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昨年(2015年)大陸で最もヒットして、なおかつ国産映画の興行収入記録を大きく塗り替えたのが、この映画です。
洋画も含めると、トップが 《速度与激情7(ワイルド・スピード7》) の443億円、この映画が第2位で435億円稼いだそうです。第3位が、数字的にはかなり離されるのですが 《港囧》 の294億円です。
ただし、中国映画の興行成績については、あれこれ不正も指摘されているようで、数字がどこまで本当なのか、そんなことは知りません。
ぼくは、この映画のタイトルが 《抓妖记》 だとばかり思っていました。QQの知り合いに “抓妖记を見たか?” と聞いたら、“もちろん見たけど、タイトルは 《捉妖记》 だ” と
言われてしまいました。
捉妖记 2015
かつて人と妖はいっしょの世界に住んでいました。しかし、人は妖を追い出してしまい、妖たちは人の知らない世界でこっそりと暮らしています。しかし、妖の世界ではクーデターが起こり、新妖王が誕生してしまいます。
旧妖王は殺されてしまったのでしょうが、妊娠している旧妖后は、二人のお供と逃亡の旅を続けています。この三人はついには人の世界まで逃げてきて、田舎の若者と若い女の捉妖天师(妖怪ハンター)に出会います……。
そんな物語なのですが、なんで大ヒットしたのかというと、大陸で初めてまともな3D映画作りに成功したのがこの映画だからです。
今さら、大陸映画がどれだけ悲惨な3D映画を作ってきたのかを振り返ってみても、意味はないでしょう。
ただし、アメリカでの上映は大失敗で、新聞や雑誌に袋叩きにあったそうです。“3Dのレベルが低すぎ” というのが、大方の批判内容のようです。それはそうなのですが、それよりも “欧米人にはこの物語が理解できない” というのが、本当の事情のように思います。
物語は単純なファンタジーなのですが、妖怪ものや武侠もののドラマや映画を見慣れた中国人には、あまりにも親しみやすい物語です。ヨーロッパやアメリカは、永遠に中国映画--というかアジア文化を誤解していくのでしょう。
もうすぐ(現在2016年1月28日)、《卧虎藏龙(グリーン・ディスティニー)》 の続編というか2016年版の 《卧虎藏龙》 である 《卧虎藏龙:青冥宝剑》 が公開されます。欧米人はあの退屈な映画の、いったいどこが気に入ったのでしょうか? もちろん、ぼくは中国文化を理解している--などと言っているわけではありません。
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この映画では、どんな連中が登場するのか、ざっと見ていきましょう。
霍小岚(白百何)
駆け出しの二钱天师が霍小岚(白百何)です。なんで二钱天师なのかというと、天师は身に付けている古銭の数でランクが決まるからです。人間界にときには妖が出てきてしまうので、天师たちは妖をつかまえて金を稼いでいます。
若者が旧妖后のお供の二人(二匹)と出会って、自分の家に招くのですが、そこにいきなり小岚がやってきて妖怪二匹との戦いを繰り広げます。
ヒロイン小岚を演じているのは、白百何という女の子です。84年生まれなので、もう30を超えていて子供もいますが……。
ぼくはこの映画ではじめて白百何を見たのですが、彼女は今や大陸のナンバーワン女優と呼ぶべきなのかもしれません。昨年(2015年)は、主演した4本の興行収入が全部で30億6400万元(約569億円)と、とんでもない額を稼ぎだしたそうです。
どう見ても美人には見えないのですが、男顔負けのきっぷの良さと少女っぽい可愛らしさが同居しているところがいいのかもしれません。
同じような観点で人気のある刘诗诗がいますが、刘诗诗はあくまでブスだし、演技なんてまるでできません。
白百何は张艺谋の 《幸福时光(至福のとき)》 2000 (極めつけのロリ映画でした) のオーディションは通らなかったものの、张艺谋の青岛ビール100周年記念広告(2003)でデビューしたそうです。そのうち、白百何が出ているほかの映画でも見てみようと思います。
宋天荫(井柏然)
妖の世界と人の世界の境目あたりの田舎で、村の保长をしているのが宋天荫(井柏然)です。保长と言っても脚が悪いため、縫い物ばかりさせられています。いきなり、妖と天师の戦いを目撃してしまい、あげく旧妖后の胎児を自分のお腹で養うことになってしまいます。
井柏然は事情があって宋天荫を演じることになったのですが、この人は、“十大当红小鲜肉” にも選出されています。
男には特に興味はないのですが、この映画ではけっこうがんばっていたと思います。天荫がどんなふうに妖の子を生むのかについては、見て楽しんでください。
《小时代4》 2015 |
《捉妖记》 は去年(2015年)7月に公開されたわけですが、去年の7月には、柯震东が主役のひとりである 《小时代4》 が予定をかなり遅らせて公開されると共に、房祖名が悪役のひとりに扮する陈凯歌のろくでもないごみ映画 《道士下山》 2015 が公開されています。
しかし、《捉妖记》 は子供向けファンタジーでもあるわけで、汚点の存在は許されないということで、井柏然の宋天荫を撮り直したのでしょう。
天荫の腹を借りて生まれてきた小妖王が胡巴です。この映画は3Dと言っても、もっぱらアニメキャラの3D造形に力を入れていて、妖が人間に化けていないときはみんなアニメキャラです。そんなわけで胡巴は最初から最後までアニメキャラです。
胡巴という名前は、映画の最後のほうで天荫がそういう名前をつけるのですが、胡巴のしぐさや行動は、ものすごく良く中国の子供(というか习近平も含めた中国人を)代表しているように思います。これも、実際に見て楽しみましょう。
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霍小岚と宋天荫と胡巴がこの映画の主人公です。他のメンバーもなかなか豪華キャストなのですが、いずれも客串(ゲスト出演)として、気軽に楽しく演技を楽しんでいます。
宋天荫のおばあちゃんを演じているのが金燕玲です。日本人であっても、何度かはこの人の顔を見たことがあるのでしょう。1954年生まれとのことで、もう60をちょっと超えていますが、この映画で演じているおばあちゃんほど、おばあちゃんではないはずです。
クライマックスの格闘シーンでは金燕玲のおばあちゃんも活躍します。そして “6+5は11である” とかたくなに主張するのですが、なんでそういう計算が成り立つのかも見てのお楽しみです。
《推拿》 2014 郭晓冬 |
なんで宋天荫にはパパがいないのかというと、パパは偉大な十钱天师だったのですが、どうやら家から逃げてしまったようです。ということで 《捉妖记2》 では、宋戴天の存在がひとつの焦点になるのでしょう。
一瞬のワンカットだけの登場ですが、宋天荫のパパ宋戴天を演じているのは郭晓冬です。この人は、どちらかというとテレビドラマで活躍している演技派です。最近の映画では、アジアの映画賞を獲りまくった娄烨(ロウ・イエ)の 《推拿》 2014 で、王大夫を演じていました。
昔の話をすれば,やはり娄烨の 《颐和园(天安門、恋人たち)》 2006 で周伟を演じていたのが郭晓冬です。
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竹高(曾志伟)
胖莹(吴君如)
旧妖后を、追手から必死に守ろうとしている妖が竹高と胖莹です。妖后が死んでしまってからは、妖后の子供を無事出産させなければなりません。胡巴が生まれてからは、胡巴を守らなければなりません。
竹高を演じている曾志伟は、金燕玲と同様に香港や中国の映画を見ている人なら、何度も見たことのある人でしょう。たとえば 《越光宝盒》 2010 では孔明(诸葛亮)を演じて、《赤壁(レッドクリフ)》 2008 の金城武のパロディで、しきりに “略懂,略懂” と言っていました。
おばさん妖の胖莹は、宋天荫に “あなた、おいしそうね” とか言って登場するのですが、はじめ誰なのかわかりませんでした。なんだ、吴君如ではありませんか。昔の香港映画を見たことにある人ならば、誰でも知っているでしょう。
もちろん美人ではありませんが、軽快でパワフルな演技は映画を盛り上げてくれます。吴君如が出ている最近の映画が日本で公開されているのかどうかは知りませんが、今でもたくさんの映画で活躍しています。
五钱天师が罗刚で、小岚が竹高と胖莹を捕らえかけたところを、横取りしてしまいます。なかなか腕は立つようですが、けっこうドジで、小岚と竹高とは最後までお付き合いすることになります。
ぼくは罗刚を演じている姜武という人は、はじめて見たと思っていたのですが 《白蛇伝説》 2011 に出ていました。あと 《洗澡(こころの湯)》 1999 という映画も見たことがありました。顔はとても姜文に似ています。名前からわかるように、姜文の弟が姜武です。ドラマや映画でけっこう活躍しているようです。
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妖買い取り店のママ(汤唯)
小岚は生まれた胡巴を、妖買い取り店にあっさり売ってしまいます。この店のママが汤唯で、汤唯と言えば日本では 《色·戒(ラスト、コーション)》 で有名なのでしょう。大陸では美女としても有名なわけですが、ぼくには、この人のいったいどこが美女なのかよくわかりません。
ぼくが見たことのある汤唯の映画は 《北京遇上西雅图(北京ロマンinシアトル)》 2013 です。大陸では、けっこうヒットしました。
ぼくには、やっぱりどこが美女なのか、どこが面白いのかわかりませんでした。もちろん、刘诗诗ほどブスで演技がへたくそだとは言いません。
妖料理の神シェフ(姚晨)
妖料理レストランの神シェフが姚晨です。胡巴を料理しようとするのですが、煮ても焼いても胡巴はピンピンしています。
胡巴を調理することをあきらめたを彼女は、ついに胡巴の料理方法を決めます……。神シェフを演じているのは、姚晨です。
この人は、最近はドラマには出ないで映画ばかりのようです。この人の映画はたいていは面白くないのですが、微博(ミニブログ)の女王として有名です。今、調べたらフォローしている人が7896万人いました。
《风暴》 2013 |
でも、ぼくは姚晨という人は、顔とか演技とか、いつもどうだかなーと思ってしまいます。刘德华(アンディ・ラウ)の映画はたいていは日本でも公開されるようなので、姚晨も出ていた 《风暴》 2013 も日本で公開されたのかもしれません。
とはいえもちろん、姚晨は刘诗诗ほどバカでもブスでもありません。
郑涛(保剑锋)
骆冰(闫妮)
妖料理レストランに特別料理(胡巴)をあじわいにやってきた御一行のなかにお金持ち夫婦がいます。奥さんを演じているのが闫yán妮で、姚晨が出ているのなら闫妮が登場しても当然です。姚晨と闫妮は 《武林外传》 2006 で有名になったからです。
《武林外传》 は、目立ったドラマがないときには、今でも百度のドラマ人気ランキングに顔を出します。
このドラマは、旅館のおかみ(闫妮)とその仲間たちの物語で、いわば人情喜劇なのですが、それほど臭みもないので、気軽に楽しめる経典です。
闫妮はブスなので大陸の吴君如みたいな位置づけあたりがふさわしいかとも思うのですが、わりと怖いおばさん役が多いようにも思います。《画壁》 2011 では、怖いおばさんでした。
葛千户(钟汉良)
葛千户は、天师たちを仕切る天师堂のボスで、胡巴に賞金をかけます。妖にとっては、最大の敵が葛千户であるわけですが……。
演じている钟汉良は百度のスター人気ランキングでは、本日(2016年1月28日)第3位です。ついでに書いておくと、第1位は 《新笑傲江湖》 2013 などの霍建华(ウォレス・フォ)、第2位は香港の陈伟霆(《古剑奇谭》 2014の大师兄)となっています。
钟汉良は、黄晓明版 《鹿鼎記》 2008 の康熙役とかで、日本でもそれなりにおなじみかもしれません。最近では、韩寒が監督を手がけた 《后会无期(いつか、また)》 2014 にちょこっと出ていました。あ。日本でも放映されたと思いますが、钟汉良が乔峰を演じた 《新天龙八部》 2013 がありました。この 《天龙八部》 は、後半へたってしまいました。
《捉妖记》2015 国际版预告片
钟汉良-电影《捉妖记》主题曲《奇书》MV
捉妖记 制作特辑 柯震东
5分钟无节操看完《捉妖记》