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日本では2000年以降に作られた金庸ドラマは、だいたいはテレビで放映され、DVDも発売されているようです。
笑傲江湖 2001
书剑恩仇录 2002 2009
射雕英雄传 2003
天龙八部 2003
连城诀 2004
神雕侠侣 2006
碧血剑 2007
鹿鼎记 2008
倚天屠龙记 2009
《书剑恩仇录》 は誰がどう作っても面白くはないので論外として、《鹿鼎记》 2008 と 《倚天屠龙记》 2009 は何度か見ようとチャレンジして、いつも失敗していました。なんだかどちらも、軽快さに欠けるように思います。
《鹿鼎记》 は梁朝伟(トニー・レオン)+刘德华(アンディ・ラウ)の1984年版は見ましたが、どの 《倚天屠龙记》 も見たことがないので、どんな物語なのか、ちょっと気になっていました。
そんなわけで、ちゃらんぽらんな港剧(香港ドラマ)ならばわかりやすいかもね--ということで梁朝伟版の 《倚天屠龙记》 を見てみました。
倚天屠龙记 1986
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わあ。《倚天屠龙记》 って、《射雕英雄传》 と 《神雕侠侣》 の続編とはいえ、こういう物語だったんですね。
個人的に最大の収穫は、猿の謎が解明できたことでした。どこの猿? 《东成西就》 1993 の鳥と猿の化け物のことです。鳥の化け物はもちろん 《神雕侠侣》の神雕ですが、猿の化け物は 《倚天屠龙记》 の猿だったわけですね。
香港TVBが当時、どんな金庸ドラマを放送していたかというと、こんな具合になります(詳しく調べたわけではないので、間違いがあったらごめんなさい)。
天龙八部 1982(汤镇业+梁家仁+黄日华)
射雕英雄传 1983(黄日华)
神雕侠侣 1983(刘德华)
笑傲江湖 1984(周润发)
鹿鼎记 1984(梁朝伟+刘德华)
倚天屠龙记 1986(梁朝伟)
侠客行 1989(梁朝伟)
わあ。なんて豪華なんでしょう。しかし、それは今だから言えることであって、主演者のだいたいはTVBの金庸ドラマで評判となって、大スターになっていくわけです。
周润发に令狐冲が似合うのか? とか、いろいろ疑問もわいてきます。あと、《侠客行》 は日本では流通していないと思うので、そのうち見てみたいと思います。
あり得ないことというか、もちろんあり得なかったことなわけですが、もし、これらのうちのいくつかが日本のお茶の間でも放送されていたなら、日本における当時の香港映画に対する視点は大きく変わっていたようにも思います。
少なくとも、やがて文革後の中国映画が注目されたとき、中国には张艺谋と陈凯歌という監督しかいないなどという誤解というか詐欺というか--そういうことを言う人たちの妄言に騙されることはなかったように思います。
日本においては、特につまらない中国映画(あるいは台湾映画)しか公開されないという原則が今だに踏襲されているわけですが、誰がこんな悲劇を生み出したのでしょうか。
はたまた、日本と中国の歴史だって変っていたかもしれません。哈哈哈。
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金庸は 《射雕英雄传》 と 《神雕侠侣》 を書いてひとつの頂点に達したのでしょう。だからこそ、この後、《倚天屠龙记》 と 《天龙八部》 において無茶苦茶に分裂する必要があったのでしょう。
そう。《倚天屠龙记》 と 《天龙八部》 は、とことん中国の伝統的な物語と倫理を解体する試みであったはずです。张无忌あるいは段誉のパパのなんとちゃらんぽらんなことか。虚竹は、快楽を肯定します。
やがて金庸は、《倚天屠龙记》 と 《天龙八部》 における大分裂を収束させて、小説を書くのをやめます。
収束の一方の極が 《笑傲江湖》 です。こちらは、ひとりの女のためだけに生きる男の物語。もう一方の極が 《鹿鼎记》 です。こっちは、全部の女を自分のものにしてしまう物語--わあ。これまでのあれこれの物語が、なんてきれいに整理されたことでしょう。
日本の金庸ファンは〝武侠”にこだわりすぎて、あまりに真面目に金庸ドラマにつきあいすぎるがために、《鹿鼎记》 を楽しめない人も少なくないようです。
これは、日本が中国文化を受け入れ始めたときからの永遠の誤解というかお笑いなのでしょう。
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今年(2013年)は、2月に于正版の 《笑傲江湖》 が放映され、大きな話題になったわけですが、10月には 《天龙八部》 が放映される予定です。楽しみにしておきましょう。
また、2014年には新しい 《鹿鼎记》 が放映されるという情報もあるようです。
Anita Mui梅艷芳 & 梁朝偉 - 劍伴誰在"倚天屠龍記"主題曲
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