2016年2月26日金曜日

女医 明妃传 2016|目指すは刘亦菲! 刘诗诗における不断の整容、その全真相 !!



2016年2月13日から放映が始まり、今(2月26日)も百度のテレビドラマ人気ランキングのトップを走っているのが、霍建华刘诗诗が主演している

女医 明妃传 2016

です。ところが、ランキング2位にいるのが意外なダークホースです。テレビ放映はなくネットでだけ公開された 《上瘾》  2016 です。

このドラマは、1月29日からネットでの公開がはじまったボーイズラブものです。しかし、2月22日に当局によって公開禁止になり、ネット上の動画もすべて削除されました。テーマがテーマなので、当然といえば当然でしょう。《上瘾》 については、こっちの記事を見てください。

上瘾 2016|当局に封殺された高校生のボーイズラブを描くアイドルドラマ

また、《女医明妃传》 がどんなドラマなのかとか、時代背景とかなどについては、こっちの記事に書いてあります。

女医明妃传|上海唐人の今後とドラマの時代背景、あるいは霍建华ではなく黄轩について

この記事では、刘诗诗の顔と演技の変遷について考察してみます。


ぼくの中国語の先生
ぼくたちのクラスの中国語の先生は、イケメン(小鲜肉)も好きですが美女も好きです。杨幂は彼女の “女神” だそうです。

この先生は、すごい美女であるとは言いませんが、去年(2015年)の来日以降、美女度はどんどん進化しています。

そんなわけで、先生から “なんで刘诗诗が嫌いなの?” と問われて、この記事を書き始めることにしました。

中国のネットでは、有名女優の整形前と整形後の比較写真にちょくちょくお目にかかります。

刘诗诗の整形疑惑を指摘する代表のひとつが、右の写真です。ぼくには、前(上)も後(後)も、どっちもブスに見えるだけですが……。

刘诗诗の場合、比較対象としてよく使われるのが、《仙剑三》 以前の刘诗诗と 《仙剑三》 の刘诗诗、あるいは 《步步惊心》 の刘诗诗です。

 《仙剑三》 と 《步步惊心》 は、刘诗诗の人気が沸騰する、刘诗诗ファンにとっては重要な作品です。でも、ぼくには  《仙剑三》 の刘诗诗も、 《步步惊心》 の刘诗诗もブスにしか見えません。なんで刘诗诗は、“美女” になってしまったのでしょうか?

刘诗诗が出演している主な作品において、刘诗诗がどんな顔をしていたのか振り返ってみましょう(あ。美女でもないのに美女になってしまった “美女” がもう一人いました。林心如です)。


刘诗诗といえば上海唐人(上海唐人电影制作有限公司)なわけで、彼女は2000年代半ばくらいから、上海唐人のテレビドラマで脇役を演じています。2008年、刘诗诗の出ている、ちょっと注目すべきドラマが2つ放映されています。

その1つが 《聊斋奇女子》 2008 という聊斋ドラマです。聊斋ドラマというのは、聊斋志异からネタを引っ張ってきた6つくらいのエピソードで構成されます。刘诗诗はこのドラマのエピソードの1つでヒロインを演じていて、上海唐人は刘诗诗を売りだそうとしたのでしょう。

2008年7月放映  聊斋奇女子
聊斋ドラマというのは、若手役者が注目される場でもあります。やはり、上海唐人の 《新聊斋志异》 2005 では、《倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)》の原作である 《小倩》 というエピソードで、胡歌が書生、杨幂が小倩を演じていました。そんな事情については、こっちの記事を見てください。

青丘狐传说 2016|上海唐人を凋落させた刘诗诗、あるいは胡歌の復活

射雕英雄传 2008
もう1つが胡歌主演の 《射雕英雄传》 2008 です。刘诗诗は、杨过のママである穆念慈を演じています。

このドラマの撮影中(2006年8月29日)、胡歌は交通事故を起こし、自慢の顔面がぐちゃぐちゃになってしまいます。そんな事情については、とりあえずこっちの記事を見てください。

仙剑奇侠传三|“哈哈哈”--杨幂+胡歌

わりと名前を売りだした刘诗诗は、上海唐人ではなく张纪中プロデュースの金庸ドラマ 《倚天屠龙记》 2009 で、杨过と小龙女の子孫である黄衫女子を演じます。张无忌を演じているのは、やがて孙俪のだんなになる邓超です。ぼくは、このドラマを見始めたことはあるのですが、面白くないので見るのをやめました。

2010年7月放映  倚天屠龙记

《射雕英雄传》 は、実のところ大きな評判にはなりませんでした。胡歌が胡歌として復活するのが、上海唐人の 《仙剑奇侠传三》 2009(2008年撮影)です。役どころは 《仙剑一》 同様、軽くてちょっと情けないヒーローです。ヒロインは杨幂で、さらには霍建华、唐嫣という豪華メンバーでした。

2009年8月放映  仙剑奇侠传三
しかし 《仙剑三》 には、大きな欠点があります。前世で胡歌の妹だった女が登場すると、軽快なリズムがくずれ、ドラマがもたついてしまいます。その女は、ブスなうえ、痴呆のような演技しかできないからです。それが、刘诗诗です。

《仙剑三》 のラストシーン
ただし 《仙剑三》 で、刘诗诗は一部の熱狂的な男の子のファンを獲得します。なんで、ブスで演技もできない刘诗诗が、一部の(たぶん不細工な)男の子たちを熱くさせたのでしょうか?  それは杨幂と刘诗诗を比較すると、よくわかるように思います。

杨幂は美女ですが、杨幂を嫌いな人も少なくありません。現実の杨幂は必ずや “やな女” でしょう。

そんな “お高くとまっている女” が嫌いな不細工な男たちは、どんな女を好きになるでしょうか?

それは、“顔は特に美人でなくてもいいから、気のいい女の子”--こんなタイプになるでしょう。そこで彼らが目をつけたのが 《仙剑三》 の刘诗诗です。彼らには、杨幂は高級すぎますが、刘诗诗はお手頃だったのです。


一部の熱狂的なファンの存在にかこつけて、上海唐人は霍建华と刘诗诗を主役に据えて 《怪侠一枝梅》 2011(撮影2010年)を作ります。ただし、このドラマにおいて刘诗诗は主役というよりも、霍建华の3人の手下のひとりにすぎません。しかも、ほとんど目立たないので、刘诗诗のブスや臭い演技も気になりません。

2011年1月放映  怪侠一枝梅
こうしていよいよ 《步步惊心》 2011(2010-2011年撮影)の放映がはじまり、刘诗诗は超人気者になります。《步步惊心》 は2011年秋に放映されたのですが、2011年1月に放映された 《宫锁心玉》 2011 で、杨幂はすでにトップ女優の座を確定していました。

2011年9月放映  步步惊心
刘诗诗は 《步步惊心》 で、一部の熱狂的なファンの男の子たちに加えて、たくさんのブスな女の子たちのファンも獲得しました。ブスな女の子にとって、不細工な男のたちと同様、刘诗诗はとてもお手頃だったわけでしょう。


上海唐人にとって、杨幂はすでに雲上の人です。そこで胡歌と刘诗诗が主役の 《仙剑》 系列のドラマを企画します。それが、《轩辕剑之天之痕》 2012 ですが、上海唐人は企画時点では、このドラマには大きな難題が2つあることに気づいていませんでした。

2012年7月放映  轩辕剑之天之痕
1つは、胡歌がこのドラマから演技派への脱皮を目指したことです。そんなわけで、胡歌はこのドラマのプロデュースにも参加します。もう1つは刘诗诗が 《仙剑三》 の杨幂のような笑いが取れる軽いノリの美女を演じられるのか?  という問題です。

結果、胡歌は、何を演じたいのか意味不明でした。刘诗诗の演技は、とても笑えるものではなく、大げさな身振りだけが目立つ悲惨なものでした。

杨幂のお笑いは、あれこれ独自開発の小技があるからこそ笑えることに、刘诗诗は永遠に気づくことはないでしょう。


2013年、刘诗诗の出ている映画がいくつか公開されます。たとえば 《不二神探》 2013 は、文章李连杰が出ていて、黄晓明も串客しています。刘诗诗がいくつかの映画に出た結果、明らかになったことは “刘诗诗は映画女優ではない” ということだったように思います。

ただし、张震主演の 《绣春刀》 2014 はわりと評判はいいようなので、そのうち見てみたいと思います。刘诗诗がどんな顔でどんな演技をしているのかも、確認してみましょう。


こうして刘诗诗は、上海唐人のテレビドラマに戻ってきます。2014年4月、《步步惊情》(2013年撮影)が放映されます。あまりのつまらなさに、ネットでは誰もがこのドラマに吐槽しました。刘诗诗のブスは、泣くときにすごくはっきりするように思います。

2014年4月放映  步步惊情
どんな吐槽だったかというと “お前がブスなのはお前の責任じゃない。しかし、お前の演技がろくでもないのはお前の責任だ” とか、“吴奇隆と刘诗诗って大嫌い!どっちも本当に不細工!” といった感じでした。

2014年6月には吴奇隆と共演した 《犀利仁师》(2013年撮影)の放映が始まります。これは、刘诗诗と吴奇隆の “結婚、おめでとー!” ドラマとして、短期間でやっつけで作られたもので、見るべきものは一切ありません。笑う刘诗诗も、やっぱりけっこうブスです。

2014年6月放映  犀利仁师
2014年10月には 《风中奇缘》(2012年撮影)が放映されます。このドラマを見たとき、ぼくは “おや?” と思いました。刘诗诗がブスではありません。美女とは言いませんが、普通です。押し付けがましい臭い演技がようやく抜けて、普通に見えるようになったのかな?  と、そのときは思うことにしました。

2014年10月放映  风中奇缘
また2014年10月には日本映画 《深夜前的五分钟(真夜中の五分前)》(2013年撮影)も公開されています。島国の人が美人に見える顔と大陸の人が美人に見える顔は、それなりに違います。ぼくは日本人スタッフが、刘诗诗のブス隠しを見事にやりとげたことに感心しました。映画としては、最低でした。

2014年10月公開  深夜前的五分钟

こうして今年の2016年2月13日から 《女医 明妃传》(2014年撮影)の放映が始まります。ぼくは、これまで刘诗诗が美人だと思ったことは一度もありません。しかしこのドラマでは、見ようによっては美人にも見えるといってもいいように思います。いったい、何が起こったのでしょうか。

2016年2月放映  女医 明妃传
“刘诗诗と刘亦菲の顔が似ている” というのは有名な話です。顔の輪郭が似ているので、理解できない話ではありません。ただし、あまりに刘亦菲に失礼でしょうと思っていました。しかし、《深夜前的五分钟》 と 《女医 明妃传》 の刘诗诗の顔を見てください。かなり、刘亦菲しています。

《明妃传》 の黄轩
こうしてぼくは、ある想定を思いつくことになります。

人の顔は変わるものです。田舎から都会に出てきた娘が垢抜けるとか、恋をしている女の子がきれいになるとか、化粧が決まって美女に見えるとか、そういうことはよくあるでしょう。

しかし、刘诗诗はそうではないと考えるようになりました。《风中奇缘》 は臭い演技から脱却できたので普通に見えたのではなく、《深夜前的五分钟》 は日本人スタッフが苦労してブス隠しをしたのではなく、それは整形の結果のはずです。


こうして、刘诗诗の出演作の顔を見比べてきましたが、こうして見ると、微妙な違いがよくわかると思います。

ぼくの想定はこうです。刘诗诗は整形がばれないように、何度も何度も細かな整形をしてきたのです。もちろん、目指すは刘亦菲です。

失敗したこともあれば、成功したこともあるでしょう。《仙剑三》 の極端な不細工さは、整形の失敗を思わせます。《女医 明妃传》 の刘诗诗は、何度もの整形のひとつの完成形なのです。その顔がいつ出来たのか?  もちろん、吴奇隆とのお付き合いが明らかになる2013年末のことです。

《女医明妃传》刘诗诗片场花絮之与霍建华雪地共舞


笑出腹肌 《女医明妃传》花絮太逗逼


刘诗诗的婚纱是租的!吴奇隆原来这么抠门?

2016年2月17日水曜日

女医明妃传 2016|上海唐人の今後とドラマの時代背景、あるいは霍建华ではなく黄轩について



2016年2月13日(土)から放送が始まった、霍建华刘诗诗が主演しているテレビドラマが

女医 明妃传 2016

です。本日(2月17日)、百度のテレビドラマ人気ランキングは、この 《女医明妃传》 がトップです。放映終了までは、トップを走るのでしょう。

このドラマにいたるまでの刘诗诗の軌跡については、こっちの記事に書いておきました。

女医 明妃传|目指すは刘亦菲! 刘诗诗における不断の整形、その全真相 !!

人気ランキング2位にいるのが、《青丘狐传说》 2016 で、こちらは今年の春节元旦(2月8日)から放映が始まりました。

《青丘狐传说》 と 《女医明妃传》 は、どちらも上海唐人の制作です。《青丘狐传说》 あるいは、これまでの上海唐人ドラマなどについては、こっちの記事を見てください。

青丘狐传说 2016|上海唐人を凋落させた刘诗诗、あるいは胡歌の復活


《云之凡》
これからの上海唐人についてちょっと書いておくと、今年(2016年)放映されるかもしれないのが

云之凡 2016?

です。これは 《仙剑奇侠传五》 に当たります。つまり、原作がゲーム 《仙剑奇侠传五》 ということです。上海唐人は、原作ゲームと同タイトルのドラマ 《仙剑一》、《仙剑三》 という二つの傑作ドラマを作っています。しかし、《仙剑三》 以後、これを超えるドラマを作れていません。

《云之凡》 も、《仙剑三》 に及ぶことはないように思います。胡歌霍建华刘亦菲安以轩杨幂唐嫣も、もちろん出ていないからです。ただし、古力娜扎は出ています。古力娜扎は 《青丘狐传说》 にも出ていて、たぶんトリのエピソードで登場するように思います。

《仙剑三》
“テレビドラマの原作にゲームを使うことは禁止” なわけです。なんで 《云之凡》 が 《仙剑奇侠传五》 を原作にできるのかというと、禁止になったのはネットゲームなわけで、《仙剑奇侠传五》 はネットゲームではなく、シングルプレイなゲームだからです。

日本でも放映された杨幂の 《古剑奇谭》 も、原作はネットゲームではありませんでしたが、その後はネットゲームにもなったようです。ゲーム 《仙剑奇侠传五》 も、ドラマ 《云之凡》 放映後にはネットゲームになるのでしょう。

怪侠一枝梅
もう1つの話題作があります。《女医明妃传》 と同様、霍建华と刘诗诗が主演する

怪侠一枝梅2

です。もちろん Part1があるわけで、それが 《怪侠一枝梅》 2011 です。このドラマで、刘诗诗ははじめて本格的に主演したように思います。2011年の1月に放映開始されたこのドラマと、そして2011年9月に放映された 《步步惊心》 で、刘诗诗は一部ファンにとって一気に赤くなります。ただし当時、本当に赤くなっていたは杨幂です。

また、本当に作られるのかどうかはわかりませんが、ラインアップされてはいるのが

梦回大清 2018?

です。《梦回大清》 というのは2004年から2007年までネットで連載された穿越(タイムトリップ)小説の鼻祖(元祖)です。《》、《步步惊心》 などのヒットで、穿越ものドラマも禁止になってしまったわけですが、このご禁制をどう打開するのでしょうか?

花千骨 2015》 2015 は、《花千骨》 2015 のメンバーたちが現代(2015年)穿越してきてしまう物語でした。このドラマは穿越ドラマ禁止というご禁制を、テレビ放映はせずに、ネットのみでの公開という策で乗り切っていました。


《女医明妃传》 は、タイトルどおり女医の物語で、実在した女性をモデルにしているそうです。もちろん、恋愛がらみのとんでもない部分はフィクションでしょう。ドラマは、こんなナレーションで始まります。

黄轩
大明中期,程朱理学兴盛,礼教可严,女子地位地下,贵族女子不得抛头露面,…… 而女子从医则更是容易被世人议论为“三姑六婆”,名声不雅。
(明朝の中期、朱子学が興隆し、礼儀と道徳が大変重んじられ、女性の地位は低く、貴族の子女は人前に火をさらしてはいけないとされていた。……女性が医者になろうものなら、“三姑六婆” と呼ばれてしまう始末だった)

霍建华
三姑六婆” とは、インチキ商売をやっている女のことで、“三姑”とは、 “尼姑(尼さん)”、“道姑(女道士)”、“卦姑(女占い師)”だそうです。“

“六婆” とは、“牙婆(口利き)”、“媒婆(仲人)”、“师婆(女巫)”、“虔婆(やり手婆)”、“药婆(偽薬売り)”、“稳婆(産婆)” だそうです。

ヒロイン允贤(刘诗诗)の家は代々医業を営んでいたのですが、皇后だか側室の誰かだかの流産事件が起き、責任を問われて拷問された家長は自殺してしまいます。允贤の一家は都を逃れ、姓を谭から杭に変えます。やがて、允贤のパパは杭将军として、家族といっしょに都に戻ってきます。

“杭家” では、医学を学ぶことは禁止されているのですが、允贤はおばあちゃんから、こっそり医学を学んでいます。ところが、徐侍郎家の太夫人70歳のお祝いの席で、太夫人が倒れてしまい、允贤は自分の太夫人を救けてしまいます。この事件はパパにも知られてしまい、パパは改めて医術を学ぶことを禁ずるために、医術の本をすべて燃やしてしまいます。


そういう発端からどんなロマンスが始まっていくのかというと、允贤は徐家で太夫人を救助する前に、もう一人救っています。允贤と侍女が徐家の裏庭を散歩していると薬草を発見するのですが、男が刀をつきつけてその薬草をよこせと脅します。

しかし、允贤は男の手を見て、彼が毒にあたっていることを知るのですが、そのとき男は倒れてしまいます。允贤は庭で庭で薬草を見つくろって、一時的な解毒を施してあげます。この男は、追手に殺されそうになったのですが、命からがら逃げて来たのでした。

允贤は徐太夫人に薬の処方までするのですが、実は処方には間違いがありました。しかし、徐家ではきちんとした医者が太夫人に正しい薬を処方していたため、大事にはいたりませんでした。それはそれでラッキーだったということで、允贤は侍女とお参りに行きます。

すると、お寺に女が駆け込んできて、主人の奥さんが重い病気にかかっているので救けてくれと叫びます。允贤は救けに行きたいのですが、女の主人の家は馬車でなければ行けません。そこに馬車を提供してあげようという、どこぞのお坊ちゃまが現れます。

このお坊ちゃまが誰かというと、明朝六代皇帝朱祁镇(英宗)で、演じているのは霍建华です。で、追手に殺されそうになって、徐家の裏庭で倒れてしまったのが誰かというと、明朝七代皇帝朱祁钰(景皇帝または代宗)です。こんな出会いをきっかけに、允贤は二人の皇帝から愛されてしまう……というような物語です。


七代皇帝朱祁钰を演じているのは黄轩で、この人は今どんどん赤くなっている真っ最中です。もちろん 《甄嬛传》 ほどの爆発的なヒットにはならなかったものの、それなりには人気にも話題にもなった、《甄嬛传》 同様に孙俪がヒロインを演じた宮廷ドラマ 《芈月传》 では、黄轩は孙俪の初恋の相手を演じていました。

《推拿》
黄轩は、映画では 《推拿》 2014、《黄金时代》 2014 などでも名前を売りました。特に 《推拿》 の小马(黄轩)はは良かったと思います。もしかしたら今年(2016年)放映されるかもしれないドラマ 《亲爱的翻译官》 では、娘の出産以来はじめてテレビドラマに戻ってきた杨幂のお相手役という大抜擢です。


映画やドラマで歴史がネタになる場合、たいていは王朝末期の混乱とか新王朝の樹立とかが舞台になります。元末の混乱に乗じて明王朝を打ち立てる主役が朱元璋なわけですが、朱元璋はもともとはチンピラというか盗賊です。

中国王朝とは“盗賊”たちが樹立してきたという観点から書かれた中国王朝変遷史「中国の大盗賊・完全版」(高島俊男著・講談社現代新書)という本は、大陸の映画やドラマを見るにあたっての必須とも言える愉快な参考書だと思います。

ところが 《女医明妃传》 は大した出来事のない(などということは、歴史にとってもちろん、そんなことはないわけですが)明朝中期が舞台になっています。いったい、なんでそうなっているのでしょうか。


明朝はモンゴル王朝元を掃討したとはいえ、大陸の王朝においては、常に北方民族の侵入が大きな軍事的課題のひとつであり、明朝においても北方民族対策は、大きな政治的課題のひとつなのでした。

明の六代皇帝英宗も七代皇帝代宗も、歴史的にはどちらかといえば愚帝的な評価なのでしょうが、この時代にひとつの事件が起こります。

六代皇帝英宗の時代、明はモンゴル系の瓦剌部(オイラト族)ともめて、英宗は瓦剌部の捕虜になってしまいます。

あわてた明王朝は、英宗(朱祁镇)の弟、朱祁钰(景皇帝)を皇帝に立てます。ところが、瓦剌部は本気で明朝を攻略する気など毛頭なく(というか、そんなパワーはないので)、瓦剌部の族長也先(エセン)は、英宗の良きお友達になってしまいます。

ドラマ 《女医明妃传》 ではこのあたりで、允贤はすでに有名な女医になっているのかもしれませんが、允贤は瓦剌部の也先とも交流するようです。

《芈月传》 では、芈月は北方民族の义渠王とお付き合いすることになりました。

そんなこんなで明朝と瓦剌部は、朝貢貿易における瓦剌部の優遇策で合意し、英宗を明に返還してしまいます。で、困ってしまうのが、英宗と景皇帝と允贤の三人です。で、どうなるかがドラマのクライマックスなのでしょう。

実際の歴史においての英宗と景皇帝の運命については、ここでは書かないでおきます。


劉詩詩《女醫明妃傳》主題曲MV《大雨將至》


《女醫明妃傳》曝終極片花


霍建华 刘诗诗和他们的朋友们 《女医·明妃传》开播特别节目

2016年2月11日木曜日

青丘狐传说 2016|上海唐人を凋落させた刘诗诗、あるいは胡歌の復活



今年(2016年)の春节は、久しぶりに上海唐人(上海唐人电影制作有限公司)のドラマが話題を独占しそうです。今年の2月8日から放送が始まった聊斋志异(聊斎志異)ものドラマが、

青丘狐传说 2016

です。今(2016年2月11日)、百度のテレビドラマ人気ランキングでは、この 《青丘狐传说》 がトップです。そして、土曜日の13日から人気トップになることが確定しているのが、やはり上海唐人制作で、霍建华刘诗诗が主演するこのドラマです。

女医·明妃传 2016

上海唐人は 《步步惊心》 2011 が大ヒットした以降、すなわち  《轩辕剑之天之痕》 2012(胡歌,刘诗诗,唐嫣+新メンバーの古力娜扎蒋劲夫)で大失敗した後、パワーのあるドラマが皆無でした。

上海唐人と言えば、今でも代表作は 《仙剑奇侠传》 2005 と 《仙剑奇侠传三》 2010 だと思います。《仙剑奇侠传》 2005 は胡歌、刘亦菲安以轩、《仙剑奇侠传三》 2010 は胡歌,杨幂,霍建华,唐嫣という豪華メンバーでした。


轩辕剑》 2011
なんで、《轩辕剑》 が失敗したのかというと、理由は2つあります。

1つは、上海唐人が刘诗诗に幻想を抱きすぎたことです。顔がブスなのはともかく、姉御はだふうのワンパターン演技が臭すぎて、これだけでドラマはパワーを失ってしまいます。

ただし、やはり上海唐人の 《风中奇缘(風中の縁)》 2014 では、だいぶ臭みが抜けていたように思います。あるいは日本映画 《真夜中の五分前(深夜前的五分钟)》 は、シナリオがバツなのはともかく、刘诗诗のブス隠しだけに腐心した駄作でした。

上海唐人が凋落したもう1つの理由が、胡歌のイメチェン作戦です。《仙剑》 シリーズでの胡歌は、ちょっと情けないけど、なんだかんだ危機を乗り切ってしまう軽いタイプの2枚目でした。したがって、演技だって日常の自分自身で良かったわけです。


《琅琊榜》 2015
つまり、上海唐人の凋落と胡歌の凋落は 《轩辕剑》 の失敗と同時に始まったわけです。しかし、胡歌は昨年(2015年)、2つのテレビドラマで(上海唐人とはなんの関係もなく)復活しました。

伪装者 2015(8月31日放映開始)
琅琊榜 2015(9月19日放映開始)

昨年(2015年)の後半、百度などを覗くと 胡歌の “不靠脸,靠实力(顔に頼らず実力で勝負)” という広告をしょっちゅう目にしました。胡歌のイメチェン作戦とは、そういう意味だったわけです。

すなわち 《轩辕剑》 とは、“胡歌のイメチェン作戦+刘诗诗を大女優に!” という2つの目的があったわけですが、どちらもなんの成果もなく惨敗したということになります。

胡歌は実力派の役者として復活しましたが、上海唐人の復活作戦は成功するのでしょうか? そんなことは、ぼくには関係ありません。


聊斋志异ものドラマは、もちろん原作は 《聊斋志异》 なわけですが、だいたいは40集くらいで、一話5~7集、全部で六話くらいで構成されます。

たぶん、最初に聊斋志异ドラマを思いついたのは、香港TVBあたりでしょうか。

大陸のドラマ制作会社も、ネタに困ると聊斋志异ドラマを作るのでしょう。現在(2016年2月)大したドラマがないとはいえ、《青丘狐传说》 が人気になるのは、中国人の聊斋志异ドラマ好きを良く表しています。

香港映画 《倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)》 は最後は悲劇ですが、原作の 《聊斋志异》 のこのエピソードは、なかなかのハッピーエンドです。

聊斋志异ドラマもけっこう軽いので、気楽に見られるので人気になるのでしょう。

上海唐人だって、《新聊斋志异》 2005、《聊斋奇女子》 2008 という聊斋志异ドラマを作っています。とりわけ、《新聊斋志异》 では、今では考えられない豪華メンバーでした。

胡歌と杨幂の 《小倩》
《小翠》 というエピソードには李冰冰、《陆判》 には黄晓明が出ています。

そして、《倩女幽魂》 の原作と同じ題材である 《小倩》 で、書生と亡霊を演じているのは胡歌と杨幂です。杨幂も出ている黄晓明と刘亦菲の 《神雕侠侣》 2006 と同時期なので、杨幂のあごはまだ細くありません。

そんなわけで聊斋志异ドラマとは、出ている側にとっては大スターへの登竜門であり、見る側からすれば将来の大スターをいち早く発見する場でもあるわけです。


《青丘狐传说》 はナレーションとイラストで、女娲は灵狐を四大神兽のひとつに格上げしてあげて、その後、西周の戦いにおいて、殷の纣王を堕落させるために灵狐を地上に派遣したことから語り始めます。つまり、灵狐が妲己だったというわけです。

ドラマとは直接に関係のない女娲を持ち出す必然性はないのですが、西周と殷の戦いを描く 《封神演义(封神榜)》 は、中国人ならば誰でも知っています。女娲を持ち出すだけで、ドラマの必然性が生まれます。

范冰冰の 《封神榜》 2006
《封神榜》 は、何度もドラマになっています。日本でも、范冰冰が妲己を演じた 《封神榜》 のDVDは今でもレンタルできるように思います。ただし、Part2には范冰冰は出ていなくて、日本で入手できるのかどうかは知りません。

封神榜之凤鸣岐山》 2006
封神榜之武王伐纣》 2009

女娲あるいは 《封神榜》 で活躍するヒーローたちは、大陸のテレビドラマを見る際の基礎知識でもあります。《仙剑》 シリーズでも、女娲は重要な役割を担っていました(刘亦菲のヘビ女は必見です)。


ところが、妲己(灵狐)は纣王とラブラブになってしまい、妲己は纣王をあやつって西周に敵対します。これに怒った女娲は、狐の妖族をすべて青丘に追放してしまいます。狐の妖族一族の仕事は、青丘で500年に一度、果実をつける魅树という樹木の保守管理です。

青丘という場所は、苏州工业园区にある地域なのですが、何かと九尾狐と縁のある場所のようです。

そんなわけで、《青丘狐传说》 では、青丘に住んでいる狐の妖たちの6つの物語が描かれます。もちろん、胡歌も刘诗诗も出ていません。メインとなるエピソードであろう 《恒娘》 の主役は、古力娜扎と蒋劲夫です。

最後に、このドラマで描かれる6つのエピソードを、簡単に紹介しておきます。

《阿绣》
《阿绣》
狐の妖である花月と人間世界の女子である阿绣の物語で、この二人と刘子固という男をめぐって、あれこれの事件が起きていくようです。

《封三娘》
狐の妖である三娘は、悪名高い孟家の人々を懲らしめようと孟家に乗り込みます。ところが、孟家の悪名とは実は……
そんな物語のようです。

《婴宁》
狐の妖である婴宁は、天真爛漫な女の子です。そんな彼女が、服家と王家のごたごたに巻き込まれていくようです。

《胡四相公》
狐の妖である胡四、強力な法力を持っています。ところが酒好きなため、富家のお坊ちゃま张生と遊んでばかりいます。ところが……何かが起きるのでしょう。

《恒娘》
《长亭》
石太璞は妖怪ハンターで、狐の妖を駆除しています。ところが、この石太璞と狐族の長老の娘の縁談が……みたいな話のようです。

《恒娘》
九尾狐が化けている恒娘(古力娜扎)は、お隣りに住む夫婦の仲をどうのこうの……というお話です。

この 《恒娘》 についてというか、古力娜扎については、こっちの記事にまとめておきました。

青丘狐传说之恒娘|古力娜扎にトップ女優へのロードマップはあるのか?

《青丘狐传说》MV:郁可唯婉转献声《问明月》


《青丘狐传说》4分钟片花 娜扎 蒋劲夫


《青丘狐传说》曝终极预告片|聊斋志异