2012年2月9日木曜日

黑玫瑰义结金兰 1997 (ジェフ・ラウの神雕侠侣)


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92黑玫瑰对黑玫瑰》 1992 では、刘镇伟(ジェフ・ラウ)は、シナリオと監督を担当していました。《玫瑰玫瑰我爱你》 1993 では、刘镇伟はプロデューサー側に回って、監督は彭綺華という人ですが、シナリオは誰が書いているのか知りませんが、たぶん刘镇伟のような気がします。

黑玫瑰义结金兰》 1997

では、刘镇伟はシナリオと共同監督を担当しています。役名と役者はこんなふうになっています。柯受良の役名はわからなかったので、一応(小黑)としておきます。

黑玫瑰--薛家燕
吕奇--林尚义
(小黑)--柯受良
阿武--林海峰
嗒糖dātángー-林寄韵
酸梅汤ー-吴君如

映画は、なんだか普通のラブドラマコメディみたいに始まるので、ちょっと不安になってしまいます。

食堂で働く少年阿武は、森の中の謎の館にご飯を出前するのですが、館の女主人は姿を見せようとしません。阿武は、謎の館に出前するたび、社交ダンス教室の窓から少女嗒糖をよくみかけ、彼女に恋します。

ところが嗒糖は、酸梅汤(吴君如)率いる悪の組織に拉致されてしまいます。どうやら、酸梅汤と嗒糖は师姐と师妹という関係らしいのですが、嗒糖は悪の組織に属することを拒んでいるみたいです。

ある日、間違って謎の館に出前を届けた阿武は、謎の館に閉じ込められてしまいます。そこにいたのは、なんと嗒糖だったのでした。ところが、嗒糖は仮面をはがして告白します。

わたしの本当の姿は黑玫瑰であり、黑玫瑰を演じた南红だと言います。ところが、もう一度仮面をはがすと、なんと薛家燕(シッ・カーイン)です。阿武は“薛家燕”を見てのけぞってしまいます。

薛家燕とは、50~70年代にかけて、陈宝珠,吕奇,曾江などとともに有名だった役者だそうです。彼女は1978年以降、芸能界から姿を消すのですが、周星驰チャウ・シンチー)の《食神》 1996 で、おばさん役者として復活します。

そんなわけで、この映画では薛家燕は、老後の黑玫瑰を演じます。どっちの黑玫瑰かというと、いもうと黑玫瑰のほうだと思います。つまり、陈宝珠です。ぼくが見たこの映画には字幕が付いてないので自信はないのですが、彼女は珠珠と呼ばれているように思います。

実は、黑玫瑰はこの館に、愛する吕奇を30年間監禁しているのでした。ところが吕奇は、黑玫瑰の愛を30年間にわたって受け入れないため、この館で女中としてこき使われています。

この謎の館は、さまざまな仕掛けのある洞窟のような構造になっています。

皮でつくった変装するための顏の仮面
师姐と师妹という関係
30年間
仕掛けがたくさんある洞窟

こんなキーワードから、何を思い出すでしょうか。それって、金庸の《神雕侠侣》ではないでしょうか。食堂で働く阿武の先輩(小黒)が、阿武を助けにやってきたとき、吕奇はこっそり(小黒)を逃がしてやるのですが、あわや黑玫瑰に見つかりそうになってしまい、彼はミツバチが入ってきたので、外に出したのだと言い訳します。

30年間というのは、《黑玫瑰与黑玫瑰》 1966 からの実質的な30年間なわけですが、《神雕侠侣》では龙儿が姿を消す16年間とか、何10年だったか忘れましたが裘千尺が洞窟で過ごします。

大话西游之月光宝盒》 1995 のクライマックスが、《神雕侠侣》における古墓の仕掛け扉のパロディであったように、刘镇伟(ジェフ・ラウ)の映画を見ていると、《神雕侠侣》由来のシーンがたびたび出てきます。

大话西游之仙履奇缘》1995 のラストシーンに涙した人も多いと思いますが、これって人目をはばからず自分たちだけの愛を語り合う《神雕侠侣》の杨过と龙儿そのもののように思います。

そんなわけで、刘镇伟とは《神雕侠侣》オタクであるというように位置づけていいように思います。

东邪西毒》 1994 あるいは《東成西就》 1983 を楽しむためには、たとえば《射雕英雄传》 2003 を見ておくことが必須なわけですが、この《黑玫瑰义结金兰》 1997 あるいは刘镇伟の映画を見るためには、たとえば《神雕侠侣》 2006 を見ておくことが必須のように思います。

そんなわけで、この映画は《黑玫瑰》を語りつつ、どんどんどんどん《神雕侠侣》になっていきます。

日本においては、金庸ファンと香港お笑い映画ファンが幸せに交流するのはむずかしいものがあるようですが、香港や大陸においては、金庸ファンと香港お笑い映画ファンが幸福にも自由に交流できる伝統があるように思います。

《东邪西毒》 1994 と《東成西就》 1983 は、《射雕英雄传》のじじいな武術家たちの青春時代を想像した物語でしたが、この映画は、すでに書いたように、ぼくたちが知ることのできないヒローたちの老後を語る物語です。

では、吴君如。香港では、とても有名な女優の一人なのでしょう。この映画では、悪の組織のボスという悪役に徹しています--というか、ただそれだけの出演なので、なんだか残念でもあります。

この人って、刘诗诗ほどではないにしろ、日本人から見るとブスのように思います。薛家燕は、《食神》 1996 でおばさん女優として復活したわけですが、吴君如は今や香港のおばさん女優な大女優になったのかもしれません。

たとえば、《神奇侠侣》 2011。ここでは、吴君如がかつてのヒーローというかヒロインの老後を演じています。わりと黑玫瑰なメーキャップなので、この映画も《黑玫瑰》ものの1つに入れてもいいのかもしれません。

最後にヒロイン、嗒糖を演じる林寄韵について。この子は、ちょっと有名になりそうになったんだけど、紅くはならなかたったと百度百科に書いてあります。

で、彼女はその後、レズビアン小説を書いて、現在もその方面でネットで活躍しているとのことです。

おまけ。

《92黑玫瑰对黑玫瑰》のタイトルにはなぜ“九二”が付いているのかというと、実は《九一神雕侠侣》という映画があるからです。で、この映画のシナリオは、王家卫(ウォン・カーウァイ)と刘镇伟(ジェフ・ラウ)が書いています--というのはまるで嘘ではないのですが、どうしてそんなことになってしまったのかというお話については、また後で考えたいと思います。

この映画は、《黑玫瑰与黑玫瑰》 1966 、《92黑玫瑰对黑玫瑰》1992 と同様に“剧终”ではなく“再会”というタイトルバックで終わります。その直前で、杨过と龙儿が言います。

后会有期

これも、一連の《黑玫瑰》もので、有名なセリフだと思います。では、この後、刘镇伟の映画のどこで《黑玫瑰》に出会えるのでしょうか?

たとえば、《越光宝盒》  2010 における孙俪の役名は玫瑰仙です。1996から2010までの間に、刘镇伟の《黑玫瑰》に関連する映画は他にもあるのかもしれませんが、気が付いたら報告しようと思います。

でも、嗒糖酸梅汤吴君如)が、いったいどんな関係だったかというとよくわかりません。《東成西就》 1983 において林青霞は、“大海无量”というj術を使って、何度か叶玉卿(ヴェロニカ・イップ)をぶっ飛ばすわけですが、この映画で林寄韵が使う術とは“大海无聊”です。


黑玫瑰義結金蘭 - 女殺手


《ラベル“黑玫瑰/黑薔薇”に属するブログ--目次》
 0 玫瑰玫瑰我爱你 1940
 1 黑玫瑰 1965
 2 黑玫瑰与黑玫瑰 1966
 3 女黑侠木兰花 1966/1981
 4 侠女黑玫瑰 1991
 5 女黑侠黄莺 1992
 6 九二黑玫瑰对黑玫瑰 1992
 7 玫瑰玫瑰我爱你 1993
 8 黑玫瑰义结金兰 1997
 9 见习黑玫瑰 2004 (出水芙蓉 2007)
10 黑玫瑰(电视剧) 2009
おまけ 猛鬼差馆(バンパイア・コップ) 1987

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