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昨年(2013年)の暮、香港映画の駄作が相次いで公開されました。
孙悟空(甄子丹) |
こんな流れの真打として登場したのが、今年(2014年)の春节(1月31日=初一)に公開された
西游记之大闹天宫 2014
です。今年最初の超話題作なので客は相当入ったのでしょうが、百度风云などでの話題度は大したことはありませんでした。2~3週間くらいはトップだったように思いますが、独走のトップというわけではなく 《爸爸去哪儿》 と大きな差はありませんでした。
玉帝(周润发) |
ぼくは、甄子丹はけっこう苦手なのですが、甄子丹の孙悟空と周润发の玉帝という組み合わせには割と期待していました。それに女娲とか嫦娥まで登場します。たとえ、どんなにくだらなくても、見ることは見ようと思っていたのです。
陈乔恩だって、いったいどんな铁扇公主になっているのでしょう。90后の夏梓桐が狐狸精を演っていて、見たことはありませんが、もしかしたら期待できるかもしれません。彼女たちは、孙悟空とのどんなお笑いを見せてくれるのでしょう?
牛魔王(郭富城) |
甄子丹という人は、ヒーローを演じるとあまりに臭すぎるのですが、お笑いをやるとその臭さがかえって笑えて、それだけが救いであるように思います--というわけで、ぼくはこの映画がお笑いであるとハナから決めつけていたのです。
ところが、この映画はお笑いではなかったのです。3Dということからこういう事態を予測したってよかったわけですが、これは中国映画が持てる力のすべてを集結し、CGを駆使してさらに3Dにしたアクション超大作映画なのです。
そっか。ぼくは見ていて眠くなってしまいました。
そっか。ぼくは見ていて眠くなってしまいました。
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二郎神(何润东) |
豆瓣では、2014年3月末現在、7万人くらいの人が投票して10点満点の4.4という低評価になっています。1つ星(2点)、2つ星(4点)、3つ星(6点)がそれぞれ30%くらいで、この3つの評価だけで90%以上です。
みんながどんなことを言っているのか、いくつか見てみましょう。
みんながどんなことを言っているのか、いくつか見てみましょう。
天上黄金甲,地上马猴耍,魔界就是那画皮2啊。垃圾堆美学,毫无亮点,烂得没有性格,没有地心引力更没有吸引力。一定要往好的地方说,撑死了也就是去掉三段降妖后的 《西游降魔篇》 的水平。
(この人は、腐りようがとんでもないと言っています。ついでに周星驰の 《西游降魔篇》 も罵倒している点はとても好感が持てます)
狐狸精(夏梓桐) |
子丹不哭,站起来撸!高大威武,一米二五!
(《特殊身份》 でも「泣くな! 甄子丹」と言っている人がいました。それと同じ人の冗談かもしれません。百度では甄子丹の身長は175と書いてあります。それは嘘ですが、この人は125だと言っています)
你台词写得这么差,你小学语文老师知道吗?!
(まー、そういうことですね)
看完前面一个小时困的就睡着了,错过了精彩的大闹天宫这一段...
铁扇公主(陈乔恩) |
(映画の後半の1時間を寝てしまったので、大切なシーンを全部見逃しちまった--映画をほめるのであれば、こういうふうにほめなければなりません)
史上最无能的菩提,最弱智的二郎神,最淡定的玉帝,最吊炸天的牛魔王和最穿越的猴哥。两星给打斗画面,不能更多
(そうなんです。二郎神があまりにおバカすぎるんです。ただ、そう言うのであれば、铁扇公主とか新キャラの狐狸精についても語ってもいいように思うのですが、あまりに存在感の薄い陈乔恩と夏梓桐について、豆瓣で語る人はほとんどいません)
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女娲(张梓琳) |
なんでこんなに評判が悪いのかというと、みんなもぼくと同じように、この映画をお笑いだと思い込んでいたのではないでしょうか。甄子丹映画だから出来の悪いのは仕方ないとしても、少しは突っ込めるお笑いくらいは提供してくれるだろ--こんなささいな期待さえ裏切られたわけです。
だって 《西游记》 ものって、お笑いじゃなくちゃいけないんじゃないのでしょうか? 周星驰だって、あまりにもつまらなすぎな 《西游降魔篇》 であるとはいえ、本人はそれを喜劇だと言っています。
《大闹天宫》 というタイトルをつけたからには、この映画が
大闹天宫 1965/2012
というアニメを見ていないという言い訳は通用しません。アニメ 《大闹天宫》 は、ぼくたちを笑わせてくれ、ハッピーにしてくれます。
ついでに書いておくと、日本で 《西遊記》 を物語る場合、必ず欠落されてしまうのが哪吒です。哪吒については、 《哪吒闹海(わんぱくナーザの竜王退治)》 1979 を見ておくといいと思います。
《大闹天宫》 というタイトルをつけたからには、この映画が
大闹天宫 1965/2012
というアニメを見ていないという言い訳は通用しません。アニメ 《大闹天宫》 は、ぼくたちを笑わせてくれ、ハッピーにしてくれます。
ついでに書いておくと、日本で 《西遊記》 を物語る場合、必ず欠落されてしまうのが哪吒です。哪吒については、 《哪吒闹海(わんぱくナーザの竜王退治)》 1979 を見ておくといいと思います。
嫦娥(梁咏琪) |
世界は天・人・魔という三層構造になっていて、天界と魔界は三界の覇権を握るべく激しい戦いを繰り広げていた--という設定を仮構して、この映画はお笑いから離れていこうとします。
それがいけないというわけではありませんが、それをお笑い映画にしない口実にしてしまうのは、なんだかちょっとなあ……とも思います。
なんでそうなってしまうのかというと、もちろんこういう設定がゲームにとても便利だからです。
观世音菩萨(陈慧琳) |
そういうわけで、CGを使ったアクションシーンが主体に据えられてしまうため、ストーリーのディテールがすっ飛ばされてしまい、陈乔恩の铁扇公主とか夏梓桐の狐狸精とかが、いきいき活躍できる余地はありません。
もちろん、笑わせようとする努力がまったくないわけではありません。あれこれ登場する妖怪のなかには熊猫精もいます。悟空と狐狸精は、手をつなぐではなくシッポをつなぎます。
それはそうなのですが、豆瓣の短評にもあったように“两星给打斗画面,不能更多(悟空と牛魔王が闘うシーンが多すぎ)”なのです。だって悟空が誰にも負けないことは、みんなはじめから知っているわけです。
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东海龙王(刘桦) |
主なメンバーは、こうなっています。
登場人物たちは、いずれもおなじみなキャラクタです。したがって孙悟空ものを作る場合、それをどんな造形にするのかが問われます。ところがこの映画では、どのキャラクタもあまりに普通すぎて、あまりに面白くありません。
百度百科では、红孩儿と唐僧の役者名が書かれていません。なんでなのかは、この映画を見ればわかります。そして、Part2の展開も、だいたいはわかってしまいます。
あれ? 嫦娥って、どこで出てきたのかな。
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哪吒(郑家星) |
この 《金鸡sss》 は、そのうち見てみましょう。
《西游记之大闹天宫》终极预告片
《西游记之大闹天宫》郑家星 主题曲 MV