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2015年5月10日日曜日

战狼 2015|ハリウッド映画に匹敵する、中国映画を超えた中国映画



全編ほぼアクションシーンを繰り広げる映画が、今年(2015年)の4月2日に公開された

战狼 2015

です。かなりヒットして、けっこうな高評価も得ています。

ぼくがこの映画を見たいと思ったのは、刘镇伟(ジェフ・ラウ)が新浪でこの映画をほめていたからです。映画監督が、よそ様の映画を高く評価するのは珍しいことのように思います。

どんな映画かというと、人民解放軍の特殊部隊が国境近くで悪の組織と死闘を演じます。どこにでもありそうなテーマなのですが、実際に見てみるとなんで刘镇伟がこの映画をほめたのかが良くわかります。

それは、この映画がはじめて中国映画を超えた映画だからです。香港の監督がハリウッドで映画を撮ったからといって、それはやはり中国映画です。というより、中国映画よりもっと中途半端な中国映画だったと言ったほうがいいでしょう。


じゃあ何が中国映画なのかというと、中国映画だから中国映画なのだとしか言いようがないように思います。

アメリカ映画はアメリカ映画だからアメリカ映画なのであり、日本映画は日本映画だから日本映画なのです。

そして、中国人は、中国人としてアメリカ映画を誤解しています。もちろん、アメリカ人だってアメリカ人として中国映画を誤解しています。

アメリカで最もヒットした中国映画が、あのろくでもなくつまらない 《グリーン・デスティニー(卧虎藏龙)》 2000 だというのが、そのいい例でしょう。

もちろん、ぼくたち日本人だって、中国映画やアメリカ映画を大いに誤解しているはずです。

アメリカ人が出演して英語をしゃべれば、それだけでアメリカ映画風になるわけではありません。この件では、王家卫(ウォン・カーウァイ)も  《マイ・ブルーベリー・ナイツ(蓝莓之夜)》 で大失敗しています。

この 《战狼》 2015 は、中国人が監督して、中国人が出演して、中国で撮影した、ハリウッド映画に匹敵する娯楽映画と言っていいでしょう。

刘镇伟は、この映画の安易なアンチテロ主義や安易な愛国主義に感動したわけではなく、このことに驚いたはずです。


主演しているのは、吴京という人です。中国や香港には武術家あがりの人気役者が少なくないわけですが、吴京もそのひとりです。

吴京は、これまでも自分の主演作の監督を手がけているのですが、この映画でも監督をやっています。

百度の中国内地男明星人气榜では第45位なので、けっこう人気があります。日本でもそこそこ知られているのかどうか、ぼくは知りません。

吴京が演じる冷锋がどんないきさつで軍隊を首になり、龙小云という女隊長が率いる特殊部隊战狼に入ることになるのか? 龙小云を演じているのは余男という役者ですが、もちろん女性です。

あるいは、どんないきさつで演習のはずが実戦になってしまうのかとか?

そもそもの事の発端とこの実戦はなんの関係があるのかとか? そういった事は実際に見て楽しんでください。そして、この映画のどこがハリウッド映画に匹敵するのか、それも見てのお楽しみです。


中国のお金をふんだんに使った3D映画は、ことごとく失敗してきました。

たとえば、甄子丹が主演した昨年(2014年)のお正月映画 《西游记之大闹天宫》 とか、やはり甄子丹の 《冰封:重生之门》 2014 などです。

この 《战狼》 も3D映画なのですが、超大作というほどのお金はかけていません。3Dでこの映画を見たわけではありませんが、3Dの出来も悪くはないように思います。

最後のほうの尻すぼみ感は否めませんが、吴京が次に監督する映画が楽しみです。

战狼 Wolf Warriors 2015 预告片


你来不来 电影 战狼 主题曲 孙楠 HD


吴京新戏《战狼》拍摄现场 16分钟超长版

2014年6月3日火曜日

完美假妻168(2014)|刘镇伟は “俺は何炅を第二の周星驰にする!” と言い放った



ぼくが中国の映画監督で、映画監督だなと思うのはやっぱり王家卫娄烨宁浩です。

张艺谋陈凯歌冯小刚侯孝贤……といった人たちについては、何の興味もありません。まとめて言ってしまえば、彼らは中国伝統文化の“中”だけで映像を語っているということです。

つまり、王家卫と娄烨、宁浩は、中国伝統文化の“外”に出て映像を語ることもできるということです。

ただし、ぼくが一番好きな中国(香港)の映画監督は刘镇伟です。この人は、もちろん“中”の人です。

しかし、“中”で映像を語りながら、ついつい“外”に出てしまったり、実は“中”と“外”なんて、何の違いもないのだということを、ついつい証明してしまったりします。


完美假妻168 2014

は、刘镇伟が 《东成西就 2011》 2011 で興業的に大失敗した後、2年ちょっとぶりに撮った新作です。今年(2014年)3月4日に公開されました。

主演は、徐若瑄と何炅です。徐若瑄と言うと誰だかわからないかもしれませんが、日
本語で言うとビビアン・スーです。

ぼくが最後に彼女を見たのは 《白蛇传说》 2011 の雪女ですが、その他にもあれこれドラマや映画で活躍していることと思います。

なんで刘镇伟はビビアン・スーを使う必要があったのかというと、周星驰が 《西遊:降魔篇》 で舒淇(スー・チー)を使ったから--という理由以外は思いつきません。

何炅という人が誰かというと、湖南卫视 の《快乐大本营》 というバラエティ番組の主持人(司会者)です。

《快乐大本营》 は1998年に始まり、今でもバラエティのベスト3くらいに入っている長寿人気番組います。

ぼくは、《东成西就 2011》 が大コケした後、刘镇伟がどんな映画を作るのか、割と期待していました。で、それがこの 《完美假妻168》 だというのを知って、その期待はけっこうふくらみました。

このところの刘镇伟は

越光宝盒 2010
大话天仙 2014
东成西就 2011 2011

と、いわゆる大作ものを撮ってきたわけですが、《完美假妻168》 は現代劇の小品であって、大上段に構えない日常のドタバタであってくれたらいいなあと思っていたのです。

大话天仙
《大话天仙》 というのは、今年(2014年)2月に刘镇伟監督作品として公開された映画です。

実のところは 《越光宝盒》 に続き、孙俪主演で撮られていたのですが、資金不足で完成しなかった映画です。完成した映画を、見たかったものです。

刘镇伟自身は、新浪で“誰かが別の役者を使って追加撮影してまで、《大话天仙》 という映画を公開するそうだが、それは断じて自分の作品ではない” というようなことを語っていました。

そういう事情で評判はすこぶる良くないのですが、鬱な孙俪がすこぶるきれいなので、ぼくはけっこう気に入っています。


刘镇伟の最大の傑作は、もちろん

东成西就 1993

です。この他に傑作を3つ挙げろと言われたなら、ぼくは

九二黑玫瑰对黑玫瑰 1992
回魂夜 1995
黑玫瑰义结金兰 1997

を挙げたいと思います。“黑玫瑰” と言いつつ、刘镇伟がえんえんと語ってきたのは金庸の 《神雕侠侣》 です。刘镇伟は大の 《神雕侠侣》 おたくであり、王家卫は大の 《射雕英雄传》 おたくです。

なんで金庸なのかというと、金庸ドラマとは中国の伝統文化に無数の疑問を投げかけるドラマだからです。それでも金庸自身は中国伝統文化の“中”に止まります。もちろんそれは、金庸を貶める理由にはなりません。

王家卫は、金庸が提示した中国伝統文化への疑問の“外”へと、やすやすお出かけします。もちろん、王家卫だって中国伝統文化の“中”の人でもあります。一方、刘镇伟は中国伝統文化の“中”でじたばたしながら、ときに中国伝統文化を暴力的に突破します。


なんでこんなことを書いているのかというと、《完美假妻168》 は失敗作だからです。

ときに刘镇伟は、とんでもない駄作を作ります。この映画はとんでもない駄作というわけではありませんが、やっぱり失敗作だと思います。

夫の帰りを待つ妻のもとに、謎の男が不法侵入してきます。男は、お前の夫は拉致したので、夫を殺されたくなかったら168時間(1週間)俺の妻になれと言います。わりとどきどきするシチュエーションなのですが……。

刘镇伟が失敗作を作る場合、少なくとも2つの法則があるように思います。

1つは、休み明けの映画は失敗するという法則です。香港返還後、しばらく黙っていた刘镇伟ですが、王家卫の後押しもあり、久々に新作を撮ります。

梁朝伟赵薇王菲张震が共演する、なんともぜいたくな役者が用意された映画 《天下无双》 がそれですが、なんとも気の抜けた失敗作でした。

もう1つの法則が、有名女優をはじめて使うときは、その女優を大切に扱いすぎて失敗するということです。刘镇伟が初めて(というわけではないのですが)大陸女優を使って失敗したのが、孙俪の 《机器侠》 でした。

もしかしたら、《完美假妻168》 は、刘镇伟は “有名な大陸男性タレントを初めて使うときにも失敗する”--という法則を打ちたてのかもしれません。


灵珠
艳照门の後、钟欣潼(現在は钟欣桐ではなく钟欣潼です)をスクリーンにそっと復帰させてあげたのは刘镇伟であり、それが 《越光宝盒》 でした。

その後、阿娇(钟欣潼の愛称)は、タイムトリップがテーマである 《灵珠》 というテレビドラマで本格的に復帰します。《犬夜叉》 のパクリなのですが、ぼくはけっこう好きです。

それはともかくそんなこんなで、今、阿娇が一番なついているおじさまが刘镇伟です。この二人のなごやかな交流は、新浪でちょくちょく見かけます。じゃあ、なんで刘镇伟は阿娇主体の映画を再び作らないのか? と、ずっとそんなふうに思っていました。

艳照门の直前、刘镇伟は阿娇を主役にした 《出水芙蓉》 を撮っています。この映画では、“大海無量” の術に再びお目にかかれます。そしてまた、黄圣依も出ています。

今年(2014年)4月、ついに刘镇伟は阿娇が出る映画をクランクインしました。それが 《蹴鞠 cùjū》 です。ちょっと新聞記事を読んでみましょう。

由刘镇伟执导,何炅、Twins、邓丽欣、容祖儿等主演的古装喜剧 《蹴鞠》 4月8日在横店举行开机发布会和探班活动,刘镇伟携众主创到场。这部戏,何炅已是第二次出任刘镇伟电影男主角,刘镇伟放话:“给我两部戏,我让你成为下一个周星驰。”

(刘镇伟監督、何炅、Twins邓丽欣容祖儿らが主演するお笑い時代劇 《蹴鞠》 のクランクイン発表会が4月8日開催された。この映画は刘镇伟の映画で何炅が二度目に主演する映画であり、刘镇伟はこう言い放った。“俺は何炅を第二の周星驰にしてみせる”)


どんな物語なのかというと、八大门派のどこがNo.1なのかをサッカーで決着をつけようということになるお話で、何炅は茅山道士を演じていて、阿娇と阿saと三角関係になる模様です。

阿娇はいいのですが、ついでに阿sa(蔡卓妍)まで出てくるのがちょっと心配ではあります。刘镇伟の最大の愚作が阿saの 《情癫大圣》 でした。

ぼくたちは 《蹴鞠》 を見られる日を、首を長くして待っていましょう。

《完美假妻168》终极预告 女神徐若瑄变身女汉子


完美假妻168 Lock ME Up Tie Him Down 預告片

2014年3月25日火曜日

大话天仙 2014 | 孙俪の狂気(躁と鬱)



大话天仙》 は、今年(2014年)2月2日に公開されました。どこででも評判は最悪です。しかし、ぼくはこの映画が見られる日を、ずっと楽しみにしていました。見たよー!

だって今のところ、孙俪の最後から2番目の作品だからです。孙俪の最後のドラマが、もちろん 《甄嬛传》 です。ほんとは、邓超と結婚、娘の出産後、孙俪は 《辣妈正传》 2013 というテレビドラマで主演しているのですが、これは失敗作なので問題外です。


刘镇伟と孙俪は、

机器侠(カンフーサイボーグ)》 2009
越光宝盒》 2010

を作ります。《机器侠》 では、刘镇伟は初めて大陸女優を使います。ほんとうは初めてではないのですが、実質的に初めてと言っていいと思います。

そんなわけなのでしょう。刘镇伟は、孙俪をあまりにもおそるおそるというか、そっとそっと使いすぎて、映画としては失敗していました。とはいえ、孙俪の出演するSF映画ということで、そこそこ客が入ったのでしょう。

引き続き、このコンビは 《越光宝盒》 を作ります。お金もわりとふんだんに使えたこの作品は、おバカさが受けてけっこうヒットします。

おかげで、二人はさらにコンビを組んで3つ目の作品を撮ります。それが 《天仙奇缘》 という映画です。しかし、この映画はいつまでたっても公開される気配がない謎の映画でした。

刘镇伟と孙俪の二人は 《天仙奇缘》 という映画をほったらかしにしたまま、孙俪は 《甄嬛传》 で超ヒットを飛ばし、刘镇伟は
 《东成西就 2011》 でとんでもない大コケ
をくらいます。



《天仙奇缘》 にどんな事情があったのか--そんな事情を、ぼくがはじめて知ったのは、今年(2014年)のはじめ、刘镇伟自身の新浪微博でした。

「スポンサーの資金不足で頓挫してしまった映画だ。しかし、どっかの誰かが、なんと別の役者を使って新たなシーンを撮影して、近々公開されるという。しかし、その映画は自分とはなんの関係もない。これは以前にも言ったことだ」--といったようなことが書いてあったと思います。

そんな事情がありながら 《大话天仙(天仙奇缘)》 という映画は、刘镇伟が監督した映画として堂々と公開され、誰もがこの映画にブーイングすることになります。

そんなこんなで、この映画に文句をつけるのはとても簡単なわけです。豆瓣では2.8という低評価で、現在(2014年3月末)15763人が投票して74.3%の人が最低の1つ星です。

とはいえ、2.5%の人は最高の5つ星(10点満点)を与えています。2.5%の中の一人が、もちろんぼくです。もちろん、この映画の出来がいいとほめたいわけではありません。孙俪が、むちゃくちゃきれいに映っているからという意味での満点です。


監督本人に、この映画を刘镇伟の映画として語ってはならないと言われてしまったら、それに従わざるを得ません。

とはいえ、本体は失われてしまったギリシアの哲学書の断片のように、この映画を刘镇伟映画の断片として語っておくことは、それはそれで大切なことのようにも思います。

《机器侠》 で孙俪の使い方に失敗した刘镇伟は、《越光宝盒》 では、これまで誰も表現したことのなかった孙俪を描くことに成功します。単純に言ってしまえば、《越光宝盒》 の孙俪はただのきちがい女です。

《机器侠》 の孙俪は、これまでの孙俪そのままのイメージというかそれ以下であったわけですが、《机器侠》 を撮影する過程で、刘镇伟は孙俪の躁な一面を発見したのでしょう。

刘镇伟は、香港の役者たちをかなり乱暴に扱ってきたわけですが、《越光宝盒》 の孙俪は、刘镇伟にもっとも過酷に扱われた女優になりました。これによって、《越光宝盒》 は 《东成西就》 1993 にも匹敵する、おバカなお笑いが大爆発する傑作になります。

では、《越光宝盒》 を撮影する過程で、刘镇伟は孙俪の何を発見したのでしょう? それは、躁に対する鬱です。《越光宝盒》 で、 あれだけおバカを演じていた孙俪は、撮影の合間に欝な顔だって、たくさんしていたと思います。

たぶん、刘镇伟はその表情がとってもきれいであることを発見したのでしょう。それが、《大话天仙》 の孙俪です。だから、この映画では孙俪の笑顔は登場しません。しかし、鬱な孙俪の極端にきれいな顔が映っています。

インタビューとかクランクインや公開にあたってのイベントなどにおける孙俪は、普通なおねえさんです。特に美女というわけでもありません。

ところが、孙俪はドラマや映画に出るやいなや、すごい美女に一変します。そんな事情もあって、孙俪はみんなから愛されているのでしょう。

そんなこんなで孙俪は、2003年 《玉观音》 でデビュー以来、孙俪神話を築いてきました。清純とか清楚とか、そういったイメージです。それはそれで彼女にふさわしいのですが、刘镇伟は 《越光宝盒》 と 《大话天仙》 で、誰も描くことのできなかった孙俪を提示しました。

だからこそ孙俪は 《甄嬛传》 で甄嬛を演じきれたのだ--などと軽々しく言ってしまうのはとんでもない錯誤です。《甄嬛传》 の孙俪は、あくまでも従来イメージの延長であって、孙俪がだんだんと鬼になっていく物語です。狂気という方向性には、一歩も踏み込んではいません。

ぼくたちは、刘镇伟だけが表現できた、神聖な孙俪神話を破壊して、突破して、さらにきれいな躁と鬱という両極端な孙俪を創造した 《越光宝盒》 と 《大话天仙》 を見る喜びを味わえたわけです。


刘镇伟は、ときにろくでもない駄作を作ります。その代表がたとえば 《情癫大圣》 です。蔡卓妍のブスが治ったとしても、ブスはブスのままです。刘镇伟という人は、こういったろくでもないファンタジーを描いてしまうと、ついつい失敗します。

《大话天仙》 とは、ブスな蔡卓妍を、冷たく欝で極端にきれいな孙俪に取り替えた 《情癫大圣》 のリメークだったのかもしれません。ならば、もしこの映画がきちんと完成されたなら、ろくでもない駄作だった可能性も否めません。

完成しなかったものについて、とやかく語るのはやめましょう。《情癫大圣》 のろくでもなさと、完成しなかった 《天仙奇缘》 を引き継いだのが 《东成西就 2011 》 という(一般的な評価は別にして)大傑作です。

そんなこんなで、今年(2014年)の3月4日、刘镇伟の新作、《完美假妻168》 が公開されました。このところ大上段に構えすぎていた刘镇伟ですが、久しぶりに普通の日常をドタバタに描いた映画かもしれません。かつての刘镇伟映画のように、普通の日常がドタバタになっているといいなー。


孙俪以外のメンバーについても、ちょっと触れておきましょう。

《越光宝盒》 に続き、郑中基も出ています。今回はモテモテのお金持ち(施文胜)として、孙俪たちをいじめる側に回ります。郑中基とぐるになっている赵夫人を演じるのが相声の超有名人、郭德纲です。

郑伊健(毛松)と林雪(毛大龙)が義兄弟で、赵夫人の意地悪で孙俪(许金凌)は醜い毛大龙に嫁ぐことになります。林雪という人が出ている映画は、このブログでは 《大魔术师》、《超时空救兵》、《八星抱喜》 とかを見ています。

方力申谭耀文の二人がB16星からやってきた殺し屋を演じているのですが、メイクがケバすぎて、いったい誰なのやらさっぱりわかりません。

方力申は刘镇伟組の一人ですが、谭耀文は刘镇伟映画に出たことあるのかなあと思ったら 《情癫大圣》 と 《越光宝盒》 に出ていました。

谭耀文といえば 《雪山飞狐》 とか 《天天有喜》 などでは、粘着質な悪人というイメージですが、この映画では方力申とコンビを組む宇宙人として、けっこう笑わせてくれます。でも、どっちがどっちなんだか、よくわかりません。

黄奕は、学校の先生を演じています。黄奕はこの映画の後も  《东成西就 2011》 で刘镇伟と付き合うことになります。

《东成西就 2011》 でカットされてしまった彼女のダンスは、とっても素敵なんだけどなあ……どうしてカットされてしまったんだろう? しかし、この学校の先生は……。

あとちょこっと出ているのが、この映画の後 《甄嬛传》 で孙俪と壮絶な闘いを繰り広げることになる蔡少芬(皇后)です。よーく見ていないと見つけられないのが胡歌です。蔡少芬はビシッとワンシーンを決めていますが、胡歌はなんなんだろう? 本来は、なんかの役割があったのかもしれません……。

胡歌って、このまま刘诗诗と心中していくつもりなのかな?

あと、忘れてはならないのが李健仁です。この人は刘镇伟組というよりは、周星驰映画において有名なわけです。この人が女装して鼻くそをほじくる姿はこの映画でも見られるので、そのシーンだけは思い切り笑ってかまわないでしょう。

鼻くそをほじくるというのは、中国語で “抠鼻” とか “抠鼻子” とか言います。QQに参加している人なら、おなじみな  “表情” かもしれません。これは気軽に話せるお友達となら、けっこう使える  “表情” です。

しかし、QQの抠鼻表情がもとで、暴力沙汰の事件が起こってしまったこともあるので、抠鼻表情の使用にはくれぐれも注意してください。

周星驰の脇役といえば吴孟达が有名なわけですが、梁朝伟と周星驰が高校の同級生で周星驰が梁朝伟を役者の道に誘ったというのも有名な話だと思います。で、周星驰のもうひとりの同級生が李健仁だったようです。


最後に、邵音音を紹介しておきましょう。刘镇伟は、これまでも強烈なおばちゃまたちを大活躍させてきました。今回のおばちゃまが邵音音おばちゃまです。わりと孙俪と郑伊健の仲を応援してくれるのですが、あまり役に立たなかったようにも思います。

1950年生まれの邵音音はセクシー女優としてデビューし、70年代のはじめから80年代のはじめにかけて売れっ子として活躍します。かつて“中国娃娃とまで言われた彼女だそうですが、あの顔のいったいどこにその面影がある
というのでしょう。

実は整形手術に失敗して、あのアゴができあがってしまったそうです。今ではそれを売り物にして、怖いおばちゃまをやっています。

このブログでは、彼女の出ている映画として 《重口味》 と 《春娇与志明》 を見ています。 《春娇与志明》 では春娇のママが邵音音だったわけですが、そういうわけだっ
たのですね。

邵音音がこの映画に出るということで、“老牌性感女神邵音音加盟 《大话天仙》 影后做绿叶”“邵音音加盟 《大话天仙》 群星力撑成标配”といったニュースネタにもなっています。

“做绿叶--葉っぱになる”って、どういう意味なんでしょ?

“绿叶衬红花”という言葉があるそうです。衬衫の衬には“他のものに添えてそれを引き立たせる”という意味があって、つまり葉っぱが赤い花を引き立てるということになります。単純な単語で言うと“衬托”です。

日本では、こういう場合“花を添える”というわけですが、中国では“葉っぱをそえる”わけです。


ほら。だんだん、この映画を見たくなってきたでしょ。

大话天仙 (Just Another Margin) 2014 预告片


大话天仙 (Just Another Margin) 2014 预告片 2

2012年4月1日日曜日

《回魂夜》 1995 --ゴッホ・ニーチェ・アルトー



賭神(ゴッドギャンブラー)》 1989 という周润发(チョウ・ユンファ)と刘德华アンディ・ラウ)の出演するヒット映画があって、このパロディ映画である《賭聖(ゴッド・ギャンブラー 賭聖外伝)》 1991 が本家ゴッドギャンブラーシリーズよりもヒットしたことによって、周星驰チャウ・シンチー)は香港映画のトップスターになったようです。

《賭聖》を監督したのが刘镇伟(ジェフ・ラウ)で、この人も有名になり、《92黑玫瑰对黑玫瑰(黒薔薇vs黒薔薇)》 1992 、《东成西就(大英雄)》 1993 などのヒット作を作ります。

1995年には刘镇伟監督、 周星驰主演の《大话西游(チャイニーズ・オデッセイ)》2部作が公開されますが、大ヒットには至らなかったようです。そんなわけで、刘镇伟が連続で周星期を使って起死回生に打って出たのが、この

回魂夜(チャウ・シンチーのゴーストバスター)》 1995

のようです。この映画は、あるいは《整鬼专家》とも呼ばれます。ぼくの見たのも、タイトルは《整鬼专家》となっていました。

《回魂夜》は、現在では偉大な経典のひとつとして認知されていますが、興行的には起死回生はならなかったようです。

この後、刘镇伟は、金庸《神雕侠侣》に捧げる黑玫瑰(黒バラ)ものの快作《黑玫瑰义结金兰》 1997  を作るものの、いずれもヒットしなかったようです。

それが原因かどうかは知りませんが、刘镇伟は、しばらく沈黙してしまいます。

一方、 周星驰は自ら《大内密探零零发(008皇帝ミッション)》などを監督したりして、ついには《少林足球(少林サッカー)》で、世界の大スターとなります。

《回魂夜》での 周星驰 の役名はLeon(レオン)です。レオンとはもちろん、梁朝伟トニー・レオン)ではなく、リュック・ベッソンの《レオン》 1994 です。

刘镇伟の映画では、《ニキータ》 1990 のパロディも何度かあったように思います。

また莫文蔚カレン・モク)の髪型があれこれ変わるのですが、そのなかのひとつはクエンティン・タランティーノの《パルプ・フィクション》 1994 です。

ゴッホと言えばきちがいとして有名な人のひとりであるわけですが、《回魂夜》を見ながら、やはりきちがいとして有名なアルトーが書いた、ゴッホについての美しい文章を思い出してもいいでしょう。

ばあさまギャグ
--人びとは、ヴァン・ゴッホが精神的に健康だったということができる。彼は、その生涯を通じて、片方の手を焼いただけだし、それ以外としては、あるとき、おのれの左の耳を切り取ったにすぎない。
ところが、彼の生きていた世界では、人びとは、毎日、緑色のソースで煮たヴァギナや、鞭で引っぱたいて泣きわめかせた赤ん坊の、母親の性器から出てきたところをつかまえたような赤ん坊の性器を喰っていた。
ヴァン・ゴッホ」アントナン・アルトー(ちくま学芸文庫)

きちがいと言えば、もうひとり忘れてはならない人--ニーチェがいます。

--1888年の終わり頃から、ニーチェは異様な手紙を書いている。たとえば、ストリンドベリに宛てた手紙には、こうある。「私はローマに、君主たちの会議を招集しました。私は若いドイツ皇帝を銃殺に処したいのです。ではまた、さようなら! またお会いできるでしょう。一つだけ条件があります。離婚しましょう……。ニーチェ-カエサル」。…(略)…たとえば、コジマ・ワーグナーに宛てて、「アリアドネよ、おまえを愛する。ディオニュソス」と著した書状を送る。
ニーチェジル・ドゥルーズ(ちくま学芸文庫)

刘镇伟ファンであれば、狂気をテーマにしたギャグは、後の《出水芙蓉》 2007 につながることを覚えておいてもいいでしょう。

さて、《回魂夜》とは、どんな意味でしょうか。百度百科の《回魂夜》のページには、いくつかの“回魂夜”の“民间习俗”が紹介されています。

越光宝盒》を思い出してください
人死后的第七天,俗称头七,也叫回魂夜,也就是说死者有什么未了之事,由鬼差押解回来,与阳世间的亲人见面;或者是带一帮刚在阴间认识的新朋友回来阳间,阳间的亲人就摆一桌酒席,让死者招待朋友。各处说法不一,可是意思也差不多。

未了wèiliǎo:まだ終わっていない
押解yājiè:囚人や捕虜を護送する
阳世yángshì:この世
阴间yīnjiān:あの世

人が死んでから7日のことを、俗に“头七”と言い、あるいは“回魂夜”とも呼ばれる。この世に未練のある死者が、現世に帰ってきて家族と会う日のことである。また、死者があの世でできた新しい友達を連れて帰ってくる日であるとも言われる。この日、死者が友達をもてなせるように、家族は宴会の席を設ける。

在先人死后的第七日俗称为「头七」,在传统信仰中同时称「头七」为回魂夜,相传先人的灵魂当晚会由牛头马面陪同下,回到生前居住的地方作最后缅怀,先人的灵魂还可以像生前一般在家中活动。

相传xiāngchuán:~と伝えられている
牛头马面ごずめず
陪同péitóng:お供する、付き添う
缅怀miǎnhuái:追想する、しのぶ

わあ! 《東成西就 2011》……
“回魂夜”の夜には、死者の霊は“牛头马面”にお供され帰ってきて、家族と最後のお別れをする。このとき、死者の霊は、生きていたときと同じように活動できる。

また、玄学xuánxué(玄学|げんがく)の専門家方海阅が言うには、“回魂夜”には赤い紙に観音などを記したお札を貼っておくとよい、くれぐれも黄色いお札を貼ってはいけない、黄色とは“神光”を代表するからである--などということも書かれています。

回魂夜(整鬼專家)主題曲


2012年2月9日木曜日

九二黑玫瑰对黑玫瑰(黒薔薇vs黒薔薇) 1992


ラベル《黑薔薇/黑薔薇》に属するブログ 6



黑玫瑰》にこだわる刘镇伟の最大の傑作が

九二黑玫瑰对黑玫瑰 1992 香港

だと思います。

なんで、わざわざ 《九二黑玫瑰对黑玫瑰》と、“92” というのが付いているのでしょうか?

もちろん、《黑玫瑰与黑玫瑰》 1966 の92年版という意味でしょう。

あるいは、、《九一神雕侠侣(神鳥伝説)》 1991 という映画があることを知っている人もいるかもしれません。

《黑玫瑰与黑玫瑰》 1966 が、映画が映画を語る映画であったように、《九二黑玫瑰对黑玫瑰》でもいきなり売れない女シナリオライターが登場します。

この女の子が書いたシナリオとは、“ある女の子が皇帝に気に入られました”というだけのお話で、その先、何も展開しません、好感がもてるシナリオだと思います。

          *

登場人物と役者は、こんな具合です。

胡蝶--邵美琪
吕奇--梁家辉
阿娟--毛舜筠
师姐--黄韵诗
师妹--冯宝宝

この映画については、なにも語らないほうがいいようにも思います。だって、あまりにすてきだからです。見て、笑えば、それだけでいいでしょう。

刘镇伟については、《尸家重地(オカルト・ブルース)》 あたりを参照してほしいと思います。

あと、《东成西就 2011》 は、中国では、あるいは、心なき日本の人にも評判が悪いようですが、大傑作です。

一度見て、もし、面白いかもしれないと思ったなら、10回以上見てください。この  《九二黑玫瑰对黑玫瑰》 にも負けない映画であることがわかるはずです。

92 黑玫瑰對黑玫瑰:插曲 《美麗的花蝴蝶》


黑玫瑰对黑玫瑰 (粵語) cantonese




《ラベル“黑玫瑰/黑薔薇”に属するブログ--目次》
 0 玫瑰玫瑰我爱你 1940
 1 黑玫瑰 1965
 2 黑玫瑰与黑玫瑰 1966
 3 女黑侠木兰花 1966/1981
 4 侠女黑玫瑰 1991
 5 女黑侠黄莺 1992
 6 九二黑玫瑰对黑玫瑰 1992
 7 玫瑰玫瑰我爱你 1993
 8 黑玫瑰义结金兰 1997
 9 见习黑玫瑰 2004 (出水芙蓉 2007)
10 黑玫瑰(电视剧) 2009
おまけ 猛鬼差馆(バンパイア・コップ) 1987