2014年12月17日水曜日

美人制造 2014|于正、最大の危機を迎える(あるいは注目すべきは「落馬ヘア」である)



現在(2014年12月17日)、ダントツでトップを独走しているテレビドラマが于正の 《新神雕侠侣》 2014 です。しかし、やはり于正の

美人制造 2014

もなかなか健闘しています。このドラマは今年(2014年)9月7日から放映が始まったのですが、日曜日に2集ずつの放映(湖南卫视青春星期天)のため、ようやく今度の日曜日(21日)に大結局が放映されます。

于正ドラマは、今年の春に 《宫锁连城(宫3)》 も放映されています。于正、絶好調! のようにも見えるのですが、実は今、于正は最大の危機を迎えています。


《宫锁连城》 の放映が始まるや、ネットでは、これは台湾の作家琼瑶の 《梅花烙》 のパクリだということで騒ぎになりました。

琼瑶は、《还珠格格》 の原作者であり、シナリオも担当してます。韓国と中国には作家は存在しないのですが、まあ、一応は坂です。

琼瑶は当初はそれほど気にしていなかったように思いますが、ネットのみんなが大騒ぎするので、琼瑶もだんだん本気になってきて、ついには放送中止を要請するにいたり、更には裁判(3億円の賠償)も起こしたのでした。この裁判が、この12月に始まりました。

12月11日、中国の109人のシナリオライターが、共同で琼瑶に対する支持を表明しました。

翌12月12日には、更に30人のシナリオライターも、これに追従しました。この中には、日本でもわりと有名(なのかもしれない)香港の王晶もいます。

もうひとつの問題もあります。今年(2014年)の10月だったか11月だったか、于正は「俺は、売れなくなった台湾女優を復活させてやったことがあるが、俺は彼女が嫌いだ」みたいな発言をしました。

実名は出していないものの、それは 《美人心计》 の林心如であることは明白でした。この発言がネットであれこれ批判され、林心如自身もファンの集いか何かで反発します。于正は、そんな林心如に対して、ねちょっと反論します。

宫锁连城
林心如が誰なのかというと 《还珠格格》 で、実はほんものの公主を演じた女優さんです。

この事件が、中国のシナリオライターたちに火を点け、一致団結して、琼瑶の起こした裁判に対する支持表明になったのでしょう。


中国においては(一見)説得力のありそうな意見が認知されると、誰もがそれに従ってしまいます。肯定でも否定でも、どちらでもかまいません。

たとえば、金庸ドラマを見ていると、なんでそういうことになるの? という違和感を覚えることも少なくないと思います。

そういうわけで、于正ドラマが放映開始されるやいなや、中国のインテリたちが于妈(于正の蔑称)に対して罵声を投げかけるのは、現代中国文化のひとつになっています。というよりは、ひとつの儀式になっていると言ってもいいでしょう。

そんなわけでたとえば、林心如が大嫌いなぼくが、QQで于正の林心如批判を支持すると、けっこうな反発をくらいます。なんで于妈批判はOKで林心如批判がNGなのかというと、于妈批判はメジャーで林心如批判はごく一部の少数意見だからです。

さあ。于妈(于正)はどうなるのでしょうか?



东成西就 2011
このドラマにおいて、まず注目すべきは、女子たちの髪型の数々です。《东成西就 2011》 を思い出してみましょうか。

この映画では、钟镇涛(ケニー・ビー)の髪型がどんどん変になっていきます。《东成西就 20110》 で紹介した文章を、もう一度引用しておきましょう。

--桓帝の元嘉年間(後151-153)、帝都の婦女たちのあいだで、愁い眉、啼き化粧、落馬ヘア、腰折り歩き、歯痛笑いというものが流行った。
「愁い眉」というのは、眉を細く湾曲させて描いたもの。「啼き化粧」というのは、目の下に薄く白粉を塗って、啼いているかのようにしたもの。

「落馬ヘア」と言うのは、頭髪を片方に傾斜させて結うもの。「腰折り歩き」というのは、足が体の下にないかのように歩くもの。「歯痛笑い」というのは、歯が痛いかのように、あまり楽しげでない顏で笑うものである。
これは大将軍である梁冀の家がやり始めたことであるが、都のだれもがこのまねをし、国じゅうに広まったものである。
--「楊貴妃になりたかった男たち」(武田雅哉;講談社)より


このドラマにおいて「落馬ヘア」を強調する于正は、それなりに勉強していて、ぼくたちを笑わせてくれます。


于正ドラマといえば、思い切りメロドラマが展開します。

軽さがとりえである 《》 2011 だって、後半はどんどんメロドラマ化していきます。ところが、この 《美人制造》 はお笑いドラマとしてスタートします。

武则天御用達の美容師が贺兰钧で、演じているのは金世佳という人です。この人は 《爱情公寓》 シリーズで、それなりに有名のようですが、ドラマで主演するのはもしかしたら初めてなのかもしれません。。

人面桃花という青楼(スナック)の女将が苏莲衣で、こちらは于正工作室と契約している杨蓉が演じています。杨蓉という女優さんが誰かというと、《新笑傲江湖》 の灵珊です。《新神雕侠侣》 では、梅超风を演じます(!)。

杨蓉は、容貌はともかく、老板娘をなかなか頑張って演じています。

この人は1981年生まれで、谢晋という大監督に気に入られて演技を学び始めたそうです。で、15歳のときに谢晋が監督する 《鸦片战争》 1997 でデビューします。

谢晋の 《鸦片战争》 といえば、この映画の大掛かりなセットが発展して、現在の横店影视城が生まれたわけです。

そんなわけで、杨蓉は横店の申し子ということになります。もちろん、このドラマも横店で撮影されているはずです。

贺兰钧は早々と武则天御用達の美容師の座を弟子の裴云天(张哲瀚)に奪われてしまい、しかたなく人面桃花で働くことになります。こうして、贺兰钧と苏莲衣のラブストーリーが始まっていくのですが、はじめは贺兰钧は苏莲衣にはなんの気もありません。

あれこれゲストも出演しています。最近の于正ドラマといえば袁珊珊でしたが、このドラマではただのゲスト出演です。

永宁公主という武则天の娘を演じているのですが、気楽に演じているので “重いよな~” 感はありません。というよりも、かなりやせたように思います。あるいは整形でしょうか。


中国の映画やドラマでは、武则天はとりわけ人気者の一人ですが、このところ武则天ブームでもあります。今年(2014年)の春に放映された吴奇隆刘诗诗

犀利仁师(トキメキ!弘文学院) 2014

では武则天は登場しなかったものの、原作ゲームでは、武则天が女子が学校で学ぶことを政策したというお話です。

そして、もうちょっとで范冰冰

武则天传奇(少女武则天) 2014

の放送が始まります(12月20日)。最近のドラマにしては珍しく、2年だか3年かけて撮影されたそうです。今の范冰冰はちょっと落ち目で、映画 《白发魔女传之明月天国》 2014 もさんざん叩かれていました。

范冰冰は 《武则天传奇》 で、完全復活なるのでしょうか?

尚雯婕 & 徐子崴 - 待我长发及腰


《我的纪录片》 My Documentary:《美人制造》


109位编剧力挺琼瑶 于正被同行“围剿”


于正林心如 他们的炒作你看懂没?

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