2013年1月29日火曜日

哪吒[河北梆子](1983年) - 倒錯の男扮女装




哪吒闹海》 1979 におけるは哪吒Nézha/Nézhāは、日本ではナージャとかナーザと音訳されていました。しかし、日本での哪吒とは、ナタという音訳のほうが一般的なのかもしれません。

たとえば  《齐天大圣孙悟空》  2002 の粤语版などを見ると、日本人には “ナタ” と聞こえます。《哪吒闹海》 1979 は、香港ではなく大陸で制作されているわけで、普通話ふうにナージャとかナーザとか音訳されたのでしょう。

《哪吒闹海》 1979 は中国アニメの経典のひとつですが、実写版の哪吒物語だってあります。

《哪吒》 [河北梆子] (1983年)

これは京劇ふうな哪吒物語なのですが、出所は不明です。百度百科とか豆瓣で検索しても、出てこないからです。

京劇の歴史というのは、それほど深くありません。でも、京劇よりも深い伝統を持つ中国の伝統劇は、日本では “伝統劇”と一括されてしまうことも少なくないように思います。

たいていの伝統劇は  “~剧” とか “~曲” とか“~戏” などと呼ばれるように思います。でも、剧とか曲とか戏が付かない伝統劇もあって、“河北梆子”はそのひとつのようです。

梆子bāngziというのは、“河北梆子”あるいは“河南梆子”という伝統劇(地方劇)で打ち鳴らす打楽器で、長短不揃いな2本の拍子木みたいなものだそうです。で、“河北梆子”や“河南梆子”の総称が、“梆子腔bāngziqiāng”です。

京劇の役者には、もちろんそれなりの身体能力が要求されるわけですが、雑技ほどの身体能力は要求されません(というように思います)。中国の伝統劇においては、雑技ばりのアクションを演じるものもあります。“河北梆子” とは、そんな伝統劇のひとつみたいです。

哪吒は少年神であることから、女の子っぽい造形になることが多いように思います。この映画でも肉団子から生まれた哪吒は、少女が演じています。

それはそれでいいのですが、成長した哪吒は(たぶん)おっさんの役者が女の子ふうな造形で演じています。男扮女装といえばそうなのですが、でも哪吒は男の子なので、なんだか倒錯しています。

死んだ哪吒を祀る部屋の壁には 《哪吒闹海》 ふうの壁紙(ではないんでしょうが)が貼られています。この映画は 《哪吒闹海》1979 に触発されて作られたのでしょう。あるいは、《哪吒闹海》1979 に触発された“河北梆子”があって、それを映画にしたのかもしれません。

しかし、実のところは “河北梆子”  の哪吒のほうが、 《哪吒闹海》 より先行しているのかもしれません。

この映画では、“河北梆子” がどんな劇なのかとか、“河北梆子” における雑技ばりのアクションシーンを楽しめると思います。


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