“宮鎖心玉+杨幂”についてのブログ3
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というか、中国のドラマや映画では、どんな時代を舞台にしたものであっても、誰もが普通話をしゃべります。
とはいえ、ある程度はその時代らしい言葉をそれなりにちりばめるのが古装戏gǔzhuāngxì(中国時代劇)の一般的な手法です。
そんなわけで清朝を舞台にした古装戏では、満州族由来の漢語がちょこちょこと使われます。
じゃあ“闯王”が明を滅ぼしたスキに乗じて、中国を乗っ取った満州族の人がどれだけ当時の中国語をしゃべれたのでしょうか。実際には、乾隆帝の頃から満州族も中国語をしゃべるようになったようです。
ならば、康煕の次が雍正帝でその次が乾隆帝なので、康煕時代の連中は中国語をしゃべれないわけです。
というような細かいことはどうでもいいでしょ。康煕とか乾隆の時代を舞台にしたドラマで使われる満州族由来の漢語をいくつか書いておきます。
皇阿玛huángàma
《还珠格格》 |
“阿玛”の意味は、満洲語で父親に対する呼称であって、皇帝の息子や娘が皇帝を呼ぶ時には“皇阿玛”言います。“阿”が4声であることに注意してください。
阿哥àge
当時からそう言っていたのか、現代において誰かが考え付いたのかは知りませんが、清朝ものドラマでは、皇帝の息子を“生まれた順番+阿哥”と呼びます。
これによって、皇帝の息子たちをややこしい満州語の名前ではなく“四阿哥”とか“十三阿哥”と呼べばいいわけで、見ている側にとってもとても便利です。
格格gége
こっちが、満州族の皇女・皇族の娘に対する呼称です。今年(2011年)は、“还珠格格”のリメーク版も作られます。
こっちも“番号+格格”と呼ぶかのかというと、よくわかりません。
公主gōngzhǔ
清朝用語ではありませんが、漢民族が皇帝の娘をなんと呼んでいたかというと“公主”です。
“生まれた順番+公主”は成り立ちます。“公主”は、現代中国語では“おじょうさま”という意味です。
奴才núcai/奴婢núbì
清朝だけではなく明代であっても、皇帝に仕えるもの(宦官や武官)たちの自称が“奴才”あるいは“奴婢”のようです。
特に清朝にあっては、満州族の主人に対する自称だそうです。
配音について
ちょっと唐突かもしれませんが、このドラマの登場人物を紹介する前に、“配音”について書いておきます。
中国のテレビドラマについてネットで調べていると“配音表”とか“配音演员表”などという一覧表にお目にかかります。この 《宮》 でも、杨幂本人の声とドラマのなかの彼女の声は異なります。
そんなわけで、中国のテレビドラマの多くは、わざわざ吹き替えが行われています。もちろん、役者本人が吹き込みをやる場合だってあります。
“配音pèi//yīn ”とは“吹き替えをする”という意味で、“配音演员yǎnyuán”は“声優”ということです。
なんで? 役者それぞれのなまりを“配音”によって吸収しているのかもしれません。または、撮影時とは異なる微妙な言い回しを付加するためかもしれません。あるいは撮影を急ぐため、役者のセリフの言い間違いとかはあまり気にせずに撮影してしまい、後から“配音”で補っているのかもしれません。
登場人物
晴川(杨幂Yáng Mì)
中国の歴史が趣味である現代の女の子という設定は、ちょっと無理があるような気もします。
杨幂のママが芸能界好きだったのか、彼女は 《武状元苏乞儿》 1992 でデビューします。まだ、ちっちゃな女の子です。彼女は、金庸原作の武侠ものドラマファンにとっては 《神雕侠侣》 の襄儿として印象深いと思います。
しかし、《神雕侠侣》 の彼女と 《宮》 の彼女は、あごの形が違います。はや16歳のときに、彼女は整形をすることを決意していたそうです。どうやってあごを小さくしたのかというと、骨をけずったわけではなく、歯を4本抜いたりしたようです。
八阿哥 胤禩yìnsì(冯绍峰)
康煕帝の第八皇子です。
康煕が死んだあと、八阿哥は最後まで四阿哥(雍正帝)と帝位争いをするそうです。雍正帝は性格的に人々から嫌われていて、八阿哥が民衆的人気があるということなのかもしれません。
そんなわけで、清朝の歴史に明るい晴川は、はじめは四阿哥に惹かれます、やがては八阿哥を好きになります。
素言(佟丽娅)
《宮》を盛り上げるもうひとりの美女が素言(佟丽娅tóng líyà)です。歴史上で存在する人物ではないようですが、モデルはあるみたいで、ついには雍正帝のお嫁さんになる人です。
彼女の美女ぶりを見るのも、このドラマの大きな楽しみのひとつです。
昔の中国ではお嫁さんとかお妾さんとかを選ぶときも、大衆が見物できる見世物的な選抜大会をやっていたようです。皇太子のお嫁さんだかお妾さんだかの選抜大会で、素言がほとんど優勝という状況になるわけですが、そこにいきなり晴川が“穿越”してきて、晴川が優勝してしまいます。
なんで素言がこの大会に参加したのか、素言と四阿哥の関係がどんなものなのかとか、そのへんも楽しみにしておきましょう。
康煕kāngxī 玄烨(汤镇业)
清朝の第4代皇帝です。歴史的には、康煕-雍正-乾隆が清朝の絶頂期みたいに言われます。漢民族にとっては清朝は外人政権なわけですが、国としてはあれこれ栄えたようです。版図の拡大にも熱心で、現在の内モンゴル(南モンゴル)とかチベットを制圧しようとするのがこの人です。
チベット問題はとりあえず放っておくとして、内モンゴル(南モンゴル)を地図で見ると北京にとても近いことがわかります。つまり“长城”のすぐ外が内モンゴルなわけで、ここは清朝だって現代の中国だって、先住民の好きにさせるわけにはいかないことがわかります。
四阿哥 胤禛yìnlí(何晟铭)
康煕の4番目の息子で、清の第5代皇帝=雍正yōngzhèng帝となる人です。
2008年に日中共同でこの人の展覧会が開催されたようで、今でもそのサイトがあるので、この人のあれこれはたとえばそこでご覧になってください。
清朝においては、皇太子を表向きには立てないという決まりが作られます。皇帝にとって後継ぎを誰にするかは重要な問題なわけですが、特定の誰かを後継ぎに決めてしまうと、そいつがその地位に甘えておごってしまったりすることもあるわけです。そんなわけで、清朝の皇帝は後継ぎを誰にするかはみんなに内緒にしておき、後継ぎを誰にするのかという文書をなんとか門に隠しておきます。で、皇帝が崩御すると、そのなんとか門にある文書に基づいて新しい皇帝が決まります。
このルールを作ったのが雍正帝です。自らの帝位争いの経験から、後々そのようなことのないようにこのルールを作ったのでしょう。このルールは表向き清朝の最後まで守られますが、実のところ単に表向きというだけだったようです。
また、彼は、康煕のチベット政策とか内(南)モンゴル政策とかを受け継ぎます。征服した土地に自分の民族を入植させるのはローマ帝国の時代からあたり前のことで、今でもイスラエルはそういうことをしています。そんなわけで、内モンゴルに漢人をがんがん入植させる政策はこの人から始まったようです。
僖嫔xīpín(郭羡妮)
中国の後宮においては皇帝の奥様たちの位があれこれ決められていたようで、“僖嫔”もそんな位のひとつのようです。
世界中の皇室ものドラマでは、意地悪なお妃が欠かせませんが《宮》のおける意地悪なお妃さまが僖嫔です。これを演じるのは香港の郭羡妮という人です。
日本の役者というかタレントは、自分のキャラに応じた役柄とか演技しかできないわけですが、日本以外の役者さんたちは、役柄に応じて見事な演技を見せてくれます。
德妃défēi(刘雪华)
康煕がたてつくことのできないお妃さまが、この德妃です。德妃というのも、たぶん皇帝の奥様たちの位のひとつかもしれません。
このおばちゃまは、四阿哥と十四阿哥の実母なのですが、四阿哥とあれこれ結託しつつも、実は十四阿哥を皇太子にしたいと思っているようです。
《“宮鎖心玉+杨幂”についてのブログ--目次》
宮 パレス~時をかける宮女~|杨幂+お笑い皇室ドラマ+穿越
宮 パレス~時をかける宮女~|やな女 !! 杨幂
宮 パレス~時をかける宮女~|杨幂、その後の軌跡
宮 パレス~時をかける宮女~|清朝用語と登場人物
宮 2011|第1集|晴川、八阿哥と出会う
宮 2011|第2集|晴川、宮女生活スタート
宮 2011|第3集|ローラースケート大作戦
宮 2011|第4集|八阿哥、晴川に恋する!
宮 2011|第5集|晴川、四阿哥に傾く!
宮 2011|第6集|晴川、さらに四阿哥に接近
宮 2011|第7集|あ。八阿哥、かわいいかも
宮 2011|第8集|晴川、テレサ・テンを歌う
宮 2011|第9集|晴川、火炙りの刑!
宮 2011|第10集|晴川と良妃の出会い
宮 2011|第11集|得妃の宮女は蓝凤凰である
宮 2011|第12集|八阿哥、決意する!!
宮 2011|第13集|タイムトリップ禁止のお触れ
宮 2011|第14集|わあ! 出たあ !! 袁珊珊
宮 2011|第15集|晴川、四阿哥を守る!
宮 2011|第16集|晴川のフェイ・ウォン大作戦
宮 2011|第17集|甄嬛は言う。“槿汐 我累了”
宮 2011|第18集|四阿哥、晴川にキスする
宮 2011|第19集|横店影视城について
宮 2011|第20集|対四阿哥反撃大作戦!
宮 2011|第21集|八阿哥、四阿哥に嫉妬する
宮 2011|第22集|十三阿哥の陰謀
宮 2011|第23集|プリンセス、そして僖嫔
宮 2011|第24集|晴川の逆境と素言の復活
宮 2011|第25集|素言、小春に轻功を伝授
宮 2011|第26集|帰ってきた年羹尧!
宮 2011|第27集|妖怪退治大作戦!
宮 2011|第28集|刘亦菲と胡歌の穿越ドラマ
宮 2011|第29集|晴川、最大のピンチ!!
宮 2011|第30集|クライマックスはここだ!
宮 2011|第31集|四阿哥と素言のコンビ復活
宮 2011|第32集|徳妃、牙を剥く!
宮 2011|第33集|嵐の前の暗闘
宮 2011|第34集|四阿哥の戴冠
宮 2011|第35集|《甄嬛传》 が描く四阿哥
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