一代宗师 (2) －－ 黄飞鸿

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2012年の12月から2013年の1月にかけて、オランダ・香港・大陸で王家卫（ウォン・カーウァイ）の 《一代宗师》 が公開されました。 《一代宗师》  は、実在した中国の有名な武術家のひとり、叶问（イップ・マン）を描く映画です。ぼくたちが、いつ 《一代宗师》 を見られるのかはわかりませんが、その日のための準備をしておきたいと思います。

実在した中国の武術家として、ぼくたちがまず思いつくのは黄飞鸿という人でしょう。《ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ》 シリーズという映画があるからです。

黄飞鸿之一壮志凌云
黄飞鸿之二男儿当自强
黄飞鸿之三狮王争霸

このシリーズは、ついつい物語を破たんさせてしまいがちな徐克（ツイ・ハーク）にしては、とてもできのいい映画だったと思います。主演の李连杰（ジェット・リー）にとっては、永遠の代表作でしょう。李连杰が主演する、できのいい映画が作られる可能性はもはや考えられないからです。

黄飞鸿の奥さん

黄飞鸿（1847-1924）は叶问と同じ广州・佛山の出身です。彼が継承している武術は “洪家拳” というそうです。そして、彼のパパは、黄麒英という人です。この人は清末の武林高手“广东十虎”のひとりだそうです。どんなメンバーかというと、こんなメンバーです。

王隐林 黄澄可 苏黑虎 黄麒英 周泰
谭济筠 黎仁超 陈铁志 苏灿  梁坤

“广东十虎”という言葉には、どこかで耳にしたり目にしたりすることになるかもしれません。アヘン戦争（1840）以降、帝国が崩壊に向かうのを目の当たりにした人々は、武術のヒーローに夢を託したのかもしれません。どんな……？

孙中山の中華民国が成立したのが1912年、中国共産党が結成されたのが一般には1921年7月（上海）だとされています。つまり、黄飞鸿は清朝の崩壊にはつきあっているわけですが、その後の日中戦争、国民党 vs 共産党などの事情にはつきあわずに死んでいます。黄飞鸿が死んだ1924年というのは、第一次国共合作の年です。

ならば、黄飞鸿とはお気楽な愛国武術家として、物語化とか映像化とかが、とてもしやすい人のように思います。日本語ウィキペディアによると、2007年時点で黄飞鸿を題材にした映画は、《黄飛鴻傳上集・鞭風滅燭》 1949年 をはじめとして、84本もあるとのことです。

黄飞鸿


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