2014年11月9日日曜日

后会无期(いつか、また) 2014|韓寒 vs 郭敬明




今年(2014年)の7月24日に公開された話題作が

后会无期(いつか、また) 2014

です。なんで話題作なのかというと、シナリオ+監督が、中国の若者たちに人気のある韓寒(ハン・ハン)という作家だからです。

韩寒は、高校生時代からあれこれの文章を発表して注目を集めます。大学1年生のとき(1999年)、第1回全国新概念作文比赛で一等賞を獲得します。翌年(2000年)の全国新概念作文比赛では二等賞になります。

この年(2000年)、彼は中学生時代の生活を描いた小説 《三重门》 を発表し、これで一気に火がつきます。この小説は200万部以上売れたそうで、ここ20年における文芸作品においては、最も売れた小説だとのことです。

韩寒は大学を中退するのですが、エッセイ集や小説はいずれもベストセラーになります。そんなこんなで、韩寒の本は日本で出版されたりとか、NHKが取材番組を放映したりとかしているのかもしれません。

2010年、韩寒はカーレーサーになります。芸能人がカーレーサーになったり、オートの選手になったりする例はあるわけですが、作家がカーレーサーになったということで、韩寒はアメリカでも注目され TIME(时代周刊)の表紙も飾ります。


作家である韩寒が映画を作るのが注目されるのには、もう一つの理由があります。韩寒は1983年生まれなわけですが、やはり1983年生まれの郭敬明という、やはり若い女の子に人気の作家がいるからです。

郭敬明は昨年(2013年)、自分の小説をもとに映画監督としてデビューします。これが 《小時代》 です。この映画は杨幂が主演して、はじめて大ヒットした記念すべき作品となります。ただし、どんな映画かというと、つまらないだけです。

小時代》 のイケメンの代表の一人が柯震东です。この人が誰かというと、今をときめく台湾のアイドルで、今年(2014年)の8月、北京で房祖名とともに麻薬容疑で拘束されました。

日本では、ジャッキー・チェンの息子(房祖名:ジェイシー・チャン)が麻薬で捕まったという話題ばかりでした。しかし、中国では房祖名よりも、柯震东が圧倒的に話題の中心になっていました。房祖名なんて、誰も知らないからです。

房祖名は正式に逮捕されたものの、柯震东は釈放されて台湾に戻り、謝罪会見などを開いて、当分は活動も自粛しているようです。日本では考えられないことですが、大陸でも台湾でも特にお咎めはないようです。

ただし、映画 《小時代》 シリーズはPART3まで公開されていて、大結局となる 《小時代4》 は今頃(2014年11月)公開されているはずだったのですが、来年(2015年)に公開延期された模様です。


そんなわけで韩寒が映画を撮るということは、アイドル作家同士が、文章ではなく映画監督として対決するという構図になったわけです。

韩寒のあだ名は(国民)岳父です。一方、郭敬明のあだ名は四娘あるいは小四といいます。

韩寒がなんで岳父(妻の父)なのかというと、昨年(2013年)3歳の娘の写真を微博で公開し、その愛らしさが話題になったからです。

冯绍峰(《后会无期》 の主演男優)とか阿信だってせいぜい伯父としか呼ばれていないのに、なんと韩寒は岳父と呼ばれる--といった意見もあります。

なんで郭敬明が四娘とか小四と呼ばれるのかは不明です。

小三の次ってことだよ」とか「女っぽいからだろ」とか「身長が140だからだ」とか、あれこれの意見がありますが決定打はないように思います。

つまりは、郭敬明のちゃらちゃらした青春小説はちゃらちゃらした女の子に受け、韩寒のどちらかといえば骨太な小説やエッセイは、男女の区別なく80后と90后に受けているということでしょう。


《后会无期》 は、中国で一番東に位置する东极岛から中国で最も西に旅する物語です。教師の江河(陈柏霖)が赴任することになり、友達の马浩汉(冯绍峰)が自分の車で江河を送っていくからです。

というわけで、马浩汉と江河は、道中あれこれの人間と出会うことになります。どんな人間と会うことになるのかというと、こうなります。

周沫(陈乔恩

この子は马浩汉の幼馴染で、映画のエキストラをやっています。目は出そうもないのですが、あきらめずに健気にがんばっています。

とはいえ演じているのは陈乔恩で、彼女は台湾のアイドルドラマの女王です。日本でも 《新笑傲江湖》 とか 《王的女人》 で、すっかりおなじみになったことと思います。

苏米(王珞丹

この子は美人局をやっているのですが、江河は彼女を本気で好きになってしまいます。

王珞丹と言えば80后な “四小花旦” のひとりとして有名なわけです。ほかの三人は黄圣依、杨幂、刘亦菲で、こっちの三人は日本でもあれこれ有名ではあります。

王珞丹のドラマとか映画は、ぼくは今までみたことがありませんでした。

刘莺莺(袁泉

このドラマで最も存在感のある女性がこの人です。ビリヤード場の経営者で、彼女と马浩汉んおビリヤード対決は、この映画の一番のクライマックスでしょう。

彼女と马浩汉とはもともとメールフレンドなのですが、実際にはどういう関係になるのかは、映画を見て楽しんでください。

袁泉という人は、たくさんの映画やドラマには出ていないものの、あれこれの賞を取っている演技派の女優さんのようです。実は、昨年(2014)中国で最もヒットした宁浩のロードムービー  《心花路放》 にも出ています。韩寒が、宁浩に ”誰かいい女優はいないか” と聞いて、宁浩は袁泉を紹介したそうです。

阿吕(钟汉良

马浩汉と江河は、最後には男とも出会います。それが钟汉良です。

钟汉良は最近では 《新天龙八部》 2013 で乔峰を演じていましたが、日本で放映されたのかどうかは知りません。

出来のいいドラマではありませんでしたが、ラストだけは要注目でした。

马浩汉と江河は、阿吕と男同士として意気投合するのですが、さて、阿吕がどんな役割を担うのかは、これも実際に見てのお楽しみです。


中国において最も理解されない映画のジャンルのひとつがロードムービーです。ロードムービーとは、起承転結のドラマではないからでしょう。なお、中国語ではロードムービーのことを “公路片” とか “公路电影”などと呼びます。

ぼくが一番好きな中国映画は娄烨の 《苏州河ふたりの人魚)》 2000 です。この映画はロードムービーというわけではありませんが、ロードムービーと言ってもいいようには思います。

ぼくは、何人かの中国の友達に 《苏州河》 を見せたのですが、誰にもこの映画のチャーミングさは理解してもらえませんでした。

《苏州河》 が作られてから、もう15年くらい経ったわけですが、この 《后会无期》 においてようやくというか、初めて中国でロードムービーがヒットしました。さらには昨年(2014年)11月にはロードムービーというよりは “お笑い珍道中” と言ったほうが早い 《心花路放》 が公開されます。


で、こういったあれこれの話は、宁浩の 《心花路放》 の記事に引き継ぎたいと思います。

たぶん2015年、《后会无期》 は日本でも 《いつか、また》 というタイトルで公開されたようです。 《いつか、また》 では “后会有期” そのままなんですが……そういうことは、どうでもいいでしょ。

《后会无期》终极预告片


鄧紫棋 G.E.M - 后会无期 The Continent MV


快乐大本营Happy Camp-韩寒协《后会无期》现场出金句 冯绍峰陈柏霖互爆丑照-【湖南卫视官方版1080P】20140726

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