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ぼくが中国の映画監督で、映画監督だなと思うのはやっぱり王家卫と娄烨、宁浩です。
张艺谋、陈凯歌、冯小刚、侯孝贤……といった人たちについては、何の興味もありません。まとめて言ってしまえば、彼らは中国伝統文化の“中”だけで映像を語っているということです。
つまり、王家卫と娄烨、宁浩は、中国伝統文化の“外”に出て映像を語ることもできるということです。
ただし、ぼくが一番好きな中国(香港)の映画監督は刘镇伟です。この人は、もちろん“中”の人です。
しかし、“中”で映像を語りながら、ついつい“外”に出てしまったり、実は“中”と“外”なんて、何の違いもないのだということを、ついつい証明してしまったりします。
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完美假妻168 2014
は、刘镇伟が 《东成西就 2011》 2011 で興業的に大失敗した後、2年ちょっとぶりに撮った新作です。今年(2014年)3月4日に公開されました。
主演は、徐若瑄と何炅です。徐若瑄と言うと誰だかわからないかもしれませんが、日
本語で言うとビビアン・スーです。
ぼくが最後に彼女を見たのは 《白蛇传说》 2011 の雪女ですが、その他にもあれこれドラマや映画で活躍していることと思います。
なんで刘镇伟はビビアン・スーを使う必要があったのかというと、周星驰が 《西遊:降魔篇》 で舒淇(スー・チー)を使ったから--という理由以外は思いつきません。
何炅という人が誰かというと、湖南卫视 の《快乐大本营》 というバラエティ番組の主持人(司会者)です。
《快乐大本营》 は1998年に始まり、今でもバラエティのベスト3くらいに入っている長寿人気番組います。
ぼくは、《东成西就 2011》 が大コケした後、刘镇伟がどんな映画を作るのか、割と期待していました。で、それがこの 《完美假妻168》 だというのを知って、その期待はけっこうふくらみました。
このところの刘镇伟は
越光宝盒 2010
大话天仙 2014
东成西就 2011 2011
と、いわゆる大作ものを撮ってきたわけですが、《完美假妻168》 は現代劇の小品であって、大上段に構えない日常のドタバタであってくれたらいいなあと思っていたのです。
大话天仙 |
実のところは 《越光宝盒》 に続き、孙俪主演で撮られていたのですが、資金不足で完成しなかった映画です。完成した映画を、見たかったものです。
刘镇伟自身は、新浪で“誰かが別の役者を使って追加撮影してまで、《大话天仙》 という映画を公開するそうだが、それは断じて自分の作品ではない” というようなことを語っていました。
そういう事情で評判はすこぶる良くないのですが、鬱な孙俪がすこぶるきれいなので、ぼくはけっこう気に入っています。
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刘镇伟の最大の傑作は、もちろん
东成西就 1993
です。この他に傑作を3つ挙げろと言われたなら、ぼくは
九二黑玫瑰对黑玫瑰 1992
回魂夜 1995
黑玫瑰义结金兰 1997
を挙げたいと思います。“黑玫瑰” と言いつつ、刘镇伟がえんえんと語ってきたのは金庸の 《神雕侠侣》 です。刘镇伟は大の 《神雕侠侣》 おたくであり、王家卫は大の 《射雕英雄传》 おたくです。
なんで金庸なのかというと、金庸ドラマとは中国の伝統文化に無数の疑問を投げかけるドラマだからです。それでも金庸自身は中国伝統文化の“中”に止まります。もちろんそれは、金庸を貶める理由にはなりません。
王家卫は、金庸が提示した中国伝統文化への疑問の“外”へと、やすやすお出かけします。もちろん、王家卫だって中国伝統文化の“中”の人でもあります。一方、刘镇伟は中国伝統文化の“中”でじたばたしながら、ときに中国伝統文化を暴力的に突破します。
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なんでこんなことを書いているのかというと、《完美假妻168》 は失敗作だからです。
ときに刘镇伟は、とんでもない駄作を作ります。この映画はとんでもない駄作というわけではありませんが、やっぱり失敗作だと思います。
夫の帰りを待つ妻のもとに、謎の男が不法侵入してきます。男は、お前の夫は拉致したので、夫を殺されたくなかったら168時間(1週間)俺の妻になれと言います。わりとどきどきするシチュエーションなのですが……。
刘镇伟が失敗作を作る場合、少なくとも2つの法則があるように思います。
1つは、休み明けの映画は失敗するという法則です。香港返還後、しばらく黙っていた刘镇伟ですが、王家卫の後押しもあり、久々に新作を撮ります。
梁朝伟、赵薇、王菲、张震が共演する、なんともぜいたくな役者が用意された映画 《天下无双》 がそれですが、なんとも気の抜けた失敗作でした。
もう1つの法則が、有名女優をはじめて使うときは、その女優を大切に扱いすぎて失敗するということです。刘镇伟が初めて(というわけではないのですが)大陸女優を使って失敗したのが、孙俪の 《机器侠》 でした。
もしかしたら、《完美假妻168》 は、刘镇伟は “有名な大陸男性タレントを初めて使うときにも失敗する”--という法則を打ちたてのかもしれません。
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灵珠 |
その後、阿娇(钟欣潼の愛称)は、タイムトリップがテーマである 《灵珠》 というテレビドラマで本格的に復帰します。《犬夜叉》 のパクリなのですが、ぼくはけっこう好きです。
それはともかくそんなこんなで、今、阿娇が一番なついているおじさまが刘镇伟です。この二人のなごやかな交流は、新浪でちょくちょく見かけます。じゃあ、なんで刘镇伟は阿娇主体の映画を再び作らないのか? と、ずっとそんなふうに思っていました。
艳照门の直前、刘镇伟は阿娇を主役にした 《出水芙蓉》 を撮っています。この映画では、“大海無量” の術に再びお目にかかれます。そしてまた、黄圣依も出ています。
今年(2014年)4月、ついに刘镇伟は阿娇が出る映画をクランクインしました。それが 《蹴鞠 cùjū》 です。ちょっと新聞記事を読んでみましょう。
由刘镇伟执导,何炅、Twins、邓丽欣、容祖儿等主演的古装喜剧 《蹴鞠》 4月8日在横店举行开机发布会和探班活动,刘镇伟携众主创到场。这部戏,何炅已是第二次出任刘镇伟电影男主角,刘镇伟放话:“给我两部戏,我让你成为下一个周星驰。”
(刘镇伟監督、何炅、Twins、邓丽欣、容祖儿らが主演するお笑い時代劇 《蹴鞠》 のクランクイン発表会が4月8日開催された。この映画は刘镇伟の映画で何炅が二度目に主演する映画であり、刘镇伟はこう言い放った。“俺は何炅を第二の周星驰にしてみせる”)
どんな物語なのかというと、八大门派のどこがNo.1なのかをサッカーで決着をつけようということになるお話で、何炅は茅山道士を演じていて、阿娇と阿saと三角関係になる模様です。
阿娇はいいのですが、ついでに阿sa(蔡卓妍)まで出てくるのがちょっと心配ではあります。刘镇伟の最大の愚作が阿saの 《情癫大圣》 でした。
ぼくたちは 《蹴鞠》 を見られる日を、首を長くして待っていましょう。
《完美假妻168》终极预告 女神徐若瑄变身女汉子
完美假妻168 Lock ME Up Tie Him Down 預告片
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