2012年4月11日水曜日

《无价之宝》 《女ドラゴンと怒りの未亡人軍団》--第3回中国ラジー賞主演女優賞



无价之宝》 2011

という映画は、2012年3月に発表された“第三届金扫帚sàozhou奖(第3回金のほうき賞)”において、张柏芝セシリア・チャン)が主演女優賞(最令人失望女演员)を獲得した作品です。

くず映画を表彰するラジー賞Razzie Awards:ゴールデンラズベリー賞)というのがあって、これにちなんで作られたのが“金扫帚奖(金のほうき賞)”だそうです。

日本では“中国ラジー賞”などと呼ばれているようですがラ(ー)ジーにちなんで、“中国ごみ映画大賞”のような翻訳のほうが、ぴったりくるように思います。

正しく言うと、张柏芝(ジャン・ブオジー)は、この映画と《杨门女将之军令如山(女ドラゴンと怒りの未亡人軍団)》という2つの映画によって主演女優賞を獲得しています。

帰ってきた张柏芝(セシリア・チャン)が映画に出続けるならば、毎年“金扫帚奖”主演女優賞を持っていってしまうのではないかと心配になります。

たとえば刘镇伟(ジェフ・ラウ)は、张柏芝とともに例の事件(艳照门|イエンジャオメン)に巻き込まれた钟欣桐ジリアン・チョン)を、孙俪スン・リー)主演の《越光宝盒》 2010 で、とても暖かく復帰させてあげます。

その後、钟欣桐が主演したタイムトリップ(穿越)ものなテレビドラマ《灵珠》は、ぼくはけっこう楽しみました。

しかし、张柏芝(セシリア・チャン)は、誰に暖かく迎え入れられたというのでしょうか。《东成西就2011》において、刘镇伟(ジェフ・ラウ)は、こういうセリフを発明します。

“锋芝离婚后我再不相信爱情!”
(锋芝が離婚しちゃったんだよ。ぼくはもう愛なんて信じない!)

“锋芝”というのは、事件後も結婚生活を続けた谢霆锋と张柏芝のことですが、二人は2011年8月ついに離婚しています。

あ。もうひとり、毎年“金扫帚奖”主演女優賞をあげたい人がいました。もちろん、章子怡チャン・ツィイー)です。

今年(2012年)は、章子怡と张柏芝が共演する《危险关系》という映画が公開される予定です。来年(2013年)の“金扫帚奖”で主演女優賞をダブルで獲得し、なおかつ堂々と作品賞を勝ち取ってほしいものです。

《杨门女将》は、作品賞(最令人失望影片)と監督賞(最令人失望导演)も受賞しています。

この映画は、もうすぐ(2012年4月末)日本で公開されるようですが、これをお笑い映画であると誤解している人も見受けるようです。実は、ぼくもその一人だったのです。出来がよくなくても、お笑い映画であるのならば、そのうち見てみようと思っていたのですが、日本公開の話を知って、予定を繰り上げて見ちゃいました。

この映画は、成龙ジャッキー・チェン)が大金をつぎこんで製作した超大作なのです。笑えないお笑いもときにはあるのですが、基本はあくまでも退屈な超大作です。

《杨门女将》の監督は誰かというと、陈勋奇です。この人は、ジャッキー・チェンとジェット・リーの初共演で話題になったアメリカ映画《功夫之王ドラゴン・キングダム)》 2008 の監督です。ぼくはジャッキー・チェンの映画は、すべてご遠慮させていただいているのですが、これには刘亦菲リウ・イーフェイ)が出ているので見ちゃいました。最低でした。

最近の李连杰ジェット・リー)は《白蛇传说(白蛇伝説) 2011》も含めて、なんだかとっても情けない感じです。刘亦菲の《チャイニーズ・ゴーストストーリー》のリメイク《倩女幽魂 2011》だって、刘亦菲があまりにかわいそうでした。そんなわけで、 《白蛇传说2011》 と 《倩女幽魂2011》 は、“第三届金扫帚奖”で作品賞(だったかどうだったかは忘れましたが)にノミネートされています。

ジャッキー・チェンと、つきあっちゃいけないんだよ。

なるほどね--と納得して、陈勋奇の悪口を書こうと思って百度百科を調べていたら、思わず吹き出してしまいました。この人は、こう紹介されています。

陈勋奇是公认的香港电影全才,他既是香港导演里最出色的配乐,配乐里最出色的制片,制片里最出色的飞车指导,飞车指导里最出色的编剧,编剧里最著名的演员之一,演员里最成功的导演之一。他提倡拍青春励志动作片,武术场面追求火爆、热闹,但意识形态一定积极向上,这一点也很受海内外业界好评

罵倒というのは、これくらいお笑いなべた褒めに練り上げて、はじめて罵倒というものになるのかもしれません。

“第三届金扫帚奖”では、《战国(戦国)》と《关云长(関雲長)》も作品賞に輝いています。

ぼくは去年(2011年)、うっかりと《战国》を見始めてしまったのですが、すぐにブラウザを閉じました。もはや、誰もこんな映画のことを覚えていないとは思いますが、これだけ悲惨な映画も珍しいので、記録しておくに値するということかもしれません。

《关云长》というのは、曹操vs关羽の物語のようですが、甄子丹が主演なので、見たくはないのですが、しかし、テレビドラマ《甄嬛传》の孙俪が出ているので、いずれ見ないわけにはいきません。

东成西就2011》において、莫文蔚カレン・モク)は、乱暴なタクシー運転手にこう言います。

“司机大哥,开车别那么甄子丹,熊黛林一点就行了。”
(運転手さん。とっても甄子丹ドニー・イェン]な運転はかんべんして。せめて黛林くらいにして)

この運転手(温奇-苏永康)は、その前にこんなことを言っています。

“在下佛山温奇,师承叶问电影1、2集。”
(俺--ウエンチーは仏山から下山して、映画“叶问イップ・マン]”2部作を継承するものである)

刘镇伟が、ここで、わざわざ王家卫ウォン・カーウァイ)の《一代宗师》について語らなかったのは、やはり甄子丹について語りたかったからでしょう。

“第三届金扫帚奖”で新たに設けられたのが審査員特別賞(最令人失望影片评委会特别奖)です。これは张艺谋チャン・イーモウ)の《金陵十三钗》が栄誉に輝いています。张艺谋は、“第一届金扫帚奖”でも、《三枪拍案惊奇》で作品賞と監督賞を受賞しています。

张艺谋という人は、ロリコン映画を作るときだけ、ちょこっときらりとするように思います。根っからのロリコンなのでしょう。ロリコン映画の巨匠になってほしいと思います。

“第三届金扫帚奖”で最も注目すべきは、団体演技賞(最令人失望集体表演)という、2度と設けられることはないであろう賞の設置です。

この賞を獲得すべきは、もちろん《东成西就2011》以外にはあり得ません。

さて、《无价之宝》では、张柏芝(セシリア・チャン)は、広告制作の人気監督を演じるのですが、彼女のさえないだんな(女高男低)として友情出演しているのが郑伊健イーキン・チェン)です。

そんなわけで、《无价之宝》を見ることによって、《东成西就2011》において、郑伊健がなんでさえない包子屋さんを演じたのかという秘密を知ることができました。

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