2015年11月8日日曜日

花千骨 2015|舞台は 《仙剑三》、物語は金庸の良いとこ取り



とにもかくにも、今年(2015年)の大陸におけるテレビドラマの最大の話題作がこの

花千骨 2015

でした。《花千骨》 は、湖南卫视の钻石独播剧场で6月9日から放映がはじまり、9月7日に大結局を迎えました。週に4話(週2日、1日2話の放映)の放映なので、全58話の放映が終わるにはけっこう時間がかかります。

昨年(20104年)、だいたい同じ時期に同じパターンで放映されたのが

古剑奇谭 2014

でした。杨幂最後の主演ドラマとして、ぼくは 《古剑奇谭》 にかなり期待していたのですが、ちょっと期待はずれでした。そんなこともあって、この 《花千骨》 にはあまり期待していませんでした。ところが、あらま!  これ面白いじゃありませんか!!


花千骨を演じる赵丽颖は可愛いタイプの女優さんで、個人的には特にタイプではないのですが、このドラマにはふさわしかったように思います。なによりも霍建华が演じる花千骨の師匠、白子画が真面目一辺倒で、その冷たさがぼくたちを大いに笑わせてくれます。

中国のテレビドラマは、何かが大ヒットすると禁止事項が追加されてしまいます。たとえば 《》 とか 《步步惊心》 などの穿越(タイムトリップ)ものが当たると “歴史を改ざんする穿越ものは禁止” といった具合です。

そんなわけで、最近の古装戏(時代劇)における話題作は、いつでもないどこでもない場所で仙人や妖怪が活躍します。それが 《古剑奇谭》 であり、この 《花千骨》 ということになります。この系列のドラマは “仙侠” ものと呼ばれ、(たぶん)《仙剑奇侠传(仙剑一)》 が源流です。


じゃあ、そもそも 《花千骨》 がなんなのかというと、まずは小説です。fresh果果という若い女の子が書いたベストセラーです(1986年6月贵州生まれ、2005年中国传媒大学卒業?)。2008年12月31日、晋江文学城で連載がはじまり、2009年にはたちまち超人気作家になります。

テレビドラマ 《花千骨》 の原作が小説であり、《仙剑奇侠传》 や 《古剑奇谭》 の原作はゲームです。

“仙侠” ものは、まず小説とゲームにおいて、あるいは小説とゲームの相互影響のもとで、この分野が開拓されていったのでしょう。

“仙侠” ドラマの大傑作が 《仙剑三》 2010 ですが、原作であるゲームは2003年に発表されています。そしてこの頃、fresh果果は小説 《花千骨》 で超有名になります。

ドラマ 《仙剑三》 でも 《花千骨》 でも仙術を身につけた道士は、剣に乗って空中を飛びます。剣に乗って空を飛ぶ術は、仙剑系列のゲームが発明したのか、fresh果果が発明したのか、あるいは他の誰かが発明したのか、ぼくは知りません。


仙剑シリーズと 《花千骨》 において、共通する大切なキーワードが “六界” です。世界がどうして6つ部分から成り立つのかというと、これは女娲の天地修復神話と関係しているのですが、詳しいことは知りません。何が六界なのかというと、“神界”、“魔界”、“仙界”、“妖界”、“鬼界”、“人界” です。

“神界” と “魔界” は徹底的に対立するものとして存在していて、その間に仙界、妖界、鬼界、人界があります。“魔界” と “鬼界” は同じではありません。

魔は神と対立するものですが、鬼界に存在するのは亡霊たちで、簡単に言えば地獄です。仙界にいるのは、修練を重ねて神に近づいた人たちです。

人間を作ったのが女娲ですが、仙剑シリーズでは女娲の后人(子孫)があれこれの活躍をします。《仙剑一》 では、なんと刘亦菲がへび女になって、山中を駆けずり回るのでした。そして 《花千骨》 の花千骨も、実は女娲の后人です。

そんなわけで 《花千骨》 のドラマの舞台は“いつでもない” “どこでもない” いまだ六界が存在していた世界です。舞台はそうなのですが、展開するドラマは金庸ドラマのいいとこ取りと言っていいでしょう。


どんな物語なのかというと、基本は长留(仙人の修業を行う集団)vs 七杀派(魔界の住人たち)の対立が基本になります。

人界の武功集団も登場するのですが、いずれも七杀派にはかないません。

しかし、物語はそう単純ではないようです。异朽阁という組織が不気味が動きをしています。

物語の中心は长留のトップである上仙・白子画と花千骨の恋なのですが、白子画は花千骨に対して一貫して冷たい態度を貫き通します。ぼくたちは、白子画と花千骨がいつかひしと抱き合うシーンを見たくてしょうがないわけです。

白子画は、花千骨が自分の “生死劫” であることを知っています。“生死劫” とは、自分を死に至らしめる縁のある人間のことです(本来は囲碁における無限ループになってしまうパターンのようです)。

自分にとっての “生死劫” の血を “验生石” にたらすと验生石が光ります。

一方、花千骨は、自分が白子画の生死劫であることを知りません。やがてそのことを知ったとき、彼女は白子画の前から姿を消そうと決心するのですが……。この “生死劫” と “验生石” が、fresh果果のオリジナル開発なのかどうか、それも知りません。


準主役の一人が东方彧卿で、なにかにつけ花千骨の力になってくれます。花千骨にとって东方は最も良き友人ですが、东方は花千骨を愛してしまいます。东方をパパ、千骨をママと認識するいも虫が糖宝です。やがて、糖宝は人間の姿となり、长留の弟子の一人、落十一と恋に落ちます。

《仙剑三》 で、原作ゲームとは異なる唯一のキャラがじゃがいもの精である五毒兽で、五毒兽はやがて花楹という人間の女の子になります。この設定は、あきらかに 《仙剑三》 が小説 《花千骨》 から拝借してきたものでしょう。

このドラマのキャラクタたちのあれこれについては、こっちに書いておきました。

花千骨 2015|ぼくたちを大笑いさせてくれた素敵な登場人物たち


中国の一般の人たちはテレビドラマ 《花千骨》 を、大結局(最終回)以外は、普通に楽しんでいました。

ただし、中国にもコミックやライトノベルやアニメや小説好きの女の子がたくさんいます。そんな彼女たちにとって小説 《花千骨》 は、強烈な経典です。

このドラマの放映が始まるころ、QQにおいて、ぼくには当時中三の三人の女の子の徒弟がいました。彼女たちはもう中学生ではなく、高校に通ったり、美容師の道を目指していたりします。じゃあ、いったいぼくは何の师父なのかというと、いまだにわかりません。

そのなかの一人は、“もうすぐテレビドラマの 《花千骨》 が始まるけれど、わたしは原作のイメージを大切にしたいので人間版のテレビドラマは見ない!” と言っていました。小説 《甄嬛传》 もある意味、ベースにあるのは少女漫画だったと思いますが、《花千骨》 はもっと少女漫画なのです。

おたく少女ではない人は、そういう態度でこのドラマに臨まないと、大笑いできないでしょう。ぼくは、このドラマを見ている間、ずっと大笑いしていました。


原作者であるfresh果果は、このドラマのシナリオにも参加しています。実写化にあたって、あれこれアイデアを出したそうです。

とはいえ話題作はあれこれ吐槽され(突っ込まれ)ます。原作の改編度がひどすぎとか、霍建华はなんの演技もしていないとか、あれこれ言われます。そして、誰もがあぜんとしてしまったのが大結局(最終回)なのですが、実際に見てあぜんとしてください。

なお、この本家とでも言うべき 《花千骨》 の放映が終わると、すぐに放映が始まったのが、 《花千骨 2015》 です。

これは、原作とは関係ありませんが、《花千骨》 の後日譚で、花千骨御一行様が、穿越(タイムトリップ)して現代にやってきます。すこぶる評判は悪いのですが、本家 《花千骨》 同様、ぼくはこっちもけっこう笑いました。

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花千骨 蚀骨画

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