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今(2014年11月)のところ、今年、中国で最もヒットした映画は、
心花路放 2014
という宁浩の最新作です。年内にまだ2、3本話題作が公開されるので、今年最大のヒットが確定したわけではありません。そんなことは、どうでもいいのですが……。
なお、《心花路放》 についてのあれこれのエピソードについては、、こっちの記事に書いておきました。
《心花路放》 2014 について知っておきたいいくつかの事
この映画は、徐峥と黄渤が旅をしながら、あれこれの女の子たちと出会うロードムービーです。
中国語ではロードムービーのことを “公路片” と言います。ただし、中国の人が最も理解しがたい映画のジャンルのひとつがロードムービーです。
だから映画なんてほとんど見ない中国人は “公路片” などという言葉は知りません。ぼくが通っている中国語の学校の先生(80後)は、やっぱり “公路片” などという言葉は知っていませんでした。
ところが、そこそこ映画を見ている中国人は “公路片” という言葉を知っています。たとえば、最近受けた中国語の会話試験の試験官のおばちゃまは “公路片” という言葉を知っていて、ちょっとびっくりしました。
どういうことなのかとうと、ぼくがカタカナで書いているロードムービーとは、たとえば(古くてごめんなさい)ジム・ジャームッシュとかの映画のことです。そういったロードムービーと、中国語の “公路片” は等価ではありません。
たとえば、小資本映画ながら大ヒットした徐峥主演の
人在囧途 2010
を見ればよくわかります(“囧” についてなどはリンクを参照してください)。この映画はロードムービーと言えばロードムービーなのですが、そう言うよりは “お笑い珍道中” です。
これを受けて、中国ではタイトルに “囧” を付けたロードムービーもどきが大量生産されることになりました(たとえば 《车在囧途》 2012 参照)。
徐峥は、《人在囧途》 の続編である
人再囧途之泰囧 2013
では監督も手がけ、この映画も大ヒットします。そんなこんなで、中国におけるロードムービー= “公路片” とはすなわち “お笑い珍道中” であるということになったように思います。
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では、日本語のカタカナで書くロードムービーというものが中国では存在しないのかというと、そういうわけでもありません。
今年(2014年)7月に公開されたのが、作家でありカーレーサーであり、良きパパである韩寒が映画監督にもなった
后会无期(いつか、また) 2014
です。韩寒は80後、90後にとってのカリスマであり、神様です。この 《后会无期》 は、欧美を意識した本格的なロードムービーを目指した映画です。
80後、90後は韩寒の忠実なファンであるため、彼らはこの 《后会无期》 にも好感度を示します。ただし、本来のロードムービーとは無縁な中国人にとって、たとえ80後、90後であっても、この映画のどこが面白いのかを語るにあたって、とっても苦労しているように思います。
個人的には、けっこうがんばった映画だと思いますが、体制内であらんかぎりのかっこよさを披露する韩寒の限界がよく表現されています。
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《人再囧途之泰囧》 には、中途半端な役柄ながら黄渤も出演しています。そして、やはりロードムービーというよりは “お笑い珍道中” である 《心花路放》 の主役は徐峥と黄渤です。どうして、このことに意義があるのでしょうか。
宁浩がどんな映画を撮って来たのかを、簡単に紹介すると、こうなります。
疯狂的石头 2006(黄渤と徐峥は脇役)
疯狂的赛车 2009(黄渤が主役で徐峥は脇役)
无人区 2010|2013(徐峥が主役で黄渤は脇役)
黄金大劫案 2012(徐峥と黄渤は出演なし)
(より詳しいフィルモグラフィについては、宁浩(ニン・ハオ)の軌跡|主役は乗り物だ 参照)
宁浩の実質的な商業映画デビュー作 《疯狂的石头》 が大ヒットした結果、徐峥と黄渤が注目されることになります。徐峥と黄渤は、宁浩の映画においても、そうじゃない映画においてもどんどん有名になっていきます。
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とりわけ黄渤は、周星驰の 《西游降魔(西遊記~はじまりのはじまり~)》 2013 において、周星驰をして “この映画において黄渤は中国のNo.1お笑いスターになった” と言わしめます。
この発言は、もちろん大きな誤解です。あきれてものが言えないというのは、このことです。“周星驰! ふざけるのも、いいかげんにしろ!” と言うしかありません。
《西游降魔(西遊記~はじまりのはじまり~)》 は、今年(2014年)日本でも公開されたようです。
とりわけ、徐峥は小資本映画の帝王として君臨することになります。たとえば、今年(2014年)公開されたのが 《催眠大师》 です。
《催眠大师》 のヒロイン(というには、もうけっこうなおばさんですが)は、香港の莫文蔚(カレン・モク)で、けっこうヒットしました。この映画も、“徐峥の出る映画は面白い!” というイメージを定着させました。
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《心花路放》 において徐峥と黄渤がどんな役柄なのかというと、徐峥は映画のプロデューサー、黄渤は売れなくなってしまった元歌手です。
宁浩は、いつも普通の人々を描いてきましたが、この映画では、ちょっと特別な人物が主人公です。
この映画では、宁浩ははじめてシナリオを担当していません。それが映画のプロデューサーとか元歌手とかが主人公になってしまった理由なのかどうかはわかりません。
映画プロデューサーである徐峥の車に注目してみましょう。何やら三国時代ふうの槍などの武器とかが満載されています。
この車には、こんな文字がペイントされています。
大型古装魔幻穿越剧
徐福你别走
(古代タイムトリップ大作
徐福、[日本に]行かないでくれ)
徐峥が演じる映画プロデューサーは 《徐福你别走》 という映画を企画していて、それは “古代タイムトリップ大作” であるという模様です。そんなわけで徐峥は “ちょっと待ってちょっと待って怎么啦” といった日本語も披露します。
徐福というのが誰かというと、秦の始皇帝が日本に派遣した伝説上の人物です。これにより、日本では文化が生まれてしまったわけです。
この 《徐福你别走》 は、現代の中国人が2000年前にタイムトリップして、“徐福你别走日本” を図るという物語で、宁浩いわく “これぞ究極の抗日映画だ!” ということです。
この映画が本当に作られることはないのでしょうが、ほんとに作ってほしいように思います。
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最後に、この映画で徐峥と黄渤がどんな女の子たちと出会うのかを書こうと思っていたのですが、やっぱりそれは見てのお楽しみというものです。女優の名前だけ書いておきます。
袁泉
周冬雨
马苏
陶慧
张俪
刘美含
焦俊艳
ついつい、陈乔恩とか王珞丹を使ってしまう韩寒の 《后会无期》 とはだいぶん趣きが異なるメンバーです。ただし、袁泉は 《后会无期》 でも 《心花路放》 でも貫禄の好演をしています。このいきさつについては
《心花路放》 2014 について知っておきたいいくつかの事
を見てください。
あと、徐峥と黄渤が出会うシーンにちょこっと出てくる看護婦さんが、ぼくはお気に入りです。
【新歌】黄渤-去大理(心花路放插曲)
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