2012年7月31日火曜日

《赤壁(レッドクリフ)》 2008-2009 -略懂略懂




赤壁 上》は、胡军扮する子龙が阿斗をかかえて、まるで《天龙八部》の萧峰みたいな勢いで敵を斬りまくるあたりから始まります。

わあ、久々に超大作映画というのを見ました。このブログでも三国志ものはいくつか見ています。

超时空要爱》 1998
越光宝盒》 2010
关云长(三国志英傑伝 関羽)》 2011
回到三国》 2012

とりわけ、《回到三国》 は、ぼくのお気に入りです。誰にも省みられることはないのかもしれませんが……。

《关云长》は孙俪が出ているので見ただけでどうでもいいのですが、問題は《超时空要爱》と《越光宝盒》です。

《超时空要爱》は、ニヒルな刑事(梁朝伟)と、下っ端ヤクザのカップル、カップルの仲間のヤクザ、自殺した女の子、三国時代から穿越してきた关羽(関羽)の魂に乗っ取られた京劇役者とそのかつての相方、なぜか事件に巻き込まれてしまったおっさんの8人が、三国時代に穿越(タイムトリップ)してしまう物語でした。

《越光宝盒》は、牛魔大王の騒ぎに巻き込まれた孙俪と郑中基が三国時代に穿越してしまう物語でした。あら? ふと気づくと、いったい二人はいつの時代から穿越したのでしょうか? 牛魔大王が月光宝盒を持っていたわけで、もとの時代は西遊記の舞台である初唐だったのかもしれません。

ぼくがお気に入りの、《回到三国》は、诸葛亮をアイドルとあおぐ香港の三国志ゲームおたくが、三国時代に穿越(タイムスリップ)してしまう物語です。

《越光宝盒》と《回到三国》をより楽しむためには、《赤壁》を見ておいたほうがよかろう--というようにも思います。

《越光宝盒》の诸葛亮はしきりに“略懂略懂”を繰り返すので、《赤壁》の诸葛亮が“略懂”というセリフを言うところも見たかったのでした。もちろん、《回到三国》の诸葛亮も“略懂”を口にします。

ぼくはいつも、刘备-关羽と刘邦-项羽が、どっちがどっちだったか、誰が誰だったかわからなくなってしまいます。なんとなく名前が似ているからです。

西晋の陈寿が書いた《三国志》をベースに、《三国志》にまつわるあれこれな物語があれこれな形で書かれたり語られたりするわけですが、その集大成がフィクション《三国演義》ということになるようです。

《三国志》を語るお話のひとつに、《新全相三国志平話》というのがあります(14世紀、元の時代)。全相というのは照相の相(4声)であって、全部のページに絵が入っているよという意味だそうです。

この物語の冒頭では、司馬仲相という書生が天界の天帝に呼び出され、ある事件の裁判官になります。被告は漢の始祖・高祖(刘邦)とその妻・吕后、原告は漢帝国成立後次々に殺された功臣である韓信、彭越、英布の3人、証人は蒯通という論客。

司馬仲相がどういう判定をしたのかというと、韓信を曹操、彭越を刘备、英布を孙权、蒯通を诸葛亮に転生させ、刘邦と吕后は献帝とその妻伏后に転生させるというものだったそうです。

--参考文献:「三国志演義」(井波律子)岩波新書

《回到三国》 2012 - 三国志にすべる


今年(2012年)の7月から8月にかけて、こんなテレビドラマが放映されました。

回到三国》 2012

ちょうど、《轩辕剑》の放映期間と重なっていました。もちろん、人気は圧倒的に《轩辕剑》なのですが、ヒロイン刘诗诗がブスであると同時に、演技が杨幂の下手なまねであるため、ドラマをもたもたさせてしまい、《仙剑3》の爆発力とスピード感に遠く及びませんでした。

そんなわけで、ぼくは《轩辕剑》を見るよりも、この《回到三国》を見るほうが楽しみになってしまいました。特に出来がいいというわけではないのですが、けっこう気に入っています。

ストーリーや登場人物については、“《回到三国》 2012 - 5分でわかる三国志人物伝”を参照してください。

このブログでは、三国志ものとしては

超时空要爱》 1998
赤壁(レッドクリフ)》 2008-2009 -略懂略懂
越光宝盒》 2010
关云长(三国志英傑伝 関羽)》 2011

を見てきました。

ぼくと同様に、三国志に詳しくない人は、《赤壁》とか 《关云长》などを見ておくと、《越光宝盒》やこの《回到三国》を見て、もっと笑えるように思います(《赤壁》や 《关云长》が正統な三国志物語というわけではないのですが……)。


《回到三国》は、諸葛亮をアイドルとあおぐ三国志のゲームおたく司馬信が、三国志の時代に穿越(タイムトリップ)してしまう物語で、香港のテレビドラマです。

最近の香港映画は、香港の映画なのか中国の映画なのかわからないことが多いわけですが、“香港のテレビドラマ”は今でも健在のようです。

香港のテレビドラマでは(あるいは映画でも)、資金が少ないという理由とか、自然が少ないという現実などにより、ちゃちなセットを作って、いかにもご都合主義な物語とかお笑いとかが、田舎芝居のように展開していきます。

したがって、《回到三国》の戦闘シーンなどでは、CGというかVFXというか、そういう技術はほとんど使われていません。10数万の民とか100万の大軍とかは、《回到三国》ではせいぜい20人とか30人くらいにしか見えません。このスケール感には、とても好感が持てます。

このブログでは香港のテレビドラマとして《鹿鼎记》 1984 を見ています。30年近く前のドラマで、梁朝伟トニー・レオン)もとても若いわけですが、お気軽な演技とか、手抜きな撮影とか、安易なアクションシーンとか、そういった構造のあれこれは《回到三国》にも継承されています。


諸葛亮諸葛孔明)おたくの司馬信が、よくも都合よく三国時代にタイムトリップできたものです。しかも、そのとき三国志もの映画だかテレビだかのエキストラをやっていたので、自然に地元の人々とお友達になります。そのうえ、その村には諸葛亮が住んでいたのです。

そのころ、ちょうど諸葛亮は結婚式をあげます。司馬信は、ぶさいくな奥さんをもらうなんてやめちゃえと諸葛亮に提言するのですが、諸葛亮は言うことを聞いてくれません。

そのあと、劉備が諸葛亮を軍師として迎えるためのお願いにやってきます。このドラマでは軍師を補佐する役目の人を謀士と呼ぶのですが、司馬信は諸葛亮の謀士になろうとします。

しかし、まだつきあいが浅いという理由で、諸葛亮は司馬信を謀士にしてくれません。そこで、劉備軍団に従来からいる軍師・韓良の謀士になって、劉備一家に潜り込みます。

三国志ファンならばご存じなのでしょうが、三国志には韓良などという人は登場しないそうです。これはネットに書いてあったことなので、本当かどうかは知りません。

でも、劉備軍団にもともとの軍師がいたとしても不思議ではないでしょう。それに、司馬信が飛び込んだ世界は歴史としての三国時代というよりは、《三国演義》という物語世界であるように思われます。

映画《赤壁》は、10数万の民を率いて荆州から撤退する刘备軍団が、曹操軍団に蹂躙されるあたりから始まります。長坂の戦いという有名なお話なんだと思います。刘备軍団はかろうじて曹操軍団の追撃を振り切ったあと、長坂橋を切り落として、曹操軍団の足を一時的に止めます。

《回到三国》でのこのシーンでは、最後に橋を渡ってきた张飞に、司馬信は大声で怒鳴れと言います。そして、张飞の絶叫によって橋が倒壊します。

このエピソードは、《演義》にはなく、《赤壁》の記事で紹介した講談のタネ本《新全相三国志平話》に書かれているそうです。

つまり、司馬信は《三国演義》という物語世界に穿越したというよりは、語り物とかお芝居の三国志世界に突入した模様です。

映画とかドラマが関羽と張飛を造形するとき、必ずや京劇風のメイクにしないと許されないようです。《赤壁》でもそうであったように、このドラマでもそうです。

穿越のしくみは、星の運行のタイミングによって、時空の裂け目というかねじれが起こるというパターンで、これは《》タイプの穿越です。

《宮》では、穿越の先輩がいたことにより、晴川が現代に帰る道が開きました。《回到三国》では、司馬信の携帯電話がどういうわけか、SFおたくの妹とつながって、彼女とメールをやりとりすることによって、現代への帰還を模索します。

妹は、タイムトラベル研究家の曹教授に兄を現代に戻す術を依託します。タイムトラベルものが守らなければならない原則は、歴史を改変してはいけないことです。しかし、司馬信は、そんなことはまったく気にしていないようです。

刘备の二人の奥さんがけんかして刘备が困ってしまうシーンとか、関羽と張飛がちょくちょくけんかして刘备が困ってしまうシーンとか、諸葛亮の奥さん(月英)が家出してしまい諸葛亮が休暇を取って奥さんを探しに行くシーンとか、“死八婆”=蔡夫人の横暴ぶりとか、あれこれ楽しめると思います。

あと、物語が喜劇だ悲劇だ人情話だとか、あれこれ展開するなか、なごませてくれるのが、司馬信が穿越して最初に出会った范根です。

范根は刘备軍団の兵士になるわけですが、ついにはI'm sorryという英語も使えるようになります。

最後はちょっと悲しいお話になってしまうのですが、これとは別のエンディングもあります。見たい人は、あれこれ探してみてください。

等你回来(回到三国主题曲) 林峯 官方MV


Always on My Mind 回到三國

2012年7月30日月曜日

《回到三国》 2012 - 5分でわかる三国志人物伝




回到三国》は、現代の香港の男の子・司马信が三国時代に穿越(タイムトリップ)してしまい、诸葛亮の助手として活躍するテレビドラマです。

《回到三国》の概要については、“《回到三国》 2012 -- 三国志にすべる”をご覧ください。

ここでは 《回到三国》 で活躍する人々を、簡単にまとめておきます。ただし、ぼくは 《三国志》 とか 《三国演義》、あるいは三国志にまつわる民間伝承とか講談などについては、ほとんど知りません。したがって、ここに書いたことの虚実については不明です。

なお、リンクは(百)が百度百科、(W)が日本語ウィキペディアを示します。


司马信
<司马信>
司马信()の一家は香港で、軽食系のお店を経営しています。パパは司马彪、ママは方玉萍と言います。弟が司马明で、勉強ばかりしています。司马信はそんな弟へのコンプレックスから、遊んでばかりいます。

司马信のお友達が火咀と费查で、彼らは三国志ゲームのおたくです。诸葛亮は、司马信にとってはアイドルです。お金持ちのドラ息子・周志贤が三国志ゲーム大会を開き、司马信たちはこれに参加します。

司马娟
司马信の妹が司马娟で、わりとおにいさんにやさしく接してくれます。彼女はSFおたくで、タイムトラベル研究家の曹教授の援助のもと、司马信を現代に帰還させようと努力します。司马信と妹の連絡手段は携帯電話のメールです。

<范根>
司马信は崖の途中にタイムトリップしてしまうのですが、自力で崖の上に這い上がります。ところが、もう一人、崖の下に落ちそうになっているのが范根()です。

范根
司马信に助けてもらった范根は、司马信を大哥と呼び、司马信の面倒を見てあげます。范根は、司马信とともに刘备軍団に参加します。

范根は、司马信に好意を寄せる桑柔に対して、一貫して冷たい態度をとる司马信には批判的です。司马信と桑柔は周囲はカップルとして認めているのですが、ついには桑柔に対して気がないことを告白します。この事件のあと、范根は司马信に対して、ほんとうはお前を殴ってやりたいんだと詰めよります。

刘表
<刘表>+<蔡夫人>
刘备軍団は、荊州に身を寄せています。荊州牧として荊州を支配する刘表()が、刘备軍団を受け入れてくれたからです。

ただし、荊州の実権を握っているのは、刘表のお妾さんである蔡夫人です。蔡夫人は弟の蔡瑁()と結託して、税金をごまかしているのです。刘备軍団が荊州にいるのが面白くない蔡夫人は、刘备軍団に無理難題をふっかけます。


蔡夫人
司马信は、蔡夫人を“死八婆(くそばばあ)”とののしります。当時の人々は“死八婆”なんていう台湾言葉というか香港言葉を知らないわけですが、刘备も关羽と张飞も、すっかり死八婆という言葉を覚えてしまいます。

刘表は死ぬ直前に、刘备に荊州を譲るというのですが、刘备は刘表の長男・刘琦()があとを継ぐべきだと考えます。ところが、蔡夫人は実子である刘琮()に荊州牧を継がせようと画策します。刘表はとりあえず刘琦を江夏の領主にさせます。

诸葛亮
<诸葛亮>+<黄月英>
司马信が穿越してきた村では诸葛亮(卧龙|孔明)[]が住んでいて、結婚式をあげる直前でした。司马信は、诸葛亮がぶさいくで病弱な黄月英(
を妻にするのが気に入らないのですが、诸葛亮はそんなことは一向に気にせず、月英を娶ります。

やがて、刘备()が诸葛亮に軍師になってくれとお願いにやってきて、诸葛亮はOKします。诸葛亮は月英を連れて軍団に参加しようとするのですが、月英は病弱な自分が足手まといになるのを怖がります。しかし、诸葛亮はだからこそいっしょにいようではないかと月英を説得します。

月英
司马信は、诸葛亮の助手(谋士)になろうとするのですが、诸葛亮が許してくれません。そこで、刘备軍団のもともとの軍師・韩良の谋士になります。こうして、司马信は范根も連れて刘备軍団に参加します。

<关羽>+<张飞>
关羽(关云长) [] と张飞()は、刘备が诸葛亮を軍師に迎えたことがあまり面白くありません。赵云が、兵士の訓練方法についてたずねると、张飞は赵云に言います。実戦の経験もない人間に、戦のことなんか聞いたって意味がない--と。

关羽
关羽と张飞は、たいていはセットで行動しますが、ときにはけんかもします。作戦会議においては、意見らしい意見は提出しません。

<夏侯惇>+<吕布>
曹操は夏侯惇()に荆州攻撃を命じますが、诸葛亮の奇策によって夏侯惇を破ります。これにより、关羽と张飞も诸葛亮を信頼するようになります。

张飞
この戦いでは、司马信が桑柔に作り方を教えてあげたハンバーガーが、糧食として大活躍します。

さて、曹操は、吕布()の件もあって夏侯惇を死刑にはしないのですが、そのかわり夏侯惇の部下を斬ります。

<刘备>+<甘夫人>+<糜夫人>
ある日、刘备の二人の奥さんがけんかをはじめます。甘夫人(大夫人) [} の息子・阿斗は、糜夫人(二夫人) [] の侍女・桑柔が面倒を見ると泣き止みます。だから、大夫人は二夫人に桑柔を譲ってくれと言うのですが、二夫人は承知しません。

刘备
刘备は、诸葛亮になんとかしてくれとお願いします。しかし、诸葛亮は、自分は結婚したばかりなのでそのような問題には通じていないと、知恵を出してくれません。

<桑柔>
张飞が奥さんたちの屋敷にやってきて、桑柔を連れてこい! 真っ二つに叩き斬って、奥さん二人に半分ずつくれてやるわ! と怒鳴ります。これに震え上がった奥さん二人は仲直りします。

大夫人
この知恵を出したのが司马信で、桑柔は司马信に好感を持ちます。桑柔は司马信のお部屋の掃除をしてあげたり、司马信が風邪をひいて熱を出せば、かいがいしく看病してあげます。

実は桑柔は縁談が決まっていたのですが、司马信から自由恋愛の話を聞いて、縁談をことわってしまいます。

<韩良>
二夫人
刘备軍団の従来からの軍師・韩良は、新たな軍師・诸葛亮の存在に不満です。それでも、谋士・司马信の手柄のおかげで面目は保っています。しかし、司马信は刘备軍団から脱走してしまいます。

司马信は、曹博士の計算した時空の裂け目ができる時間と場所を目指すため脱走したのですが、計算ミスによって香港に帰る道を失ってしまいます。

韩良
司马信は捕まってしまい下男として働くことになり、韩良はついには诸葛亮殺害計画にとりかかります。司马信は韩良に協力するふりをして、韩良の陰謀を暴き、ついに诸葛亮の谋士になります。

<曹操>+<荀彧>
息子を荆州牧にしたい蔡夫人は、ついには刘备軍団に戦いを挑みます。思ってもいなかった戦となってしまった刘备軍団は、あわてて準備にとりかかります。牢屋に入れられていた韩良は、この混乱に乗じて脱走してしまいます。

桑柔
曹操()と曹操の軍師・荀彧()は荆州の紛争にかこつけて、一気に荆州を乗っ取ろうとします。そこで刘备軍団は、蔡夫人と同盟して曹操軍団に対抗しようとします。

逃亡した韩良は曹操軍団にたどりつき、曹操の軍師・荀彧にひろってもらいます。荀彧は、韩良を曹操に面会させ、韩良を曹操の軍師にしてあげます。韩良は、蔡夫人のもとに赴き、刘备一派は夫人のことをいつも“死八婆”と罵っているのだと事実を告げ、刘备と蔡夫人の同盟を決裂させます。

子龙
<赵云>+<阿斗>
孤立した刘备軍団は、荆州を引き払って江夏に向かうことにします。しかし、曹操軍団に襲撃され大きな損害を受けます。

桑柔は、大夫人と二夫人、阿斗についていたのですが、曹操軍に取り囲まれてしまいます。赵云(子龙) [] の部隊が駆けつけ、まずは大夫人を助けます。赵云は一人で阿斗を抱えた二夫人を助けにいきますが、子供と女を守りながらの戦いは容易ではありません。

二夫人は、曹兵の剣に自らの体を押し付けて死んでしまいます。身軽になった赵云は、阿斗を連れて刘备軍団に戻ります。

孙权
<孙权>
刘备軍団は、东吴と同盟して曹操軍団に対抗しようとします。しかし、孙权()の態度は煮えきりません。そのうえ、判断の決定を大きく左右する吴の軍師・周瑜は会議にやってきません。

孙权はゲームおたくで、司马信と诸葛亮はゲームを通して孙权に近づきます。

司马信は、孙权は偉大な兄・孙策にコンプレックスを持っているため遊んでばかりいて、本気で戦うことに自信を持てないのだと見抜きます。自分も、ある意味そうであったからです。

司马信と诸葛亮はトランプを作って、カードゲームを通して孙权に自信を持たせようとします。

鲁肃
<周瑜>+<鲁肃>
东吴の鲁肃()は、刘备軍団と东吴の同盟にあれこれ協力してくれます。

軍師として名高い周瑜()は、なにかにつけ诸葛亮が高く評価されることが気に入りません。したがって、东吴単独で曹操と戦い、自分の名声を高めたいと思っています。

しかし、孙权は刘备軍団との同盟を決断してしまいます。こうして、周瑜は自分の手柄を立てるため、诸葛亮の邪魔立てをはじめます。

周瑜
<小乔>
周瑜の妻・小乔()は、周瑜以外にとっては鼻持ちならないお嬢様です。

东吴と刘备軍団が同盟するにあたって、周瑜が江夏を視察する際には、江夏の人々に食料をわけてあげますが、江夏の民の汚さにへいこうしています。

小乔はあれこれ難癖をつけて、桑柔をいじめます。司马信は、小乔は公主病シンデレラコンプレックス)なんだと説明して、桑柔をなぐさめます。

小乔
<华佗>
月英の発案で、诸葛亮と月英は“木牛流马木牛)”を発明します。“木牛流马”を使えば、山岳地帯において20人で運ばなければならない物資を、一人で運べるのです。“木牛流马”の試験をすることになり、月英は自分も実験の現場に立ち会いたいと言い、诸葛亮はしかたなくこれを許します。

“木牛流马”に嫉妬した周瑜は、“木牛流马”を実権するという情報を曹操側にもらし、诸葛亮と月英、赵云たちは曹操の兵に取り囲まれてしまいます。さらには、月英はもともとの病気が発病して倒れてしまいます。

华佗
月英の地理知識によって、彼らはなんとか帰還するのですが、月英の病は重く、医者たちは何もできず、明朝までは持たないだろうという判断を下します。

司马信が夜道を歩いていると、たまたま华佗()を見かけます。司马信は、华佗に月英を助けてくれとお願いして、月英は华佗のおかげで命をとりとめます。


<司马懿>
司马懿
あれこれの事情があって、司马信は再び韓良の谋士になります。つまり、曹操側に属することになってしまいます。韓良は、荀彧が曹操に推挙した司马懿()が、自分の出世のためにはとても邪魔なんだみたいなことを、司马信に言います。


このあたりから、一気にクライマックスに突入していきます。あとは、実際のテレビドラマを楽しんでください。


2012年7月17日火曜日

鸿门宴 2011 -- 虞美人・刘亦菲(+天龍八部)



ぼくは、孙俪スン・リー)が出ているというだけで、《关云长》という映画を見なければなりませんでした。そういうのと同じ理由で見なければならなかったのが

鸿门宴(传奇)》 2011

です。だって、刘亦菲が出ているからです。

ぼくはいつも、刘备劉備)-关羽関羽)と刘邦劉邦)-项羽項羽)が、どっちがどっちだったか、誰が誰だったかわからなくなってしまいます。だって、なんとなく名前が似ているからです。

《关云长》は刘备-关羽などにまつわる物語で、つまりはいわゆる三国志関連のお話だったのですが、《鸿门宴》は、刘邦-项羽についてのお話のほうで、つまりは、戦国時代の混乱を制した秦がはやばやと崩壊した後、漢帝国ができる過程を描く物語です。

中国の歴史には、大混乱の時代があって、その後に大帝国の時代がくるという法則があります。しかも、大混乱の時代を整理する帝国はあっさりと滅びてしまい(秦・隋・民国)、その後にさらなる大帝国ができあがり、その大帝国は300年生きながらえます。

刘亦菲は、もちろん虞姬虞美人)を担当しています。

最近(2012年7月)、刘亦菲の出演する《四大名捕》という映画が公開されたはずですが、期待はしないで、そのうち見てみようと思います。

ところで、刘亦菲がどんなお家に住んでいるかというと、上の写真のようなお家です。
なんと、5000平米の豪宅だそうです。

秦の始皇帝は、儒教を禁止して、いわゆる焚書坑儒を実行します。ぼくはつくづく思うのですが、秦の儒教禁止とローマ帝国のキリスト教禁止が成功していれば、どれほど現在が幸せであることでしょうか。

この映画の鸿门宴鴻門の会)では、金庸 《天龙八部》 の囲碁のシーンが盗用されています。天龙八部》では、足の指が何本あるかということが問題だったわけですが、こちらでは手の指の本数が問題となります。

もちろん、刘亦菲はテレビドラマ《天龙八部》 2003 に出ています。天龙八部》 は、刘亦菲のほとんどデビュー作のように思います。 

この映画について語っておかなければならないのは、项羽を演じた冯绍峰でしょう。歴史的には、無茶苦茶強くて、無茶苦茶残虐で、無茶苦茶頭の弱い项羽を、よく演じていたと思います。

《鸿门宴》发终极预告片

2012年7月15日日曜日

大武当(レジェンド・オブ・トレジャー 大武当-失われた七つの秘宝-) 2012| 杨幂に武功は似合わない




今年(2012年)の7月6日、赵文卓チウ・マンチェク)、杨幂徐娇が主演する

大武当之天地密码》 2012

が公開されました。単に、《大武当》とも呼ばれています。

民国時代のこと、武当派が500周年を記念して武術大会を開催するので、武当山には各地から腕自慢が集まってきます。そのご一行のなかには、アメリカで有名になった冒険家・考古学者である唐云龙教授とその娘・唐宁がいます。さらには、謎の美女・天心もいます。

もちろん、唐云龙教授を演じるのが赵文卓、天心が杨幂です。そして、教授の娘・唐宁は、《長江7号ミラクル7号)》の男の子、徐娇(シュー・チャオ)です。

武術大会に出場するのはパパではなく、娘の宁儿です。杨幂の天心も武術大会に出ますが、宁儿との対戦では、あっさりわざと負けてしまいます。

実は、唐云龙と天心の本当の目的は武術大会ではなく、お寺に隠された7つの秘宝(武当七宝)を奪うことです。これに美術品ギャングなどもからんで……という物語で、いわば中国版インディ・ジョーンズみたいなお話に、ぼくたちはわくわくしたっていいでしょう。

天心の目的は伝家の宝刀を奪い返すためであり、唐云龙の目的は秘宝によって宁儿の白血病を治すためです。これに宁儿の淡い恋物語もからんできて、インディ・ジョーンズというよりはいわゆるファンタジーな展開になっていきます。

楽しむべきことは古装戏(時代劇)における杨幂の演技でしょう。この映画は民国時代の物語なので、正しくは古装戏ではないのですが、ワダ・エミ和田恵美)の衣装デザインは、ほとんどを古装戏と言ってしまっていいでしょう。

中国の古装戏では、男も女もどんな衣装を着てもかまいません。女の子は、ピアスをあけて、きらきらなピアスをぶら下げていてもいいわけです。

それは、中国のドラマや映画において、そのような掟破りの法則が許されているからではありません。中国では、経済が発展していく時代においては、男にも女にも奇抜なファッションが流行するという法則があるからです。

杨幂の代表的な古装戏は

神雕侠侣》 2006
仙剑奇侠传三》 2010
(鎖心玉)》 2011

でしょう。これらのドラマで杨幂は、お笑いによって、物語をねじまげていくパワーというか、物語をあらぬ方向に誘導していくパワーというか、軽々と道徳的な物語から離脱していくパワーを発揮してくれました。

それはたとえば、杨幂が気に食わない男に対して、人差し指を突き出して堂々と罵倒する演技とか、怒ったりとかあきれたりとかしかとき、肩を張って大腕を振って大股で去っていく演技とか、“哈哈哈”という必殺な冷笑などで表現されます。

これらの演技は、たぶん杨幂自身が開発したもののように思えます。《大武当》でも、これらの杨幂お得意の演技を楽しみましょう。

《大武当》を見るにあたっては、ひとつ大きな懸念がありました。杨幂に武功がやれるのか--というか、杨幂に武功がふさわしいことなのかという問題です。結果はどうだったのか? もちろん言うまでもありません。

もちろん、赵文卓の出る映画やドラマはすべて駄作であるという鉄則は、この映画でも貫かれています。また、杨幂はこの映画で第四届金扫帚奖(第4回中国ごみ映画大賞)で、主演女優賞を獲得しています。

《大武当》とほぼ同じ時期に公開されたのが、《画皮》の第2弾《画皮Ⅱ》です。《画皮2》の杨幂は、《宮》で共演した冯绍峰と再びタッグを組んで、赵薇と周迅のおばさんコンビに挑戦しています。《画皮Ⅱ》そのものは駄作なのですが、杨幂と冯绍峰はけっこうがんばっています。