2012年12月22日土曜日

一代宗师(4) -- 甄子丹の叶问 2008 - 2010



2012年の12月から2013年の1月にかけて、オランダ・香港・大陸で王家卫ウォン・カーウァイ)の 《一代宗师》 が公開されました。 《一代宗师》  は、実在した中国の有名な武術家のひとり、叶问(イップ・マン)を描く映画です。ぼくたちが、いつ 《一代宗师》 を見られるのかはわかりませんが、その日のための準備をしておきたいと思います。

ぼくたちは、清末の有名な武術家として、黄飞鸿と霍元甲についての映画を見てみました。


この二人は19世紀半ばに生まれて、20世紀のはじめに死んでいます。この二人にとっては、中華民国の成立は、それはそれなりに革命でした。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ》 の黄飞鸿は西洋とか孙中山とかに啓発されつつ、悪人たちと戦います。《霍元甲》の霍元甲は、見世物としての格闘技大会で愛国心のために西洋人や日本人と戦います。

映画 《一代宗师》 のヒーローである叶问は、これまでの映画の中でどんな活躍を見せてくれているのでしょうか。

刘镇伟(ジェフ・ラウ)の映画 《东成西就 2011》 で、钟镇涛(ケニー・ビー)と莫文蔚カレン・モク)が乗ったタクシーの運転手は、こんなことを言います。

“在下佛山温奇,师承叶问电影1、2集。”
(俺--ウエンチーは仏山からやってきた、映画《叶问》 2部作を継承するものである)

この運転手があまりに無謀な運転をするため、莫文蔚は運転手に訴えます。

“司机大哥,开车别那么甄子丹,熊黛林一点就行了。”
(運転手さん。とっても甄子丹な運転はかんべんして。せめて熊黛林くらいにして)

ここで話題となっているのが、甄子丹ドニー・イエン)が叶问を演じ、熊黛林がその妻を演じて大ヒットした映画です。


叶问
叶问は、1893-1972年という生涯を生きています。死んだのはつい最近(40年前)のことです。黄飞鸿と霍元甲は、お気楽に愛国できたわけですが、叶问はそうはいきません。満州事変(1931)を直接の契機として、日本が中国に戦争をしかけてくるからです。

そんなわけで映画 《叶问》 の叶问は、日本というやっかいな敵と具体的に戦うことになります。

霍元甲と叶问は、21世紀になって香港が発掘し、映像化した武術家のように思います。それ以前にも映像化されているのかもしれませんが、よくわかりません。黄飞鸿のように超有名ではなかったわけです。

叶问が継承する功夫が、咏春拳詠春拳)です。日本語ウィキペディアの“詠春拳”には、葉問の生涯も書かれています。

广东佛山の人である叶问は中華民国成立後、国民党の幹部になります。しかし、世界大戦が終わったあと、中国国内は国民党と共産党の戦いとなります。1949年、叶问は香港に渡ることになります。

なお、2013年には、テレビドラマ 《叶问》  2013 が放映されます。また、甄子丹の《叶问3》(3D版)の製作の発表されていて、2013年3月クランクイン、2014年公開の予定だそうです。

Donnie Yen (甄子丹) on 'Ip Man' (叶问)


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