですが、そこにいきなり小岚がやってきて妖怪二匹との戦いを繰り広げます。

ヒロイン小岚を演じているのは、白百何という女の子です。84年生まれなので、もう30を超えていて子供もいますが……。

ぼくはこの映画ではじめて白百何を見たのですが、彼女は今や大陸のナンバーワン女優と呼ぶべきなのかもしれません。昨年(2015年)は、主演した4本の興行収入が全部で30億6400万元(約569億円)と、とんでもない額を稼ぎだしたそうです。

どう見ても美人には見えないのですが、男顔負けのきっぷの良さと少女っぽい可愛らしさが同居しているところがいいのかもしれません。

同じような観点で人気のある刘诗诗がいますが、刘诗诗はあくまでブスだし、演技なんてまるでできません。

白百何は张艺谋の 《幸福时光(至福のとき)》 2000 (極めつけのロリ映画でした) のオーディションは通らなかったものの、张艺谋の青岛ビール100周年記念広告(2003)でデビューしたそうです。そのうち、白百何が出ているほかの映画でも見てみようと思います。

宋天荫井柏然
妖の世界と人の世界の境目あたりの田舎で、村の保长をしているのが宋天荫(井柏然)です。保长と言っても脚が悪いため、縫い物ばかりさせられています。いきなり、妖と天师の戦いを目撃してしまい、あげく旧妖后の胎児を自分のお腹で養うことになってしまいます。

井柏然は事情があって宋天荫を演じることになったのですが、この人は、“十大当红小鲜肉” にも選出されています。

男には特に興味はないのですが、この映画ではけっこうがんばっていたと思います。天荫がどんなふうに妖の子を生むのかについては、見て楽しんでください。

《小时代4》 2015
《捉妖记》 が大ヒットして、最もくやしかったのが台湾のアイドル柯震东でしょう。柯震东が宋天荫を演じた 《捉妖记》 は撮り終わっていたのですが、房祖名(ジャッキー・チェンの息子)と柯震东の麻薬事件が起きたため、大金を投じて井柏然が宋天荫を演じる部分を撮り直したそうです。

《捉妖记》 は去年(2015年)7月に公開されたわけですが、去年の7月には、柯震东が主役のひとりである 《小时代4》 が予定をかなり遅らせて公開されると共に、房祖名が悪役のひとりに扮する陈凯歌のろくでもないごみ映画 《道士下山》 2015 が公開されています。

しかし、《捉妖记》 は子供向けファンタジーでもあるわけで、汚点の存在は許されないということで、井柏然の宋天荫を撮り直したのでしょう。

胡巴
天荫の腹を借りて生まれてきた小妖王が胡巴です。この映画は3Dと言っても、もっぱらアニメキャラの3D造形に力を入れていて、妖が人間に化けていないときはみんなアニメキャラです。そんなわけで胡巴は最初から最後までアニメキャラです。

胡巴という名前は、映画の最後のほうで天荫がそういう名前をつけるのですが、胡巴のしぐさや行動は、ものすごく良く中国の子供(というか习近平も含めた中国人を)代表しているように思います。これも、実際に見て楽しみましょう。


霍小岚と宋天荫と胡巴がこの映画の主人公です。他のメンバーもなかなか豪華キャストなのですが、いずれも客串(ゲスト出演)として、気軽に楽しく演技を楽しんでいます。

宋天荫奶奶金燕玲
宋天荫のおばあちゃんを演じているのが金燕玲です。日本人であっても、何度かはこの人の顔を見たことがあるのでしょう。1954年生まれとのことで、もう60をちょっと超えていますが、この映画で演じているおばあちゃんほど、おばあちゃんではないはずです。

クライマックスの格闘シーンでは金燕玲のおばあちゃんも活躍します。そして “6+5は11である” とかたくなに主張するのですが、なんでそういう計算が成り立つのかも見てのお楽しみです。

《推拿》 2014 郭晓冬
宋戴天郭晓冬
なんで宋天荫にはパパがいないのかというと、パパは偉大な十钱天师だったのですが、どうやら家から逃げてしまったようです。ということで 《捉妖记2》 では、宋戴天の存在がひとつの焦点になるのでしょう。

一瞬のワンカットだけの登場ですが、宋天荫のパパ宋戴天を演じているのは郭晓冬です。この人は、どちらかというとテレビドラマで活躍している演技派です。最近の映画では、アジアの映画賞を獲りまくった娄烨(ロウ・イエ)の 《推拿》 2014 で、王大夫を演じていました。

昔の話をすれば,やはり娄烨の 《颐和园(天安門、恋人たち)》 2006 で周伟を演じていたのが郭晓冬です。


竹高曾志伟
胖莹吴君如
旧妖后を、追手から必死に守ろうとしている妖が竹高と胖莹です。妖后が死んでしまってからは、妖后の子供を無事出産させなければなりません。胡巴が生まれてからは、胡巴を守らなければなりません。

竹高を演じている曾志伟は、金燕玲と同様に香港や中国の映画を見ている人なら、何度も見たことのある人でしょう。たとえば 《越光宝盒》 2010 では孔明(诸葛亮)を演じて、《赤壁(レッドクリフ)》 2008 の金城武のパロディで、しきりに “略懂,略懂” と言っていました。

おばさん妖の胖莹は、宋天荫に “あなた、おいしそうね” とか言って登場するのですが、はじめ誰なのかわかりませんでした。なんだ、吴君如ではありませんか。昔の香港映画を見たことにある人ならば、誰でも知っているでしょう。

もちろん美人ではありませんが、軽快でパワフルな演技は映画を盛り上げてくれます。吴君如が出ている最近の映画が日本で公開されているのかどうかは知りませんが、今でもたくさんの映画で活躍しています。

罗刚姜武
五钱天师が罗刚で、小岚が竹高と胖莹を捕らえかけたところを、横取りしてしまいます。なかなか腕は立つようですが、けっこうドジで、小岚と竹高とは最後までお付き合いすることになります。

ぼくは罗刚を演じている姜武という人は、はじめて見たと思っていたのですが 《白蛇伝説》 2011 に出ていました。あと 《洗澡(こころの湯)》 1999 という映画も見たことがありました。顔はとても姜文に似ています。名前からわかるように、姜文の弟が姜武です。ドラマや映画でけっこう活躍しているようです。


妖買い取り店のママ汤唯
小岚は生まれた胡巴を、妖買い取り店にあっさり売ってしまいます。この店のママが汤唯で、汤唯と言えば日本では 《色·戒(ラスト、コーション)》 で有名なのでしょう。大陸では美女としても有名なわけですが、ぼくには、この人のいったいどこが美女なのかよくわかりません。

ぼくが見たことのある汤唯の映画は 《北京遇上西雅图北京ロマンinシアトル)》 2013 です。大陸では、けっこうヒットしました。

ぼくには、やっぱりどこが美女なのか、どこが面白いのかわかりませんでした。もちろん、刘诗诗ほどブスで演技がへたくそだとは言いません。

妖料理の神シェフ姚晨
妖料理レストランの神シェフが姚晨です。胡巴を料理しようとするのですが、煮ても焼いても胡巴はピンピンしています。

胡巴を調理することをあきらめたを彼女は、ついに胡巴の料理方法を決めます……。神シェフを演じているのは、姚晨です。

この人は、最近はドラマには出ないで映画ばかりのようです。この人の映画はたいていは面白くないのですが、微博(ミニブログ)の女王として有名です。今、調べたらフォローしている人が7896万人いました。

《风暴》 2013
姚晨が出ている 《九层妖塔》 2015 という映画が去年公開されました。これには唐嫣も出ているので、そのうち見てみましょう。唐嫣は演技が特にうまいわけではありませんが、がんばっていると思います。

でも、ぼくは姚晨という人は、顔とか演技とか、いつもどうだかなーと思ってしまいます。刘德华(アンディ・ラウ)の映画はたいていは日本でも公開されるようなので、姚晨も出ていた 《风暴》  2013 も日本で公開されたのかもしれません。

とはいえもちろん、姚晨は刘诗诗ほどバカでもブスでもありません。

郑涛保剑锋
骆冰闫妮
妖料理レストランに特別料理(胡巴)をあじわいにやってきた御一行のなかにお金持ち夫婦がいます。奥さんを演じているのが闫yán妮で、姚晨が出ているのなら闫妮が登場しても当然です。姚晨と闫妮は 《武林外传》 2006 で有名になったからです。

《武林外传》 は、目立ったドラマがないときには、今でも百度のドラマ人気ランキングに顔を出します。

このドラマは、旅館のおかみ(闫妮)とその仲間たちの物語で、いわば人情喜劇なのですが、それほど臭みもないので、気軽に楽しめる経典です。

闫妮はブスなので大陸の吴君如みたいな位置づけあたりがふさわしいかとも思うのですが、わりと怖いおばさん役が多いようにも思います。《画壁》 2011 では、怖いおばさんでした。

葛千户钟汉良
葛千户は、天师たちを仕切る天师堂のボスで、胡巴に賞金をかけます。妖にとっては、最大の敵が葛千户であるわけですが……。

演じている钟汉良は百度のスター人気ランキングでは、本日(2016年1月28日)第3位です。ついでに書いておくと、第1位は 《新笑傲江湖》 2013 などの霍建华(ウォレス・フォ)、第2位は香港の陈伟霆(《古剑奇谭》  2014の大师兄)となっています。

钟汉良は、黄晓明版 《鹿鼎記》 2008 の康熙役とかで、日本でもそれなりにおなじみかもしれません。最近では、韩寒が監督を手がけた 《后会无期(いつか、また)》 2014 にちょこっと出ていました。あ。日本でも放映されたと思いますが、钟汉良が乔峰を演じた 《新天龙八部》 2013 がありました。この 《天龙八部》 は、後半へたってしまいました。

《捉妖记》2015 国际版预告片


钟汉良-电影《捉妖记》主题曲《奇书》MV



捉妖记 制作特辑 柯震东


5分钟无节操看完《捉妖记》

2016年1月13日水曜日

道士下山 2015|王宝强、2度と陈凯歌なんかとつきあうな!



王宝强徐峥の 《港囧》 につきあわないで、こんな映画に出ていたのか--と思ってなんとなく見始めてしまったのがこの映画です。

道士下山 2015

人は時tに、見る必要のないものを見てしまうこともあります。クレジットで監督が陈凯歌(チェン・カイコー)だと知ったとき、見るのを止めようとも思ったのですが、怖いものみたさで、つい見てしまいました。

霸王别姬》 1993 について、今さら何も言う必要はないでしょう。ただ、退屈なだけの映画でした。

ただし、ヨーロッパ人のアジアに対する誤解を、日本人も真に受けてしまったのでしょう。日本では、現在においても 《霸王别姬》 が名作であるかのように語られてしまうこともあるようです。

21世紀になる手前、日本では、陈凯歌とか张艺谋(チャン・イーモウ)とか、あるいは台湾の侯孝贤(ホウ・シャオシェン)とかが、中国を代表する監督であり、彼らの作った退屈な映画が中国映画のすべてであり、退屈であるからこそ芸術であるかのように語られてしまったのは、大きな不幸だったように思います。

2016年の現在においても、日本で公開される中国映画とは、たぶん、昔から日本でも有名なじいさんばあさんたちが主演している、退屈な映画ばかりなのでしょう。


《道士下山》 は、日本でもおなじみのキャストも揃えています。たとえば、郭富城(アーロン・クオック)とか林志玲(リン・チーリン)あるいは 《一代宗师》 の张震、はたまた昔の香港映画や現代の中国映画でおなじみの林雪(ラム・シュー)を知っている人もいるかもしれません。

でも主演は王宝强です。《一代宗師》 が大陸で公開されたとき、お笑いシーンではないのに小沈阳が登場するだけで観客が大笑いするという話が話題になりました。そういう意味で、スクリーンに登場するだけで、アクション映画とか殺人犯や泥棒の役であっても、観客が笑ってしまうのが王宝强です。

房祖名(ジェイシー・チャン)
……と、映画の中身はともかく王宝强の動向くらいは書いておこうかなと思ったのですが、あまりにくだらない映画について時間を無駄にするのも面倒です。

このブログでは、王宝强関連の映画は、こんなのを見ていますが、日本でもそこそこ王宝强の出ている映画はなんらかの形でお披露目されているようです。

盲井 Blind Shaft 2003

人在囧途 2010
人再囧途之泰囧 2012
港囧 2015(王宝强は出演していない)

冰封:重生之门(アイスマン) 2014
一个人的武林(カンフー・ジャングル) 2014


2009年から始まった中国ごみ映画大賞(金扫帚奖)というのがあって、张艺谋は毎年なんらかの賞を獲得する常連中の常連です。

中国でもなんとか映画賞みたいなのはあるのですが、どれもたいしたことはないというか、きちんと映画を評価しようというものではありません。

ある映画雑誌社が主宰する中国ごみ映画大賞と、その際、同時に発表される “10のいい映画で賞” みたいなのが、国際的な権威は何もあるわけではありませんが、大陸では最もまともな映画賞と言っていいでしょう。

残念なことに陈凯歌はまだこの賞を獲得していなかったように思います(きちんと確認したわけではありませんが……)。今年(2016年[2015年公開の映画が対象])は、この映画がめでたくなんらかの賞を獲得するように思います。

郭富城、張震主演【道士下山】最新預告(7/3週五 不虛此行)


张杰-娑婆世界 MV 《道士下山》宣传曲


Monk Comes Down The Mountain (道士下山) 2015 Martial Arts Film Trailer