2012年7月15日日曜日

大武当(レジェンド・オブ・トレジャー 大武当-失われた七つの秘宝-) 2012| 杨幂に武功は似合わない




今年(2012年)の7月6日、赵文卓チウ・マンチェク)、杨幂徐娇が主演する

大武当之天地密码》 2012

が公開されました。単に、《大武当》とも呼ばれています。

民国時代のこと、武当派が500周年を記念して武術大会を開催するので、武当山には各地から腕自慢が集まってきます。そのご一行のなかには、アメリカで有名になった冒険家・考古学者である唐云龙教授とその娘・唐宁がいます。さらには、謎の美女・天心もいます。

もちろん、唐云龙教授を演じるのが赵文卓、天心が杨幂です。そして、教授の娘・唐宁は、《長江7号ミラクル7号)》の男の子、徐娇(シュー・チャオ)です。

武術大会に出場するのはパパではなく、娘の宁儿です。杨幂の天心も武術大会に出ますが、宁儿との対戦では、あっさりわざと負けてしまいます。

実は、唐云龙と天心の本当の目的は武術大会ではなく、お寺に隠された7つの秘宝(武当七宝)を奪うことです。これに美術品ギャングなどもからんで……という物語で、いわば中国版インディ・ジョーンズみたいなお話に、ぼくたちはわくわくしたっていいでしょう。

天心の目的は伝家の宝刀を奪い返すためであり、唐云龙の目的は秘宝によって宁儿の白血病を治すためです。これに宁儿の淡い恋物語もからんできて、インディ・ジョーンズというよりはいわゆるファンタジーな展開になっていきます。

楽しむべきことは古装戏(時代劇)における杨幂の演技でしょう。この映画は民国時代の物語なので、正しくは古装戏ではないのですが、ワダ・エミ和田恵美)の衣装デザインは、ほとんどを古装戏と言ってしまっていいでしょう。

中国の古装戏では、男も女もどんな衣装を着てもかまいません。女の子は、ピアスをあけて、きらきらなピアスをぶら下げていてもいいわけです。

それは、中国のドラマや映画において、そのような掟破りの法則が許されているからではありません。中国では、経済が発展していく時代においては、男にも女にも奇抜なファッションが流行するという法則があるからです。

杨幂の代表的な古装戏は

神雕侠侣》 2006
仙剑奇侠传三》 2010
(鎖心玉)》 2011

でしょう。これらのドラマで杨幂は、お笑いによって、物語をねじまげていくパワーというか、物語をあらぬ方向に誘導していくパワーというか、軽々と道徳的な物語から離脱していくパワーを発揮してくれました。

それはたとえば、杨幂が気に食わない男に対して、人差し指を突き出して堂々と罵倒する演技とか、怒ったりとかあきれたりとかしかとき、肩を張って大腕を振って大股で去っていく演技とか、“哈哈哈”という必殺な冷笑などで表現されます。

これらの演技は、たぶん杨幂自身が開発したもののように思えます。《大武当》でも、これらの杨幂お得意の演技を楽しみましょう。

《大武当》を見るにあたっては、ひとつ大きな懸念がありました。杨幂に武功がやれるのか--というか、杨幂に武功がふさわしいことなのかという問題です。結果はどうだったのか? もちろん言うまでもありません。

もちろん、赵文卓の出る映画やドラマはすべて駄作であるという鉄則は、この映画でも貫かれています。また、杨幂はこの映画で第四届金扫帚奖(第4回中国ごみ映画大賞)で、主演女優賞を獲得しています。

《大武当》とほぼ同じ時期に公開されたのが、《画皮》の第2弾《画皮Ⅱ》です。《画皮2》の杨幂は、《宮》で共演した冯绍峰と再びタッグを組んで、赵薇と周迅のおばさんコンビに挑戦しています。《画皮Ⅱ》そのものは駄作なのですが、杨幂と冯绍峰はけっこうがんばっています。

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